7位: 誰もが惚れる男の姿!『一夢庵風流記』
本作では、天下の傾奇者(かぶきもの)として知られた前田慶次郎の活躍が描かれます。傾奇者とは、異風を好み、派手な身なりをして、常識を逸脱した行動に走る者たちのこと指します。
- 著者
- 隆 慶一郎
- 出版日
- 1991-09-30
慶次郎は年上だろうが天下人だろうが、気に入らなければ牙を剥き、親友が決死の闘いに挑むと知れば、笑顔で「俺も一緒に死んでやろう」と励まします。彼に出会った人々は、老若男女、身分や立場を問わず、その生き様に感化され心酔します。
大空に漂う雲のように自由奔放に、風にひらりと舞う花のように美学を貫き生きようとした慶次郎には武士たる潔さを感じ、心地よさがあります。
日常や仕事に疲れた時、嫌なことを忘れて夢中になれる一冊です。
6位: 剛勇と忠義の西国無双『小説立花宗茂』
主人公・立花宗茂は、大友家の重臣である立花道雪を義父、高橋紹運を実父として持ち、道雪の娘誾千代を妻とした九州の武将です。宗茂は、義父と実父を島津の猛攻の中で失い、苦しい立場に立たされますが、豊臣秀吉に取り立てられ、柳河十三万石の大名となります。秀吉の九州平定に功績を残した宗茂は、秀吉の死後、彼から受けた恩恵を返すため、豊臣側を堅持し続けました。その結果、宗茂は、関ヶ原の合戦で敗れ、領地を失い、大名から一変、浪人に身を落とします。しかし後に復権を果たし、敗将で唯一、旧領地の藩主に返り咲くことができたのでした。
- 著者
- 童門 冬二
- 出版日
小大名で、いわゆる「負け組」に属していた宗茂が、秀吉や家康の天下人たちに一目置かれていた理由は、島津に対抗し得る戦いの才覚、臣下達と領民への細やかな気配り、そして受けた恩に報いろうとする情の厚さにありました。ゆえに、関ヶ原では豊臣側につき改易されますが、徳川家からは信頼に足る人物として復権を叶えます。
完璧人間と思われる宗茂ですが、実は生活力がなく、それゆえに家臣たちを当惑させるエピソードがあります。本作ではそうした宗茂の人間臭さまで描き出され、宗茂の親しみやすさが垣間見られることでしょう。
裏切りと下剋上が当たり前の戦国にあって、忠義を貫こうとする宗茂の真っ直ぐな姿勢は心地よく、読後には清々しさを残す作品といえます。
5位: 不屈の東北武士の生き様『天を衝く』
戦国時代後期、東北の大名・南部家棟梁が二代続けて怪死するという激乱の中、主人公・九戸政実は、京の動きに目を向けながらも、南部一族内の権謀術数がうごめく陸奥に縛られていました。同時期に織田信長が死に、天下人となった豊臣秀吉が、20万の兵を率いて東へ進軍をはじめ、主家・南部が豊臣に降る中、政実は豊臣に抗うことを決めます。
- 著者
- 高橋 克彦
- 出版日
- 2004-11-16
主人公・九戸政実(くのへまさざね)は知名度こそ低いものの、サブタイトルにあるように豊臣秀吉に最後まで抗った猛将として、地元東北を中心に人気の高い武将です。
政実は相手の裏を読んだ緻密な戦略で数々の戦いを制していきますが、主家である南部家が豊臣の軍門に降ると見切りをつけ、東北平定を目指す豊臣に籠城戦を挑みました。結果としては、豊臣軍の圧倒的な戦力を前にひれ伏しますが、最後まで誰一人として弱音を吐かず抵抗した政実を中心とする九戸党の結束の強さ、ここで死んでも構わないと、今を精いっぱい生きる潔さが強く印象に残ります。
豊臣軍と対峙する戦闘シーンの躍動感は、必見です。戦国末期の東北を舞台に日本史の影に埋もれた豪傑を見事に描いた作品といえます。