昭和という時代を背景にした人間の悲しい運命を描く白川道。ドラマチックな展開で飽きさせない作品ばかりです。白川道の作品のおすすめを6作ご紹介します。

梨田が麻雀にはまっていくきっかけになり、影響を与え続ける長田が、「本当に怖いのは強いタイプのヤツなんだ。強さというのはどんどん伸びる。今から巧さなんてのを覚えちゃだめだ。巧さは強さを弱めてしまう。行く着くところまで博打の強さを伸ばしてやるんだ。強さの限界がきたら、そこで初めて巧さを覚えればいい」などという哲学的な思考を披露するなど、格好よく描かれていました。
- 著者
- 白川 道
- 出版日
やくざからの引退、男にそれを意識させたのは何だったのか?白川道『終着駅』は、ある男のやくざ稼業からの引退と愛の物語です。
岡部は父と彼女を失い、流れるようにやくざ稼業に入り込みました。父と彼女のどちらも自分のせいで死んだと思いこんだためです。しかし、いつでも死んでいいという気持ちで毎日を過ごす彼はかえって命を長らえていきます。
そんな中、近所で偶然出会った女性、かほるは死んだ彼女にそっくりでした。しかもかほるは盲目だったのです。盲目ではありますが、あるいは盲目だからこそ、心の目で岡部を見つめるかほるを岡部はだんだんと愛おしいと思うようになり、人生の転換を感じます。一緒に過ごす時間が増えるにつれ、岡部は癒しを感じ、かほるもまた亡き父を感じるのでした。
しかし、裏稼業の世界では、組の序列を巡る抗争が激しくなり、岡部が簡単に廃業できる状況でもなくなってきました。一刻も早く廃業したい気持ちが募る一方、世話になった会長にも邪険にできないジレンマに岡部は悩みます。あと数日で会長との約束を迎えるというところで最後の事件が勃発、岡部もまた重傷を負うのです。かほるとの約束を果たすために、岡部が取った行動とは?
- 著者
- 白川 道
- 出版日
- 2007-01-30
裏稼業を空虚な気持ちで続けてきたやくざ者が、人の愛情に触れ、堅気の世界、しかも愛があふれている世界へと少しずつ踏み出していく心境の変化が切ないほど淡々と綴られていきます。それでも引退の最後までやくざとして生きていかねばならない岡部のこだわりとはいったいなんなのでしょうか?
やくざものの世界と愛する人との世界の混ざり具合が、岡部の気持ちをとてもうまく表現していると思います。結末まで気が抜けない本作品をぜひ手にとり、裏世界の気持ちを感じ取ってみてください。
貧困の中で愛する女性を失った主人公が、その恋人と瓜二つの女性と出会ったことからチャンスを掴み、同時にすべてを失う可能性にも晒されていきます。その描かれ方が巧みで、ページを捲る手が止まらなくなってしまいます。
- 著者
- 白川 道
- 出版日
ミステリーではないものの、登場人物も含めてなにもかもが謎として描かれ、どれも一筋縄ではいかないのですが、読んでいくにつれて解き明かされていきます。白川道が投資の世界で生きてきたからなのでしょうか、展開や表現に臨場感と緊張感がみなぎっているのです。
- 著者
- 白川 道
- 出版日
- 1997-07-30
復讐と愛憎が絡み合ってすすんでいく展開の中に、栄光、欲望、失墜が見事に描かれています。北海道の風土の過酷なまでの厳しさと寂しさ、そして美しさと東京の欲望と穢れと上っ面の華やかさの対比がそこに色を添えていました。
- 著者
- 白川 道
- 出版日
このふたりは、追う者と追われる者というだけでなく、あらゆるものが対比的な存在として描かれています。
- 著者
- 白川 道
- 出版日
- 1998-03-30
ドラマチックなハードボイルド、ピカレスク小説を描き切った白川道。もう新作が読めないのは残念ですが、残された長編の数々をしっかり堪能していただきたいと思います。