北山猛邦の短編集の主人公は、世界一弱気な探偵?
2008年に発表されたミステリー短編集『踊るジョーカー』。
推理作家の白瀬は、気弱な友人音野の探偵的才能を見抜き、探偵事務所を開きました。助手となった白瀬は、弱気すぎる音野をなだめつつ事件現場へと連れていきます。
- 著者
- 北山 猛邦
- 出版日
- 2011-06-29
表題作「踊るジョーカー」では、とある邸の鍵のかかった地下室で、主人が殺されます。現場にはたくさんのトランプが散らばっており、凶器のナイフにも不吉なジョーカーのトランプが幾枚も突き刺さっていました。密室という状況下、犯人はどのようにして主人を殺したのでしょうか。そしてなぜナイフにトランプが刺さっていたのでしょうか……。
『踊るジョーカー』の魅力は、気弱な名探偵・音野でしょう。彼は素晴らしい推理力を持っていますが、引きこもりで人見知り。また犯人の将来を心配し、真相を言うのを躊躇してしまうほど優しさのある人間です。また助手の白瀬や強面の刑事との微笑ましいやり取りなども楽しめるでしょう。それでいて事件は本格的なものですので、読み応えがあります。
物理の北山と人気ゲームのコラボレーション!
2013年に発表された『ダンガンロンパ霧切』。本作は、人気ゲーム『ダンガンロンパ』のスピンオフ小説です。『ダンガンロンパ』好きはもちろん、推理小説好きも、突拍子もない事件とその解決に唸ること間違いなしの作品です。
- 著者
- 北山 猛邦
- 出版日
- 2013-09-13
とある仕事依頼の手紙を受け取った、現役女子高生探偵の五月雨結。報酬は200万と破格ですが、シリウス天文台に来てほしいとしか書かれておらず、詳細は不明です。明らかに怪しい手紙でしたが、五月雨は意を決して天文台へと向かいました。そこにいたのは依頼主ではなく、同じように怪しい手紙を受け取っていた4人の探偵。
天文台で一夜を過ごすこととなった探偵たちは、天文台を調査し始めます。しかし調査中に火事が起こるのです。目を覚ました五月雨の前には、3人の探偵のバラバラ死体と、大ばさみのそばで倒れる女子中学生・霧切響子の姿がありました。状況的には犯人は霧切しかいないのですが、彼女は本当に犯人なのでしょうか……。
恐ろしい身体能力を持つ新米探偵・五月雨結の、誰よりも強い探偵であることへの信念と、粘り強い推理をお楽しみください。
書物が失われた世界が舞台?
2007年に発表された『少年検閲官』。本作は書物が禁じられているという、ディストピアのような異世界を舞台としています。そんな世界だからこその動機とトリックが楽しめる作品でしょう。
- 著者
- 北山 猛邦
- 出版日
- 2013-08-21
誰も書物を所有できない世界では、本を隠し持っていることが発覚すると全て焼き捨てられてしまいます。英国人少年・クリスは失われたミステリを探し求めて、世界中を放浪した末、日本にたどり着きました。
森に囲まれた小さな町を訪れると、森に迷い込んだ人々が首なし死体で発見されるなど奇怪な事件が起きていました。さらに家々の扉や壁に描かれる奇妙な赤い十字架……。それらは森の中に潜む探偵の仕業とされていました。クリスはミステリを検閲する少年検閲官・エノと出会います。少年二人による謎解きが幕を開けたのです……。
北山作品の中でも、世界観と事件の真相のリンクが最も力強く結びついた作品をお楽しみください。