坂口安吾は第二次世界大戦をまたいで活躍した小説家です。彼の作品の持ち味はあふれんばかりの人間臭さ。その奔放な性格ゆえか未完の作品もありますが、一方で現代においてもファンを増やし続ける完成度の高い作品も多く存在します。

坂口安吾は戦前から戦後にかけて活躍した昭和の作家です。太宰治と並んで無頼派と称されています。
本名は坂口炳五(へいご)。どうして安吾になったかというと、漢詩人であった父親に似ず、漢詩の勉強をさぼってばかりいた彼に漢文の教師が怒って、「お前なんかに炳五という名前はもったいない。自己に暗いやつだから暗吾と名乗れ」といったのが発端だとか。
このエピソードからもわかるように、学校嫌いで、不良仲間と遊びまわってばかりいたそうです。このように一見奔放に見える坂口安吾ですが、その一方で自己の孤独や生きる虚しさにとことん向き合う繊細な一面も持ち合わせており、青年期には仏教に深く傾倒しています。
作家として活躍し始めてからもこの二面性は随所に現れます。売れっ子作家になった坂口安吾ですが、原稿料をほとんどためずに使ってしまい、税金を納められなくなってしまうのです。国税庁に財産の差し押さえをされると、これに激怒しなんと税金不払い闘争を展開。また競輪場に通っていて、レースに不正があったと騒ぎ、やくざの巣窟であった競輪場を相手取って裁判所に告訴したというエピソードもあります。
一方で、多忙をきわめる生活のさなかにヒロポン(覚せい剤)を服用し、徐々に中毒になっていきました。さらにアドルム、セドリンといった別の薬物にも手を出し、ひどい鬱状態を繰り返します。一時期は緊急入院をしたほど薬物依存は深刻だったそう。彼の死因は脳出血ですが、このような生活も最期に影響を与えていたでしょう。
やりたい放題にみえる彼の生活ですが、内心には原稿をかきあげるプレッシャーと戦っていたのかもしれません。奔放にして繊細、これが坂口安吾の作品に不思議な人間味を与えているようです。
精力的な安吾の作品は評論、随筆、歴史小説、推理小説、純文学、ホラーにコメディ……と多彩なジャンルに及びます。ここでは彼の生き方を反映した人間臭さを感じさせる代表作をご紹介します。
- 著者
- 坂口 安吾
- 出版日
- 2000-05-30
- 著者
- 坂口 安吾
- 出版日
- 1989-07-03
- 著者
- 坂口 安吾
- 出版日
- 1989-04-03
- 著者
- 坂口 安吾
- 出版日
- 1988-10-03
- 著者
- 坂口 安吾
- 出版日
- 著者
- 坂口 安吾
- 出版日
坂口安吾の世界は不思議な魅力にあふれています。それはたぶん安吾の人間性がそのまま作品にあふれているから。不完全な人間という存在を丸ごと肯定してくれるかのような度量の広さを感じます。世間体が窮屈なこの時代ですが、坂口安吾のおおらかさに触れて少し肩の力を抜いてみませんか。