直木賞を受賞した『ホテルローヤル』にて一躍有名になった桜木紫乃。受賞直後のインタビューで明らかになった生い立ちや、あまり知られていない詩人としての一面にも迫りつつ、作品を紹介していきます。

舞台は北海道・江別。主人公は、作家になる夢を抱きながら、離婚した夫からの慰謝料と少しばかりの月収で細々と暮らす40代の女性・柊令央。文学賞に応募しては落選し、ビストロで働く彼女の前に、編集者・小川乙三が現れます。令央に辛辣かつ的確な批評をする乙三。その乙三の言葉に導かれるように「書き」始める令央。この出会いによって令央の運命が変わり始めます。
令央は母親・ミオの人生を書くことを決意。20才で令央を生んだミオの人生と隠し続けた秘密、そして令央自身のこれまでのこと。自分の半生と向き合うことを決めた令央は、徐々に「書くこと」にとりつかれていきます。
- 著者
- 桜木 紫乃
- 出版日
- 2017-09-29
桜木紫乃はこの作品を出版するにあたり、「書けても恥、書けなくても恥」とコメントを残しています。そのことから、もしかして自叙伝的な作品なのではと感じ、いや、そう思わせる作者の手腕かもしれないとも感じます。
自分の半生と母の秘密を書くことによって変わっていく人間関係。作家とは、自らの身を削り、人生を切り売りし、苦しみながら作品を生み出しているのかもしれないと感じさせる作品です。
雪深く、厚い雲に覆われた江別の風景と、今まで閉ざしていた自分自身と向き合う決意をした令央。リアルな一人の女流作家の姿がここにあります。
- 著者
- 桜木 紫乃
- 出版日
- 2015-06-25
- 著者
- 桜木 紫乃
- 出版日
- 2013-11-28
- 著者
- 桜木 紫乃
- 出版日
- 2016-06-16
- 著者
- 桜木 紫乃
- 出版日
- 2013-01-25
- 著者
- 桜木 紫乃
- 出版日
- 2015-03-06
北の大地という舞台を存分に生かした桜木紫乃の作品を紹介しました。共通して感じられる寂寥感は、作者の目を通じて見たその地そのものなのかもしれません。桜木紫乃だからこそ描けるそんな世界を、これからも見せて欲しいと思います。