名著を次々と送り出し、さまざまな賞を送られた作家・井上靖の作品の中からおすすめの味わい深い7作品をピックアップしました。

唐から日本に渡ってくることになる僧は、歴史の時間でも有名な鑑真(鑒眞)であるわけですが、そこに至るまでの長い長いドラマと、登場人物たちの運命の交錯が読みどころです。
- 著者
- 井上 靖
- 出版日
- 1964-03-20
中大兄皇子と中臣鎌足らのクーデター、乙巳の変(大化の改新)が始まって数年。時の帝、孝徳天皇に仕える巫女であり歌人である額田は、中大兄皇子の弟である大海人皇子の積極的な求愛を受けます。求愛に逆らうことの出来ない額田は、大海人皇子に、体は任せても心までは獲られないと誓います。しかし額田は、次に求愛してきた中大兄皇子に少しずつ惹かれていってしまいます。
- 著者
- 井上 靖
- 出版日
- 1972-11-01
まず武田晴信その人。そしてその側室である由布姫です。勘助はこのふたりを愛するあまり、ふたりの子供である四郎勝頼を武田家の跡継ぎにしたいと考えるのです。その行動原理は私達にはなかなか理解しがたいものではあるのですが、しかし勘助は真剣です。
- 著者
- 井上 靖
- 出版日
- 2005-11-16
鉄木真の母も、かつては略奪の被害にあい、取り戻された身だったのでした。そして鉄木真は、自分の妻が略奪の被害にあい、父親の分からない子供を産んだことで、モンゴル族に伝わる伝説、「蒼き狼」になることを誓います。
- 著者
- 井上 靖
- 出版日
- 1954-06-29
この謎の文書群をベースにして作られたのがこの小説『敦煌』です。主人公は趙行徳という漢民族の男性で、西夏文字を学ぶため西域に向かいます。そして謎多き書物・敦煌文書に関わり合うことになります。
- 著者
- 井上 靖
- 出版日
- 1965-06-30
一時はあすなろにさえもなれないと言われた鮎太が、もがき、懸命に日々を過ごしながらあすなろになって行く姿を、太平洋戦争の描写を交えながら書き出します。井上靖の自伝的小説である本作品。まだ何者でもなかった少年があがき苦しみ、それでも歩むことをやめない強さが戦争の描写とともに描かれています。
- 著者
- 井上 靖
- 出版日
- 1958-12-02
歴史秘話好きなら、ぜひ一度は読んでみてほしい小説のひとつが『おろしや国酔夢譚』です。
江戸時代、伊勢から江戸を目指した大黒屋光太夫はじめ17人が乗った神昌丸が嵐にあって実に8ヶ月間も漂流を続けることになります。
そうして命からがらたどりついた先は、当時未開のアリューシャン列島。本物の未開現地民との鬼気迫るやりとりに始まり、ロシアの商人との出会いと続きます。そして、鎖国中で国交のなかった日本に帰る許可をもらうために、ロシア帝国の首都モスクワまで数千キロの旅に出発する一同。果たして大黒屋光太夫達の運命は……。
- 著者
- 井上 靖
- 出版日
- 2014-10-10
まるでフィクションのようですが実話をもとにした作品。奇想天外なストーリーが井上靖特有の平坦な語り口で淡々と語られてゆきます。
長期間の漂流やシベリアの寒さ、現地人とのいざこざなどで仲間たちが1人、また1人と命を落としてゆくなか、必死に生き抜こうとする男たちの姿が、ロシアの圧倒的な大地の光景ととともに描かれていきます。当時の人々の生活や風習も実にリアルで読みごたえたっぷりです。
現地ロシア人女性との人生を選ぶちょっとしたラブストーリーや、エカテリーナ女帝と大黒屋との謁見などイベントも盛りだくさん。『おろしや国酔夢譚』、ぜひご一読ください。