三雲岳斗のラノベが、深い『ダンタリアンの書架』
所領の半分を1冊の本と引き換えにしたほどビブリオフィリア(愛書家)の祖父。彼から屋敷と蔵書のすべてを引き継いだヒューイは、遺品整理に訪れた屋敷の地下で本を読む少女・ダリアンと出会います。彼女は禁断の幻書を納める「ダンダリアンの書架」への入口であり、悪魔の叡智への扉でもありました……。
- 著者
- 三雲 岳斗
- 出版日
- 2008-11-01
ドラマティックな予感がする、2度の大戦の間のイギリスが舞台です。本と砂糖をまぶした揚げパンが大好きで、口が悪くてわがままなのに人見知りなダリアンは可愛らしくて魅力的です。
幻書を巡る短編連作形式なので読みやすくはありますが、人間の暗部も描かれるためちょっとダークな気分になってしまうかもしれません。
ライトノベルでありながら、描写が巧みで深みもある作品。軽く見てはいけません。おすすめです。
三雲岳斗の日本SF新人賞受賞作!『M.G.H.―楽園の鏡像』
日本所有の宇宙ステーション『白鳳』が舞台です。物語は、無重力空間なのに、数十メートルの高さから墜落したような死体が漂っているところからはじまります。
宇宙スーツはなにかにぶつかったように陥没し、血液の球体が散らばっていました。その無残な光景を最初に発見したのは、偽装結婚の新婚旅行で白鵬見学に来ていた研究者・鷲見崎凌と森鷹舞衣でした。彼らは、真相解明へと乗り出していき……。
- 著者
- 三雲 岳斗
- 出版日
SFとミステリーの融合作品です。描写的にはさほど遠い未来ではない未来が設定されていますが、真空空間に浮かぶ宇宙ステーションの様子はかなりきちんと書かれていて、SFだ!と実感させられます。ただ全体的には、ミステリーの要素の方が強い作品です。
虚無的な凌と、押しかけ女房のような舞衣の人物描写や、やりとりがおもしろいので、SF慣れしていない読者の方でもスムーズに読み進められると思います。
ライトノベルとはまた違った三雲岳斗の魅力をぜひ堪能してみてください。
三雲岳斗のデビュー作『コールド・ゲヘナ』
物語の舞台である砂漠の惑星ゲヘナは、魔物や天候を操る龍族が君臨しています。人類がそれらに勝つ可能性があるものは、遺伝子書き換え手術「リライティング」を受けたDJ(ディドリードライブ乗り)が操る人型兵器「デッドリードライブ」だけでした。
- 著者
- 三雲 岳斗
- 出版日
凄腕なのに怠け者のDJバーナード・シーカー、通称なまくらバーンは、謎の少女を助けたことから、戦いに巻き込まれていくのですが……。
怠け者がちょっとしたきっかけで巻き込まれ、戦いの渦中に突っ込んでいくというライトノベルの展開としては割に定番な設定ですが、翼を持つ龍族が支配する特殊な惑星という世界観、登場人物たちが抱える謎、敵対する教団の秘密などが巧みに描かれており、読者を飽きさせません。
主人公の相棒である赤毛の喋る猫・メルが、レーダーよりも高性能な索敵をしたり、だんだんお金に関してうるさくなっていったりと、良い味を出していて、猫好きにもたまらない作品でしょう。この猫の正体にもびっくりするかも……?
デビュー作ということで読み切りとして書かれているはずなのに、続きが気になって仕方がない設定。シリーズ一気読みをおすすめします!