4位:異邦者たちによって引き起こされた戦いの記録
主人公フェリオはアルセイフ王国の第4王子であり、今はフォルナム神殿に親善大使として滞在しています。ある日、フェリオは神殿で管理されている御柱(ピラー)から突如現れた少女リセリナと出会うことになるのです。王道のボーイミーツガールの展開です。
異なる文化の世界から来たと予想される彼女ではありましたが、幼馴染ウルクとともに変わりない神殿での生活に戻るだろうと思っていたフェリオ。しかし、そこでまた事件が起こります。
- 著者
- 渡瀬 草一郎
- 出版日
式典のために神殿に来ていた王と皇太子が、御柱から現れた新たな来訪者に殺害されてしまったのです。王と皇太子が死んだことで、フェリオの祖国アルセイフ王国は混乱に陥ります。
王としての素質に不安のある第二王子レージクか、まだ2歳の皇太子の息子のどちらを王位につけるのか。どちらにせよ一度国に戻らなくてはならなくなったフェリオは、そこでとある陰謀に巻き込まれていき……。
12巻の本編と1冊の外伝を合わせて構成されたライトノベルの中でも知名度の高い戦記ファタンジ―の作品です。キャラクターを焦点にあてた視点では、フェリオ、そしてリセリナ、ウルクのダブルヒロインで構成される三角関係の恋愛模様が楽しめます。
また、ストーリーとして舞台全体を見渡せば様々な人の陰謀や策略が渦巻くように出来上がっており、英雄物語としても群像劇としても楽しめるようになっています。戦記ものとしてしっかりと練り込まれたストーリーはただのラノベというくくりにしておくには惜しいほどのもの。王道ですが、展開に飽きさせない筆力を感じる名作です。
3位:怠け者の名将が知略を巡らせる戦記
四大精霊が実体として存在するファンタジー世界が舞台の作品です。
主人公の少年イクタ・ソロークは昼寝と徒食と女漁りが好きでなまけながら日々を過ごしている若者ですが、のちに彼は「常怠常勝の智将」と呼ばれるほどの軍事の才を発揮します。この物語はそんな彼の激動の人生を描いたものです。
- 著者
- 宇野朴人
- 出版日
- 2012-06-08
彼はヒロインとなる同期主席・ヤトリシノ・イグセムが高等士官試験で主席合格をする協力を求められます。見返りに図書館の司書のポストをもらうと約束をしますが、試験の最中移動用の船が沈没し二人は遭難してしまうのです。
彼らが流れ着いたのは敵国であるキオカ共和国。イクタの活躍もあってどうにか脱出を図るのですが、その行動が彼の人生を大いに変えることとなり……。
主人公イクタは本人も周囲も認める怠け者、そんな彼なのでこの作品の戦闘シーンでは彼は戦いに参加はしません。ではなにをしているのかというと頭を使って作戦を立てるのです。これこそ、彼が名将として成長していくきっかけなのです。
このシリーズはライトノベルでは珍しい、本格的な軍事ものバトルが楽しめる作品で、知略を駆使した頭脳バトルが好きな方におすすめしたい作品です。世界観、ストーリーともによく煉りこまれているため彼らがどうなっていくのか、期待が高まる骨太なシリーズになっています。
2位:優しき王子アルスラーンが紡ぐ成長と王道への物語
パルス王国の王子として生まれた主人公・アルスラーン。王子という立場ですが身分にはこだわらない優しい心を持っています。そんな彼が優秀な部下に支えられ、時には学びながら成長していくのが物語の大きな流れです。
幾度侵略されようとも跳ね除けるパルス王国にアルスラーンは王子として生まれました。しかし、国の敷いた奴隷制度や父の強硬政治には懐疑的です。理由はしっかりとあるのですが、どちらにしろ彼は心優しく大きな度量を持っています。彼は戦乱の世では稀有な存在だと感じました。
ストーリーは強者を率いるパルス王国の敗戦から始まります。父王アンドラゴラス三世が戦略を軽んじ、部下の裏切りに遭ったのです。この敗戦で王位継承権を持つアルスラーンは命を狙われる立場に追いやられました。
アルスラーンはとても優しい青年です。でもそれだけでは王にはなれないと囁かれていました。自分を磨き、王として着実に進んでいく姿に肩を並べる友と同じように、読んでいて感動出来るでしょう。
- 著者
- 田中 芳樹
- 出版日
- 2012-04-12
物語が進むにつれ、彼はパルス王家の正当な血統ではないことが分かります。父王夫妻と血の繋がりがないことから、両親の愛情を受けることはありませんでした。
ですが腹心ダリューンやその友ナルサスに支えられ、王に必要なのは王家の血統ではないとアルスラーンは考えるようになります。パルスをより良い国にするべく王位につく覚悟を決めたのです。そんなアルスラーンに部下は深い忠誠を誓い、仲間は増えていきました。
王都奪還が目前に見えた矢先、敗戦で捕虜となっていた父王アンドラゴラス三世は自力で牢から脱出します。すると父王の独断から、アルスラーンは集めた兵達を奪われ追放されてしまったのです。彼は不当な扱いにより窮地に立たされたのでした。読んでいて憤りにも似た感情が湧いてきます。
アルスラーンの味方は少ないですが、彼に付き従う仲間たちの彼への心酔ぶりには胸が熱くなります。その中でも「戦士の中の戦士」と呼ばれるダリューンの忠誠心は、ずば抜けて高いです。
初めは未来の王として心配の残る王子を不安に思う事もありました。しかし国王であったアンドラゴラス三世を前にしても、アルスラーンこそ自身の王だと思うようになっていきます。二人の信頼関係は主従を超えていて、他作品と比べても類を見るものは少ないでしょう。
本作は国同士の政治や戦争が色濃くピックアップされています。少し男臭いかもしれませんが、熱い友情と派手な騎兵戦は読み応え抜群でしょう。
戦乱の世だからこそ強いられる犠牲。苦渋を舐めながらでも自身を磨き配下を信じて王を目指すアルスラーンと共に王道を歩んでみませんか?