川端康成の『雪国』や『伊豆の踊り子』を読んだものの、どうもピンと来なくて苦手だという方がいるかもしれません。そこで今回は、川端康成の小説がより面白くなる、おすすめの小説を5作ご紹介します。

川端康成と伊豆と言えば、真っ先に思い浮かぶのは、『伊豆の踊子』ではないでしょうか。この小説は、20歳で初めて伊豆を訪れた筆者が、旅芸人の踊子に出会った経験を下敷きに執筆したものです。川端康成の作品は、温泉宿がたびたび舞台となるように、エッセイと小説が密接につながっているのです。
- 著者
- 川端 康成
- 出版日
- 2015-11-21
川端康成の小説には、死が重要なテーマとなっていることが少なくありません。たとえば彼自身が最も好意を示した、初期短編『抒情歌』。この作品は、恋人に捨てられた語り手の“私”が、愛を失ったことを契機にもう一度生まれ変わり、アネモネの花に成り替わりたいと願う、彼の死生観が覗く作品です。
- 著者
- 川端 康成
- 出版日
- 2008-10-08
多様な作風で知られた川端康成に、つねにこの眼が底光りしていることを意識すると、小説はまた異なった表情をもって感じられるでしょう。初期の作品『禽獣』に描かれる主人公の男性は、小鳥をこよなく愛しながら、千代子という踊子に目をかけています。いっぽうで小鳥や女へ向ける彼の眼差しの底には、陰影のある虚無的な視線が宿っていることも見てとれます。
- 著者
- 出版日
- 2013-12-18
本書を読んだ後は、川端の代表作のひとつ『雪国』を読んでみてはいかかでしょうか。島村という親のスネを齧る男性が、列車で行き会った葉子と、かつて温泉街で知り合った駒子との3人の関係を中心に展開する、儚い美しさのきわだつ抒情性の強い作品です。
- 著者
- 川端 康成
- 出版日
- 2015-04-25
この書簡集には、『千羽鶴』が各国で翻訳されることになったと記される文面があります。川端康成がノーベル文学賞を受賞したのは昭和43年ですが、それより以前に、ノーベル賞候補者としてリストに挙がっていることが明らかになりました。心理描写に優れた芸術性の高い作品と評価されたのが、この『千羽鶴』だったのです。
- 著者
- ["川端 康成", "三島 由紀夫"]
- 出版日
- 2000-10-30
以上の5作品を紹介してきました。川端康成の小説世界にどうもピントが合わないと感じる方は、エッセイなどから入ってみてはいかかでしょう。川端自身の人となりが知れて、これまで以上に親近感が湧くかもしれませんよ。