4位: 青春スポ根ストーリー
『DIVE!!』は水泳競技の一種である“飛び込み”に青春をかける少年達の物語です。森絵都原作のこの小説を題材に、ラジオドラマ、映画、漫画、アニメと、マルチメディア展開をしています。
舞台は、赤字経営により存続の危機に脅かされていたあるダイビングスクール。そこには競技の成績が平均並みの中学生の知季、両親が飛び込み選手である高校生の要一らが所属していました。スクールの存続のため、新しいコーチ夏陽子のかかげた条件は「このスクールから来年のオリンピックの日本代表選手を出すこと」でした。ここから、知季たちの猛特訓が始まります。天才ダイバーと呼ばれた飛沫を巻き込み少年達が苦しみ、悩み、葛藤しながらオリンピックに向かって進んでいく姿が描かれています。
- 著者
- 森 絵都
- 出版日
- 2006-05-25
「ザ・スポ根」といえる内容です。少年達がオリンピックという目標に向かってそれぞれもがき苦しみながら、それでも目標をあきらめず進んでいきます。周りにはライバルがいたり、「出場選手枠」という壁にぶつかったり、スランプに陥ったりします。それでも諦めずに進んでいく姿に胸が打たれることでしょう。
ここでは10mの高さから飛び込む“高飛び込み”が題材として描かれています。約1.4秒の間に技を繰り広げる競技です。
知季らにはそれぞれ個性があり、得意な技も違うのです。それゆえに、ライバルの存在に焦りを感じたり、嫉妬したりしてしまいます。そういった心境もしっかり描写されていて、青春っていいな、と思わせてくれます。
後味がすごくさわやかな物語です。森絵都は児童文学も書いている作家ですが、本作も読書感想文の課題図書として選ばれていたこともあり、とても読みやすい作品です。何かに打ち込むことの素晴らしさを教えてくれることでしょう。ぜひご一読ください。
3位:本屋大賞にノミネートされた森絵都の新代表作
舞台は1961年の日本。小学校の用務員室に勤める五郎は、生徒の母親千明に教師として見初められ、一緒に塾を起業することになります。月日が経ち、家族となった五郎と千明でしたが、塾の経営は一筋縄ではいきません。
塾運営をよく思っていない文部省との戦い。考え方の違いから訪れる家族崩壊の危機。時代の流れを描いた大島一家3代にわたる家族の物語です。
- 著者
- 森 絵都
- 出版日
- 2016-09-05
塾が世間に浸透していない時代から始まり、教育格差の広がる平成の時代まで描かれています。塾ブーム、文部省との対立、少子化問題など日本が歩んできた教育に関する問題が取り上げられています。これらの塾に降りかかる問題と、家族に訪れる困難がどことなく重なって見えてくるでしょう。
まずは五郎の目線で、次に千明、最後に二人の孫、一郎へと話し手を変え語られます。話し手が変わることで、色々な局面から塾の問題、家族の困難を見ることが出来るのです。五郎、千明から孫へと話し手の世代交代が行われることで時代の流れを感じることが出来るのではないでしょうか。
また、個性豊かな登場人物たちもこの作品の魅力の一つです。女性の比率が高い一族で、女性陣は千明をはじめ子供達もみんな強気なところがあります。それに比べ男性陣は比較的おおらかな性格です。登場人物はみな弱い部分を持っていて、それが共感を誘い応援したいと思わせてくれます。
「今はまだ儚げな三日月にすぎないけれど、かならず、満ちていきますわ」五郎を塾に誘う千明がこう語ります。『みかづき』は満月になれるのでしょうか。変遷の時代を生きた人、何かを教える人、これから教わる人、誰が読んでも考えさせられる作品です。森絵都による『みかづき』を、ぜひ読んでみてください。
森絵都の作品をお得に読む
2位: 森絵都のベストセラー作品
主人公は、死んでしまった中学三年生の「ぼく」。彼は天使のボスの気まぐれで、再挑戦のチャンスを与えられます。3日前に服毒自殺を図った「真」の体に入り込み、彼として生活を始めます。約1年間で前世のあやまちを自覚すれば、輪廻のサイクルに戻る「ぼく」の魂。
- 著者
- 森 絵都
- 出版日
- 2007-09-04
しかし「ぼく」には、前世に対する記憶がありません。いまの体となっている「真」のことすら知らないのです。身勝手な父、不倫する母、いやみしか言わない兄。そして学校では友達がいない「真」として生きながら、「ぼく」は自分の気持ちを考えていくことになります。
一見平凡な家庭にいる「真」を冷静に見つめる「ぼく」の図が、奇妙な世界観を作り出します。服毒自殺は、まっとうな選択肢の一つだったということが痛いまでに、ただし爽やかに書かれた作品です。森絵都といえば『カラフル』!という人も多いほど、多くの人に愛されている代表作です。