ハッピーエンドは素敵ですが、たまにはちょっと後味の悪い思いをしてみませんか?今回は読後になんだか嫌な気分になるミステリー、イヤミス作品をご紹介します。文庫化された作品ばかりですので、ちょっとした待ち時間にぜひ読んでみてくださいね。

ミステリーのなかに「イヤミス」というジャンルがあるのをご存知でしょうか。読んだ後に「嫌な気持ちになる」作品のことをいいます。
複雑難解な事件が起こり、それでも最後にはすべて解決してスッキリ!……とはいかないのがこのジャンルの特徴。人間が持っているドロドロとした黒いものや、事件は解決してもどうにも割り切れないものが残ってしまうのです。
嫌な気持ちになりながら、それでもつい結末が気になって先を読みたくなってしまう……そんなイヤミスのおすすめ小説をご紹介していきます。
- 著者
- 真梨 幸子
- 出版日
- 2016-10-07
イヤミスの代表作とまでいわれる本作は、読んでいて楽しい!面白い!といった明るい気持ちになることはありませんが、読む手を止めることができない魅力があります。ちょっと怖いからこそ、知りたいという感じでしょうか。母と子の歪んだ関係が生み出した事件は、後味の悪さも一級。物語の人物たちに対して、やるせない気分になることでしょう。どうしてそうなってしまったのか、という思いが胸を突く作品です。
- 著者
- 湊 かなえ
- 出版日
- 2010-04-08
- 著者
- 沼田 まほかる
- 出版日
- 2014-01-09
- 著者
- 宮部 みゆき
- 出版日
- 2007-12-06
- 著者
- 我孫子 武丸
- 出版日
- 1996-11-14
「おとうさんはおかあさんが殺しました。おねえさんもおかあさんが殺しました。おにいさんはおかあさんと死にました。わたしはおかあさんに殺されるところでした……」 (『鬼畜の家』より引用)
次々と家族が殺されるなか、生き残ってしまったひとりの娘。元警察官だった探偵が事件の調査をするなかで、関係者から話を聞き、やがて衝撃の事実が浮かびあがってきます……。
- 著者
- 深木 章子
- 出版日
- 2014-04-15
作者は元弁護士だという深木章子。本作は「榊原聡」シリーズの1作目となります。
生き残った由紀名という少女は、幼いころから引きこもり。小学校すらまともに卒業していません。幼い時に父を亡くし、その後姉、母と兄が事故で死亡。気づけばひとりぼっちになっていました。
施設に預けられ、保険金を受け取る手続きがとどこおったため、職員が探偵に交渉を依頼しました。これがきっかけで、家族の死に隠された真実が明らかになっていきます……。
読者は語り手が本当に真実を語っているのか、疑いながら読み進めることになるでしょう。いつの間にか伏線が張られていて、最後のどんでん返しに驚くものの、それで救われるわけではありません。誰も救われない物語です。
かつて、一か惨殺事件でひとりだけ生き残った少女がいました。事件は迷宮入りしたものの、少女は心の傷を乗り越えて懸命に生きていこうとします。
しかしやがて彼女は、十数人を殺害した罪で死刑になる「殺人鬼フジコ」になってしまうのです……。
- 著者
- 真梨幸子
- 出版日
- 2011-05-07
累計発行部数50万部を超えるベストセラーです。フジコを知る人物が残した「記録小説」という形で物語は進んでいきます。
いじめ、虐待、殺人……つらい描写が終始続き、かなり嫌な気持ちになりますが、それでもつい読み進めてしまうのは作者の筆力によるものでしょう。
フジコは決して快楽を求めて殺人をしているわけではありません。稚拙な言葉でいえば「命の重みがわからない」のでしょう。それは彼女が生きてきた境遇がそうさせているのであって、なんともやるせない気持ちになります。
事件には宗教団体も絡み、だんだん規模が大きくなっていきます。救いのない、悲しい話。あとがきまで注目してください。
いかがでしたでしょうか。イヤミスとなると、読後の気持ちの沈みが心配になりますよね。狂気や、やるせなさを感じた後は、あたたかい飲み物でも飲んで緊張をほぐしましょう。そしたらきっとまた別の作品を読みたくなるはずです。こんな読書の日々も悪くないですよ。