異色の作家、色川武大とは?
1929年、東京に生まれた色川武大は、戦後間もない頃に中学を中退。賭け事などで生計を立てる日々を送りました。サイコロ博打や麻雀の修行に没頭し、腕を磨いた色川は、後に「雀聖」と呼ばれる、麻雀界の伝説の人物となります。
1961年に『黒い布』で審査員たちからの絶賛を受け、第6回中央公論新人賞を受賞します。その後スランプに陥り、再び賭け事で生計を立てる日々が続きます。
1969年、阿佐田哲也の名前で執筆された『麻雀放浪記』シリーズが、若い世代を中心に大ヒット。空前の麻雀ブームが到来しました。
色川武大の名が再び復活したのは、1977年の『怪しい来客簿』。「色川武大」としては16年ぶりとなるこの作品で、泉鏡花賞を受賞すると、翌1978年には『離婚』で直木賞を受賞します。多くの傑作を遺し、1989年に亡くなった後も、ギャンブルの神様として崇められ、優れた作家として愛され続けています。
5位: 16年ぶりに、色川武大が復活『怪しい来客簿』
主人公の視点から、切なくも死に向かう人々の姿を淡々と綴った連作短編集です。色川武大としての復帰作であり、泉鏡花賞を受賞した本作は、色川武大自身の体験が多分に含まれる描写が非常にリアルで、あっという間に小説の世界に引き込まれてしまいます。
- 著者
- 色川 武大
- 出版日
空襲後の悲惨な光景を、まざまざと思い浮かべることができる『空襲のあと』から物語は始まり、「ある日不意に戦争が終わった」のです。その瞬間、まだ少年だった「私」の目に映る景色は、昨日とはまったく違ったものになりました。
主人公の「私」の元には、様々な「怪しい来客者」たちがやってきます。ある時は死んだはずの大好きだった叔父、ある時は会ったこともないプロ野球選手、そしてかつての友人や、ちょっとした知り合いなどが次々と「私」の前に客として訪れます。彼らは皆、この世界にはすでにいない人々ですが、「私」は優しく寄り添うことも冷たく突き放すこともなく、ただすべてを受け入れます。
色川武大という人間の、心の広さや温かさが痛いほど伝わってくる作品です。読後、静かで優しい気持ちになれることでしょう。
4位: 色川武大の直木賞受賞作!独特の男女仲を描く『離婚』
離婚した夫婦のその後の生活を、ユーモアを交えながら味わい深く描いた連作短編集です。表題作『離婚』は直木賞受賞作品です。『離婚』のほかには『四人』、『妻の嫁入り』、『少女たち』が収録されています。
- 著者
- 色川 武大
- 出版日
- 2011-11-10
「ねえ、あたし、お妾にしてくんない」という会津すみ子の言葉をきっかけに、フリーライター・羽鳥誠一と、すみ子の同棲生活がスタート。2年後には、婚姻届を提出します。とりあえずの夫婦となりますが、6年後にはお互いの不満が募り、離婚することになります。しかし離婚した途端に心のつかえが取れ、お互いがお互いを求め合うように。結局2人は一緒にいることになるのです。
男女の仲は、いろいろな形があるのだと痛感します。初めから普通の夫婦になる気などなかった2人ですから、離婚の形もまた個性的です。お互いが自由気ままで、束縛されるのを嫌い、それゆえ離婚した後の方がずっと上手く一緒にいられるというごく自然な流れがあります。
2人の姿は微笑ましく、語り部・誠一の独特の語り口調にはおかしさがこみ上げてきます。しみじみと読める作品になっています。