神を狩り、鬼神を生んだ作家、山田正紀。
山田は、1950年に愛知県名古屋市で生まれます。
明治大学政治経済学部を卒業。海外放浪を経て、同人誌『宇宙塵』での作品発表をしていく中で、編集人の柴野拓美経由で『SFマガジン』に『神狩り』が掲載され、作家デビューを果たします。同誌で『流氷民族』を連載し、新人SF作家としての地位を固めました。
かんべむさし、堀晃などと同様、星新一、小松左京、筒井康隆たちの日本SF第一世代に続く、第二世代と呼ばれますが、のちに冒険小説、ミステリーなどにもジャンルを広げています。特にミステリー界で「新本格」が確立しはじめると、ミステリー作品の発表が増えるようになりました。
デビュー作!山田正紀『神狩り』
星雲賞日本短編部門受賞作。山田のデビュー作ということもあり荒削りですが、正統派SFと伝奇性を組み合わせた意欲作です。
神戸市で遺跡調査中の若き天才情報工学者・島津圭助は、花崗岩石室内壁に刻まれた文字を発見します。それは13の関係代名詞と、2つの論理記号のみの文字でした。圭助は文字の解明に没頭。やがてその構造が人間には理解不能なものであることを、突き止めます――この言語を操るものが神なのだとしたら、その意志とはなんなのか?
- 著者
- 山田 正紀
- 出版日
- 2010-04-05
本作は「語りえぬことについては、沈黙しなくてはならない」という、哲学者・ヴィトゲンシュタインの引用から始まります。関係代名詞が13個も複合する古代文字の言語特性から、論理を超越した『神』の存在に気づき、そこにある悪意を察した圭助が、人類の未来をかけた壮大な戦いに巻き込まれていく姿を描きます。
神の捉え方にびっくりしてしまうかもしれませんが、読んで損はありません!
日本全土が舞台。山田正紀『謀殺のチェス・ゲーム』
主人公は、北海道で広域暴力団菊地組組長・菊地大三に向かって銃の引き金を引き、組に追われることになった川原敬。彼は恋人の如月弓子とともに、如月のふるさとである沖縄へ逃れます。
- 著者
- 山田 正紀
- 出版日
- 2014-10-15
同じ頃、戦略ゲームでの戦争模擬実験データを集めていた、新戦略専門家・宗像旦一佐。彼は、北海道の千歳へ向かえという指令を受けて、緒方陸将補と宗像の属する愛桜会が動き出したことを察し、レンジャー部隊教官・立花泰を呼び寄せました。
北海道の沖合いでは、自衛隊の最新式対潜哨戒機PS-8が消息を絶っており……。
自衛隊の最新鋭哨戒機を巡り、2人の戦略専門家が展開する頭脳戦。ヤクザから逃げる若い男女や自衛隊内部の敵対勢力や、天候など予想外のできごとに左右され、状況が変化していきます。その様子が北海道から沖縄までという、日本を縦断する大規模な鬼ごっこ――チェス・ゲームにたとえて表現されているのです。
リアリティよりも誇張されたキャラクターやスピーディな展開を重視し、息もつかせません。ハリウッド映画のような印象を与えます。登場人物も専門用語も多いですが、難しく書かれてはいません。ぜひ気軽に手に取ってみてください。