様々な少女の姿を描く女性作家・桜庭一樹。2014年には映画化された『私の男』は、直木賞を受賞します。彼女の描く少女たちは、まだ大人になりきれていません。それでも大人が思うよりずっと多くのことを知り、考える姿は魅力的です。

- 著者
- 桜庭 一樹
- 出版日
- 2010-09-18
- 著者
- 桜庭 一樹
- 出版日
- 2009-02-25
- 著者
- 桜庭 一樹
- 出版日
- 2010-04-09
主人公・久城一弥は、真面目で優しい少年。立派な軍人になるため、ヨーロッパのソヴュール王国へと留学します。村での殺人事件に巻き込まれたことをきっかけに、頭脳明晰な美少女・ヴィクトリカと出会うことになりますが、彼女はとんでもなくツンデレなため、一弥はいつも振り回されっぱなし。
- 著者
- 桜庭 一樹
- 出版日
- 2009-09-25
- 著者
- 桜庭 一樹
- 出版日
- 2008-05-28
「聖マリアナ学園」は東京の山の手に広々とした敷地を持つ、裕福な家庭の子女が通う伝統ある女子校です。
学園のクラブ活動には2つの花形があり、1つは学校行事を司る「生徒会」で主に政治家を親に持つ子女が所属しています。もう1つは華やかな美少女たちが集まる「演劇部」です。
その他にもインテリたちが集う「新聞部」や、様々なスポーツ系クラブがありますが、それらのどこにも所属できない、はみ出し者が集まるところが「読書クラブ」でした。
- 著者
- 桜庭 一樹
- 出版日
- 2011-06-26
物語は、学園創立から現在に至るまでの聖マリアナ学園で起こった出来事が、読書クラブに所属する少女たちを主人公として時代ごとに短編形式で描かれていきます。
時代の流れと共に学園内にも変化が起こっていく中、読書クラブの少女たちは常に冷静で客観的なのですが、必ずその時代に現れるはみ出し者たちを受け入れ、全力で護ってあげるのです。
校舎の敷地の雑木林の奥にある崩れかけた建物の中にひっそりと部室を構え、思い思いに読書をしている地味で目立たない少女たちは、生徒会や演劇部から露骨に見下されている存在です。
しかし読書クラブの少女たちは実は個性的な曲者ぞろいで、学校を動かしているのは彼女たちだと言っても過言ではありません。その事をクラブの部員以外の誰にも知らせることなく、密かに「クラブ誌」に書き記すことで完結していきます。
それぞれの短編が名作文学をテーマにしており、「読書クラブ」のタイトルに相応しい洒落た作りになっています。
- 著者
- 桜庭 一樹
- 出版日
- 2009-03-25
無花果町に住む前嶋月夜は、18歳の高校3年生です。紫色の目を持つ月夜は、教師の父が若い頃に修学旅行の引率先で偶然拾った「もらいっ子」で、長兄の一郎や次兄の奈落とも血がつながっていません。「もらいっ子」の月夜は人から悪い血筋の子だと思われないため、常に真面目に勉強して優秀な成績を修めてきました。
ある日の午後、月夜がコンビニでアイスを買って食べていると、そこに奈落が通りかかり一緒にアイスを食べます。そこで奈落は「ぼく、ずっと、月夜に言いたかったことがあるんだ」と言うのですが、その後いきなり倒れて、そのまま死んでしまうのでした。
- 著者
- 桜庭 一樹
- 出版日
- 2016-01-23
幼い頃から自分を可愛がってくれた奈落が大好きだった月夜は、突然すぎる奈落の死が受け入れられません。奈落が死ぬ前に自分に何を言おうとしていたのかも心に引っかかったままになってしまいます。
いつまでも死んだ奈落に固執する月夜は、父や長兄、周囲の人々とすれ違い孤立し始めます。しかし実は、自分の事を自ら「もらいっ子」と言い紫の目であることを強調してきた月夜は、友人たちに以前から仰々しくて鬱陶しいと思われていました。そして常に自分の事ばかり考えていて相手に無関心な月夜は、自分では意識しないうちに人を傷つけていたのです。奈落の事で皆と衝突して初めて、月夜は自分が他人からどう思われていたのかを知り、自分の欠点を知るのでした。
さらに月夜は実は誰にも言えない秘密を抱えて苦しんでおり、周囲と孤立して行く中、死んで奈落の元に行きたいと思うようになります。月夜の秘密、奈落の突然の死、奈落が月夜に言おうとした事、この3つの謎が明らかになるとき、月夜は周りの人々の優しさを知り、自己中心的で意固地だった自分の殻を破ることができるのでした。
ある冬の夜、主人公の少年はママの死体が横たわる部屋の文机の下に隠れています。パパがボスの女と通じてお金を持って逃げたため、ママと姉さん、家の使用人たちはボスの手下たちに皆殺しにされてしまったのです。
暗闇の中で少年は、誰かが家の中に入ってくるのを感じます。現れたのは1人の若い男性で、彼はママの死体の首筋から血を啜りはじめました。それを見た少年は、昔パパから聞いたことがある怪談を思い出します。それは中国の山奥からやってきた「バンブー」と呼ばれる竹のオバケの話でした。
少年はムスタァと名乗るそのバンブーの青年に助けられ、彼の家に連れて行かれます。そこにはもう1人、洋治というバンブーの青年がいました。以後少年は2人のバンブーに守られて育っていきます。
バンブーは歳を取らないまま竹と同じように約120年を生き、最後に1度だけ白い花を咲かせて消えてしまう存在です。少年はムスタァたちといつまでも一緒にいるため自分をバンブーにして欲しいと願うのですが、ムスタァたちはそれを拒絶し、少年が成長したら別れるのだと言います。その事が原因で仲の良かった少年とムスタァたちの間に距離が生まれ、やがて悲劇が起きるのでした。
- 著者
- 桜庭 一樹
- 出版日
- 2017-11-09
いつまでも歳を取らず空中を飛行することもでき、人間よりもはるかに力が強いにも関わらず、中国の山奥に住んでいたバンブーたちは人間に駆逐されて日本にやってきます。
日本に来たバンブーたちは様々な掟を作り、人間に存在を気付かれないよう努力しながら存在してきました。しかしバンブーたちの中にはその掟を破る者もいます。掟に背いた者に厳罰を下すバンブーの王は、最初は非情であるかのように描かれていますが、彼にもまた悲しい過去があるのです。
バンブーたちの優しさを思うと、人の優しさとは何なのか考えずにはいられません。人間に傷つけられ、それでも人間を愛してしまうバンブーたちの悲しみに満ちた切ない物語です。
物語の舞台は東京の六本木の駅から麻布方面に向かう道にある、廃校になった小学校です。小学校の中庭には八角形の檻が設置されており、その中で「ガールズブラッド」と銘打った女の子同士の格闘「キャットファイト」が毎晩繰り広げられています。格闘と言ってもショーなので、激しく傷つけあうことはありません。
物語の主人公はそこでの格闘を仕事とする、まゆ、ミーコ、皐月の3人の女の子です。まゆの実年齢は21歳ですが、ガールズブラッドでは「まゆ十四歳」という名前を与えられ、ヒラヒラした衣装を着て闘っています。ミーコはSMクラブの女王様を兼業していますが、本人は至ってノーマルです。かつては本格的な空手少女だった皐月は、なぜか激しく女性を嫌悪していました。
- 著者
- 桜庭 一樹
- 出版日
3人の主人公たちはそれぞれに傷ついた過去を抱え、再び傷つくことを恐れて新たな一歩を踏み出せずにいます。未来への何の展望も持てないままにガールズブラッドの世界に足を踏み入れ、その日その日を過ごしていました。しかし毎晩格闘をするうちに、いつしか自分が何を求めているのかに気付いていきます。そして仲間達との触れ合いにより、人生に立ち向かう勇気が芽生えてくるのです。
理不尽に傷つけられ未来を見失った少女たちが自らの力で立ち上がり成長していく過程を描いた、ほろ苦くも清々しい青春物語です。
15歳の少女、巣籠カナは田舎町の夜の繁華街を逃げ回っています。カナの義理の父親が2階から転落し、2階の窓にいるカナの姿を目撃した隣家の夫婦が警察に通報したのでした。
パトカーのサイレンが鳴り響く中、逃げ場所に困ったカナは雑居ビルの裏に設置された巨大なダストシュートに身を隠そうと蓋を開けます。するとその中には雪のように真っ白な少女が裸体に銃だけを手にして横たわっていました。
死んでいるように見えた少女は突然目を開きカナに話しかけてきます。記憶喪失らしいその少女に自分の名前を付けて欲しいと頼まれたカナは少女に「白雪」と名付け、行く宛のなさそうな白雪と共に2人で東京に向かうのでした。
同日、カナの住む町の山に未確認飛行物体が墜落するという事件が起きていました。そして東京に着いたカナは、カナの住む町で資産家の娘が拳銃を所持した犯人に誘拐される事件も起こっていたことを知ります。
カナは白雪の正体は誘拐された令嬢か、あるいは宇宙人ではないかと思いますが、白雪は何も答えようとしません。そんな2人を正体不明の人物が尾行してくるのでした。
- 著者
- 桜庭 一樹
- 出版日
- 2008-10-25
15歳のカナはすでに子どもではないけれど大人扱いはされず、それまで中途半端な存在でいましたが、その年頃のせいで悲劇が起こるのです。女の子が大人になるということには、危険と痛みや苦しみが隣り合わせにあるという事に改めて気付かされます。
物語は不思議な結末を迎えますが、それをどのように解釈するかは読者に委ねられています。少女の成長への葛藤を疾走感あふれる展開で描いた、斬新な青春小説です。
コマコは5歳の女の子。25歳の美しい母親のマコと2人で生活保護を受けながら公営住宅に住んでいました。
ある日コマコはマコから突然「コマコ、逃げるわよ」と言われ、2人で公営住宅を後にします。
公営住宅の階段から滴る赤い液体と、先端が赤く染まった鋏を見た記憶がコマコの頭に残りますが、マコは何も言わずコマコも何も聞きませんでした。
以後2人は、2人を探す何者かから逃れるため転々と居場所を変えて生きていきます。
- 著者
- 桜庭 一樹
- 出版日
- 2011-11-15
いつもマコはコマコに「私のためのコマコ」、「コマコ愛してる」と言いますが、時々コマコを虐待します。虐待の頻度と度合いは年を経るごとにエスカレートして行きますが、コマコはそれを当然のように受け入れるのです。
常に転々として学校にも行ったことがないコマコの世界にはマコしか存在せず、コマコにとってマコは絶対的な存在なのでした。
そんな2人だけの生活はコマコが14歳になるまで続くのですが、突然2人に別れが訪れます。
マコの付属品でしかなかったコマコにとって、マコのいなくなった人生は「余生」でした。しかし「余生」はコマコが思ったよりも長く、様々な出来事や出会いがある中でコマコは徐々に自我を確立し、自分の人生を歩み始めます。
子供が親を信じ依存するのは当然の事ですが、親が未熟であったり理不尽であったりすることは決して珍しいことではありません。
力ない子供時代を親に振り回されるコマコのような存在は、程度の差こそあれ至る所に実際に存在します。子供は自分の原体験と向かい合ってどう生きていくか、多くの人間が抱える難しいテーマに挑んだ桜庭一樹渾身の大作です。
桜庭一樹のおすすめ作品を選んでみました。作品ごとにがらりと世界観が変わり、文章のタッチも変幻自在で、とても面白い作家です。ぜひ読んでみてくださいね。