ミステリーから時代小説まで多彩な名作を生んだ松本清張。名作が多過ぎて、どれを読めばよいか迷ってしまいますが、あえて選んでみました。松本清張の作品のおすすめを10作ご紹介します。

処女作にして既に、のちに松本本人が鋭く喝破することとなる社会への問題提起の視点が存在しています。まだまだ初々しいからこそ、そこが際立ち、フィクションなのかノンフィクションなのかわからなくなりそうな絶妙なリアリティが、しっかりと描かれているのです。
- 著者
- 松本 清張
- 出版日
- 1965-11-29
描かれる日常は淡々としていても、視る者と視られる者の緊張感は凄まじいものがあります。このままなにも起こらないのか、犯人の石井が会いに来るのか。
- 著者
- 松本 清張
- 出版日
- 1965-12-17
アリバイ崩しのミステリー長編です。松本清張初の長編小説で、ブームを巻き起こすきっかけともなりました。
- 著者
- 松本 清張
- 出版日
- 1971-05-25
リーガル・サスペンスに類される松本清張の作品。貧しい兄妹に降りかかった過酷な運命と、金がなければ助けないという弁護士の姿がシビアに描かれています。弁護士はおかしなことは言っていませんから、桐子の彼への復讐は、理不尽といえば理不尽なのに、どうしても読者は桐子に共感せざるを得ない展開になっているのです。
- 著者
- 松本 清張
- 出版日
- 1972-02-01
何度もドラマ化されているものの、正直松本清張の原作を越えたものは一作もありません。それだけ原作の完成度が素晴らしいのです。とにかく元子がいやな女でいて、格好よくて強かで、周囲の人間たちがまさに魑魅魍魎ばかりという感じで、息をもつかせぬ展開をしていきます。
- 著者
- 松本 清張
- 出版日
- 1983-01-27
一件落着からの急転直下の展開が素晴らしい作品です。想像もしない方向へと進んでいく過程がなんとも息苦しく、決着に満足していた高森の鼻をへし折るような辛辣さに、さすが松本清張と思わざるを得ません。
- 著者
- 松本 清張
- 出版日
あえてこの作品を選んだのは、『点と線』の三原・鳥飼コンビが復活しているからなのです。このふたりの組み合わせはとても魅力的で、さすがの推理力を発揮しています。時系列的には『点と線』の4年後なのだとか。
- 著者
- 松本 清張
- 出版日
- 1972-12-19
この作品の文章は非常に読みやすく、ページ数は少なくはないのですが、あっという間に読み終えてしまうかと思います。次々とたくさんの糸が絡まりますが、複雑な表現があまりないので理解しやすいです。
- 著者
- 松本 清張
- 出版日
- 1971-02-23
松本清張の代表作『砂の器』の原型とも言われている表題作は、田上耕作という男性が主人です。生まれつき神経障害で麻痺がありましたが、頭脳はむしろ優秀でした。友人から勧められた書物から、森鴎外に興味を持ち、彼が自らの郷土で過ごした三年間を綴った日記を補完したいと思うようになるストーリーです。
耕作は、数々の文献を漁り、ゆかりある人を取材して、鴎外の足あとを追い続けます。しかし、戦争が始まったことで、取材は困難になり、食糧不足から体調も悪化して、寝たきりになってしまいます。日記の所在、耕作の運命を、時代と共に克明に描いた作品となっているのです。
- 著者
- 松本 清張
- 出版日
- 1965-06-30
本作は、松本清張の人生を色濃く反映した一冊になっています。舞台になったのは、福岡県小倉市。当時、彼が暮らしていた場所です。主人公が探している小倉日記は、森鴎外が小倉で軍医をしていた時代の日記。鴎外に対し、松本は一生涯を通じて興味関心を持ち続けていました。その理由は、長年にわたり数々の研究者たちが議論を重ねているほどです。
そして、これまでは朝日新聞で会社員として働きつつ、兼業作家として小説を執筆していた松本清張が、執筆業に専念することになったきっかけも、この作品でした。芥川賞という大きな賞を得ることになり、彼の名を世により広く知らしめたのです。
1960年代に執筆されている作品なので今との時代背景の違いを感じることができるでしょう。物語の最後にハンセン病の内容が出てきますが、その頃に差別され苦しんでいた人々について、深く考えさせられる部分です。この作品は映画やドラマ化もされていますが、映像化よりも本を読んだ方がひしひしと伝わる部分となっているので映像化されたものを既に見ている方は、細かく執筆されている小説も楽しんで頂ければと思います。
- 著者
- 松本 清張
- 出版日
松本清張を紹介しはじめたらキリがなく、あれもこれも!と思ってしまうのですが、今回はこの10作を選んでみました。まだまだたくさんの名作があるので、また、別の視点でいつか紹介できたらいいなぁと思っています。