詩的で美しくも骨太の世界観を描き続ける丸山健二。胸に沁みる独特の物語が多いのが特徴です。そんな、丸山健二の作品のおすすめを6作ご紹介します。

23歳という若さで芥川賞受賞することになった作品ですが、選考の際、選者のひとりであった三島由紀夫は「男性的ないい文章であり、作品である」と評価しつつも、「あんまりに落ち着き過ぎ、節度があり過ぎ、若々しい過剰なイヤらしいものが少な過ぎるのが気になる」「悪い意味でのしてやったりという若気も出ている」と、のちの丸山作品に繋がる部分を指摘してもいます。
- 著者
- 丸山 健二
- 出版日
- 2005-02-11
純文学と呼ぶべきなのでしょうか。少々、いや、かなり歪んだ青春小説です。ずっとひきこもり続ける青年が身勝手な妄想を重ねていくばかりの物語。ねじ曲がった想像ばかりなのでどこまでが現実なのだろうと判別がしにくくなるのですが、その中には膨れ上がった不安のようなものも始終みなぎっていて、圧倒させられます。
- 著者
- 丸山 健二
- 出版日
詩的で絵画的な文章でつづられた作品でありながら、無駄な表現がなく、どことなくどっしりしていて、落ち着いて読むことができます。登場人物の葛藤や呻きの深さに、胸が突かれるように痛くなるかもしれません。
- 著者
- 丸山 健二
- 出版日
とにかく文章が巧く、読み出すと止められません。なにしろ、目の前に鮮やかに光景が浮かび上がるという印象なのです。その巧さ故なのか、描かれている不幸で救いようのない女性のことが余計に苦しく感じられてしまいました。主人公には次の道が開かれているようだけれど、この女の人は救われないのかもしれないなぁと思ったり。
- 著者
- 丸山 健二
- 出版日
世話を依頼された「彼」との生活、政治家暗殺に成功するはずだった「彼」が謎の死を遂げるまでを「私」の視点から緻密かつ刹那的に描いた作品です。与えられた仕事を的確にこなしたのに会社に裏切られた「私」と、仁義に自分をささげた「彼」の対比が素晴らしく、盛りの時期が過ぎた信州の避暑地の描写が実に見事でした。
- 著者
- 丸山 健二
- 出版日
主人公は「海ノ口町」に住む40代の公務員の男。彼は故郷愛が強く、町の外に出ていくことはほとんどありません。そんな生活をしている中、うさんくさいよそ者が町に住みついて彼の故郷に対する葛藤が始まるという話です。
彼の葛藤は常に故郷愛に根づいたものなのですが、少しずつ不穏な雰囲気を帯びていきます。
- 著者
- 丸山 健二
- 出版日
セリフはあまりなく主人公の考えがつらつらと書かれているのですが、彼の心の葛藤がどんどん歪んだものになり、その歪みを他人に指摘され苦悩していく様子に引き込まれます。
また、主人公の苦悩、不穏さがセリフだけでなく彼が見る風景を通して感じることができます。風景はどこにでもある田舎なのですが、彼を通して見る風景が少しずつ、でも確実に奇妙になっていく様に丸山健二の筆力を感じるでしょう。
この作品を読んで考えずにいられないのは故郷とはなにかです。故郷を持つ人、持たない人いると思いますが、故郷を持たず気にしないのがいいことなのか、それとも故郷を大事にして他のことが見えなくなるほどがいいことなのか、読み終わった後に思わず考えてしまうでしょう。
純文学とハードボイルドという相反したジャンルを巧みに重ね合わせて、世界を構築していく丸山健二。その文章の美しさをぜひ味わっていただきたいです。