『沙霧秘話』 二人で一人。二人は一人。恋が運命を変えてゆく。
旧家に住むのは16歳の娘である砂霧、その父に老女中など合わせて6人だけで、静かな生活をしていました。おとなしく華奢な砂霧。彼女は性格破綻者だったのです。突然眠り込んだかと思うと、きつい目つきで、きびきびした少女が現れたのです。
おとなしく右利きの砂霧と、活発で左利きの砂霧。吹雪の中訪れた若い旅人が、運命をひずませていきます。
- 著者
- 佐々木 丸美
- 出版日
- 2008-02-20
ある日の黄昏、束の間姿を消した沙霧は、掌に血をつけて見つかります。裁縫鋏をなくしたまま。そしてとうとう、父、砂霧、旅人の目の前に、もう一人の砂霧が現れます。すぐに消えたその姿は、幻か。
少しずつ眠る時間が永くなる沙霧。鏡に映るような二人の沙霧と二人の恋人。本身と影の二人は、やがて影の沙霧の恋心まで吸収していくのです。
回る運命の歯車に、二人の沙霧の幸せはどこへ向かうのでしょうか。北国の山と海を舞台にした、佐々木丸美の宿命と恋のおとぎ話をどうぞご堪能ください。
『崖の館』 ファンタジック・ミステリー
佐々木丸美の「館」シリーズの1作目です。百人浜の断崖に建つ白い館。高校2年生の涼子と5人のいとこたちは、いつものように冬休みを過ごすためにやってきます。そこは資産家のおばの養女である愛娘、千波が住んでいましたが、2年前、結婚を控えていた千波は崖から転落死してしまったのでした。
そして到着したその日に絵画が一枚消えてしまい、その翌日から次々といとこたちが惨劇に巻き込まれるのです。風が不気味に吹くその館に、生まれ始めた謎が心のすき間にしのび入り始めます。
- 著者
- 佐々木 丸美
- 出版日
- 2006-12-21
館に昔からひそむ血なまぐさい殺意は、一体誰のものだったのか。美しかった千波の死は、殺人だったのか。この惨劇も同じ人間の犯行か。
海と崖の厳しい冬のなか、真実は海に託されていました。全ての犯人は、明るくなっていく海へと、雪の中を歩いていくのでした。
前に紹介した佐々木丸美の作品と比較すると、しっかりとしたミステリーになっています。雪と海の自然の美しさの中で起きる、密室殺人をファンタジー仕立てでお楽しみください。
『影の姉妹』 全ての運命はここから始まった
不思議な遺伝子を持つために、隠れ里に住む美しい姉妹。それは双児か分身か。母から子へと受け継げられていく血の因縁と、それを優しく見守る人々を描いた佐々木丸美の作品です。
邇邇玉(ににぎ)さまは、お館さまの子である毘翠(びなす)を生んですぐ亡くなります。2歳のときに毘翠は二人に。14歳になった毘翠は、恋をします。けれど二人になった毘翠を見て、男は逃げ出してしまうのです。
それでも毘翠は愛した人の子、真折を生むのでした。真折は、秘密をすべて受け入れてくれた男によって、隠れ里から連れ出されます。守り通され幸せな一生を過ごした真折は、ただ一度、娘の結婚時に分身します。
- 著者
- 佐々木 丸美
- 出版日
- 2007-12-21
見上げる夜空。あそこに光るはお母さま。こちらに光るはお父さま。子守唄にのせて、伝説は受け継がれます。人への愛はかならず己へ戻る。巡る愛が、いつかあなたに届き受け取ることができますように。
この作品の最後に出てくる女性が、孤児シリーズの主人公の母となって、話は続いていきます。佐々木丸美の全作品の原点ともいうべきです。無償の愛を描く最高傑作を、どうぞお楽しみください。