瀬尾まいこの作品は、柔らかく優しい文体が特徴で、その作品は読む人を心から温かい気持ちにしてくれます。その中には映画化された作品も。ここでは、疲れた心をふっと癒してくれるような、瀬尾まいこのおすすめ文庫本をご紹介していきます。

もう死ぬしかない、そう決めて旅立った北の地で死にきれなかったとき、主人公が得たものは何だったのでしょうか?『天国はまだ遠く』は瀬尾まいこが贈るハートフルな人生の旅立ちの物語です。
千鶴は就職活動がうまくいかず、なんとかもぐりこんだ営業職も向いていません。与えられたノルマを達成できず、そのせいで人間関係も思うようにいきませんでした。人生立ち行かなくなり、会社を辞めて自殺することを決意します。千鶴は、決心の鈍らないうちに身の回りを整理し、北の山奥を目指すのです。ようやくたどり着いた山奥の民宿で睡眠薬を飲むのですが、目覚めた時ぐっすり眠った後の爽快感に気づき、死に切れなかったことを悟ります。
偶然お世話になることになった民宿は、田村さんの経営する「民宿田村」でした。田村さんは商売っ気がなく、客としての千鶴への応対もかなり大雑把なものになります。しかし、豊かな大自然とおおらかな村人に囲まれた山奥の民宿生活に、千鶴はこれまでの人生にない充実感を感じるのです。
- 著者
- 瀬尾 まいこ
- 出版日
- 2006-10-30
瀬尾まいこは、実際に中学の先生として丹後地方へ赴任した経験をもとに『天国はまだ遠く』を執筆しました。想像を超える豊かな自然と想像していたほどでもなかった田舎感の間で、いろいろと培った経験がもとになっているのです。そして幸せな経験を積み重ねながらも、どこかここは自分の地ではないという違和感を覚えていました。
千鶴も自分が「自然と共に暮らせる人間ではない」ことに気づきます。そしてまた都会に帰って生活することを決断するのです。千鶴の決断には豊かな自然の中での経験や、田村さんのおおざっぱな愛情が大きく影響しています。人生をリセットすることで、これまでの自分が真の自分だったのかと問いかけ、改めて新しい自分に辿り着けたのだと思うのです。
しがらみにとらわれてしまっているとき、こんな考え方もあるんじゃない?とそっと視点を変えてくれる瀬尾まいこの物語に癒されてみませんか。
主人公の吉田幸子は短大を卒業してOLになったものの、上司との折り合いが悪く3年で会社を辞めてしまいます。1人暮らしを始めたばかりで貯金もなかったことから、アルバイト情報誌にあった「未経験者大歓迎・時給千二百円」と「1人でできる仕事・煩わしい人間関係なし」という文句にひかれジュリエ数術研究所に入門し、「ルイーズ吉田」という名前で占い師を始めるのでした。
客の名前と生年月日を聞いて姓名判断や四柱推命の本に書かれている事を伝えるのが仕事の基本なのですが、面倒くさいことが嫌いなルイーズは相手の容姿や話し方を見て直感で占うようになります。大抵の客の相談は恋愛関係なので、その人に合った方向に背中を押してあげるような気分で占っていました。
ルイーズには同棲する通彦という恋人がいます。彼はもともとルイーズの店に来た女性客の恋人でしたが、通彦の運勢を見たルイーズは彼が滅多にない強運の持ち主で大成功を収める人物だという結果を見て、彼女と別れることを勧め自分との相性の良さをアピールすることで通彦を手に入れたのでした。
- 著者
- 瀬尾 まいこ
- 出版日
- 2009-05-08
煩わしい人間関係のない占い師という職業に自分の性分に合った気楽さを感じていたルイーズでしたが、時々に持ち込まれる占いでは解決できないような客の相談事に向かい合ううち、彼女の心に変化が起こっていきます。また、恋人の通彦は市役所で働く公務員で、強運の持ち主だという割には目立つ個性や取り柄があるわけでもなく平凡な日々を過ごしてきたのですが、ある事から「強運の持ち主」とはどういう事なのかということにも気付かされることにもなるのです。
主人公は占い師という一風変わった設定ですが、人との関わりの中で成長していく姿は一般社会や学生生活と共通しており、読者の共感と親近感を誘います。
人より少しだけ自分に正直で勇敢なルイーズが、面倒なことは嫌いだと言いつつも人の幸せのために悩んだり奔走したりする姿が微笑ましい、心温まる作品です。
全て日常では頻繁に起こり得ることではない題材になっていますが、文章自体はするすると入ってくるような読みやすい短編小説です。読後にはなぜか心がぽかぽかと温まるような気持ちになり、そこが小説の最大の魅力となっているので、いつのまにか瀬尾まいこのとりこになってしまう読者も多いかと思います。
- 著者
- 瀬尾 まいこ
- 出版日
- 2008-04-10
教師という仕事を心から楽しいと感じ、どんなに大変で、やめたい!と思ったことがあったとしても、生徒たちの顔を見れば不思議とテンションが上がってしまう。そんな“瀬尾先生”の日常と、可愛い生徒たちとの交流が綴られています。
- 著者
- 瀬尾 まいこ
- 出版日
- 2010-10-25
清の周りには優しい人間がいます。
- 著者
- 瀬尾 まいこ
- 出版日
- 2009-07-08
中原家の習慣は、毎朝必ず家族が一緒の食卓につくということ。ある朝の食卓で、主人公・佐和子の父である弘が、“父さんは今日で父さんをやめようと思う”と言い出します。父は中学校の教師をしていましたが、それも退職するとのこと。佐和子の母は、あることがきっかけで家を出て1人暮らし中です。成績優秀でスポーツ万能な兄・直は、真剣であることを放棄し、大学へ行かず突然無農薬野菜を栽培し始めました。
- 著者
- 瀬尾 まいこ
- 出版日
- 2007-06-15
この少し変わった母親との日常が、とても淡々とですが面白く描かれていて、物語に引きつけられます。母親の恋人と交流を深めていくうち、育生の出生の秘密が明らかになりますが、そこには、母の育生に対する深い愛情が隠されていたのです。
- 著者
- 瀬尾 まいこ
- 出版日
- 2007-06-28
物語は駅伝大会当日、1区から6区までそれぞれの区間を走る選手たちが、駅伝大会までの自身の日々を回想する形で描かれています。襷とともに、それぞれが抱えていた問題や、駅伝への想いなど、メンバー1人1人のドラマが綴られ積み重なっていきます。そして最後の章、誰よりもこの駅伝に熱い思いで頑張ってきた最終ランナー・桝井に襷が繋がるのです。
- 著者
- 瀬尾 まいこ
- 出版日
- 2015-03-28
戸村飯店はラーメンやチャーハンが人気の、超庶民派な中華料理店です。兄のヘイスケは、大阪生まれの大阪育ちにもかかわらず、いまいち大阪という街に馴染めないでいました。いつしか店に顔を出すこともなくなり、高校卒業と同時に家を出て東京の専門学校に入学します。
- 著者
- 瀬尾 まいこ
- 出版日
- 2012-01-04
瀬尾まいこのおすすめ文庫をご紹介しました。どの作品に登場する子供たちもとてもリアルに描かれていて、長い間教育現場で、子供たちと密に接してきた瀬尾だからこそ書ける温かい作品ばかりになっています。