瀬尾まいこのおすすめ文庫本ランキングベスト9!優しい作風が魅力

更新:2016.4.22

瀬尾まいこの作品は、柔らかく優しい文体が特徴で、その作品は読む人を心から温かい気持ちにしてくれます。その中には映画化された作品も。ここでは、疲れた心をふっと癒してくれるような、瀬尾まいこのおすすめ文庫本をご紹介していきます。

京都生まれの京都育ちのOLです。文房具会社の事務員をしています。 女性向けエッセイや小説をよく読みます。 林真理子、西加奈子、川上弘美が好きです。
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作家・瀬尾まいことは?

1974年、大阪府に生まれた瀬尾まいこは、大谷女子大学国文科を卒業したのち、中学校の国語の講師になります。2005年には教員採用試験に合格。2011年に退職するまで、瀬尾まいこは中学校で国語の教師を務める傍ら、作家として数々の作品を執筆してきました。

2001年、『卵の緒』で坊っちゃん文学賞の大賞を受賞し、作家デビューを果たします。2005年には『幸福な食卓』で吉川栄治文学新人賞を受賞。2008年『戸村飯店 青春100連発』では坪田譲次文学賞を受賞と、瀬尾まいこは数々の文学賞を受賞しています。

9位:瀬尾まいこが描く人生の再出発

もう死ぬしかない、そう決めて旅立った北の地で死にきれなかったとき、主人公が得たものは何だったのでしょうか?『天国はまだ遠く』は瀬尾まいこが贈るハートフルな人生の旅立ちの物語です。

千鶴は就職活動がうまくいかず、なんとかもぐりこんだ営業職も向いていません。与えられたノルマを達成できず、そのせいで人間関係も思うようにいきませんでした。人生立ち行かなくなり、会社を辞めて自殺することを決意します。千鶴は、決心の鈍らないうちに身の回りを整理し、北の山奥を目指すのです。ようやくたどり着いた山奥の民宿で睡眠薬を飲むのですが、目覚めた時ぐっすり眠った後の爽快感に気づき、死に切れなかったことを悟ります。

偶然お世話になることになった民宿は、田村さんの経営する「民宿田村」でした。田村さんは商売っ気がなく、客としての千鶴への応対もかなり大雑把なものになります。しかし、豊かな大自然とおおらかな村人に囲まれた山奥の民宿生活に、千鶴はこれまでの人生にない充実感を感じるのです。

著者
瀬尾 まいこ
出版日
2006-10-30

瀬尾まいこは、実際に中学の先生として丹後地方へ赴任した経験をもとに『天国はまだ遠く』を執筆しました。想像を超える豊かな自然と想像していたほどでもなかった田舎感の間で、いろいろと培った経験がもとになっているのです。そして幸せな経験を積み重ねながらも、どこかここは自分の地ではないという違和感を覚えていました。

千鶴も自分が「自然と共に暮らせる人間ではない」ことに気づきます。そしてまた都会に帰って生活することを決断するのです。千鶴の決断には豊かな自然の中での経験や、田村さんのおおざっぱな愛情が大きく影響しています。人生をリセットすることで、これまでの自分が真の自分だったのかと問いかけ、改めて新しい自分に辿り着けたのだと思うのです。

しがらみにとらわれてしまっているとき、こんな考え方もあるんじゃない?とそっと視点を変えてくれる瀬尾まいこの物語に癒されてみませんか。

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8位:瀬尾まいこが描く強運

主人公の吉田幸子は短大を卒業してOLになったものの、上司との折り合いが悪く3年で会社を辞めてしまいます。1人暮らしを始めたばかりで貯金もなかったことから、アルバイト情報誌にあった「未経験者大歓迎・時給千二百円」と「1人でできる仕事・煩わしい人間関係なし」という文句にひかれジュリエ数術研究所に入門し、「ルイーズ吉田」という名前で占い師を始めるのでした。

客の名前と生年月日を聞いて姓名判断や四柱推命の本に書かれている事を伝えるのが仕事の基本なのですが、面倒くさいことが嫌いなルイーズは相手の容姿や話し方を見て直感で占うようになります。大抵の客の相談は恋愛関係なので、その人に合った方向に背中を押してあげるような気分で占っていました。

ルイーズには同棲する通彦という恋人がいます。彼はもともとルイーズの店に来た女性客の恋人でしたが、通彦の運勢を見たルイーズは彼が滅多にない強運の持ち主で大成功を収める人物だという結果を見て、彼女と別れることを勧め自分との相性の良さをアピールすることで通彦を手に入れたのでした。

著者
瀬尾 まいこ
出版日
2009-05-08

煩わしい人間関係のない占い師という職業に自分の性分に合った気楽さを感じていたルイーズでしたが、時々に持ち込まれる占いでは解決できないような客の相談事に向かい合ううち、彼女の心に変化が起こっていきます。また、恋人の通彦は市役所で働く公務員で、強運の持ち主だという割には目立つ個性や取り柄があるわけでもなく平凡な日々を過ごしてきたのですが、ある事から「強運の持ち主」とはどういう事なのかということにも気付かされることにもなるのです。

主人公は占い師という一風変わった設定ですが、人との関わりの中で成長していく姿は一般社会や学生生活と共通しており、読者の共感と親近感を誘います。

人より少しだけ自分に正直で勇敢なルイーズが、面倒なことは嫌いだと言いつつも人の幸せのために悩んだり奔走したりする姿が微笑ましい、心温まる作品です。

7位:瀬尾まいこが描く、心がぽかぽかする日常

なぜか彼氏を実家に招きたがらない彼女と彼氏の物語「優しい音楽」、不倫相手の子供を預かる女性の物語「タイムラグ」、同棲している自宅に彼女がホームレスを連れて帰ってくる「がらくた効果」の3作品で構成されている短編小説です。

何の変哲もない日常を書いただけの小説に感じるかと思いますが、瀬尾まいこの魅力は山も谷もない一直線のように表現できるような物語の中に隠されています。登場人物が何気なく会話をする、その言葉でさえも読み進めると一言、一言に魂が宿っていて、いきいきしていることを実感できるかと思います。
著者
瀬尾 まいこ
出版日
2008-04-10
全て日常では頻繁に起こり得ることではない題材になっていますが、文章自体はするすると入ってくるような読みやすい短編小説です。読後にはなぜか心がぽかぽかと温まるような気持ちになり、そこが小説の最大の魅力となっているので、いつのまにか瀬尾まいこのとりこになってしまう読者も多いかと思います。

起伏が激しいミステリーや恋愛小説を読むのも楽しいですが、著者のような優しく読み終えた後に幸福感に包まれるような小説を楽しむのも日々行っている読書に刺激を与え、これも悪くないと思ってもらえるかと思います。みなさんもぜひ、読書で癒されてみてはいかがでしょうか。

6位:瀬尾まいこの教師生活を綴るエッセイ集

瀬尾まいこが、赴任先の中学校で先生として奮闘する日々を綴った、心温まるエッセイ集です。中学生たちの青春を謳歌する姿が微笑ましく、ありのままの教師生活を垣間見ることができる、素敵な作品になっています。

決して上手に学校生活を送れた子供ではなかった、という瀬尾まいこ。それでもずっと教師になりたいと思っていたそう。10年近くかかって遂に教員採用試験に合格。瀬尾まいこは、それまで非常勤講師として勤めていた、全校生徒30名ほどの小さな学校から、全校生徒200名以上の学校に職場を変えることになります。
著者
瀬尾 まいこ
出版日
2010-10-25
教師という仕事を心から楽しいと感じ、どんなに大変で、やめたい!と思ったことがあったとしても、生徒たちの顔を見れば不思議とテンションが上がってしまう。そんな“瀬尾先生”の日常と、可愛い生徒たちとの交流が綴られています。

教師という仕事はすばらしい!という瀬尾まいこの、素敵な先生っぷりや人柄の良さが伝わってくる、明るく楽しいおすすめのエッセイ集です。

5位:一人の女性が人との関わりを通じて傷を癒やし、成長していく物語

主人公清(キヨ)は高校3年生までバレーボールに打ち込む少女でした。しかし、ある事件で清は心を痛め、バレーボールをやめてしまします。バレーボールを諦めきれない清は、バレーボール部の顧問になろうと高校の講師になります。ところが、赴任先の高校で任されたのは部員1名の文芸部の顧問でした。

文芸には全く興味のない清でしたが、唯一の部員垣内と部活動をしていくなかで色々なことに気づかされます。なんてことのない日常の中で優しさに触れながら成長する清の暖かい物語です。
著者
瀬尾 まいこ
出版日
2009-07-08
清の周りには優しい人間がいます。

清の弟の拓実は何かと理由をつけて清の部屋を訪れます。直接言葉にはしませんが、傷ついている姉を心配しているのです。拓実はとぼけたところもありますが、人の辛さ、苦しみがわかる優しさを持っている“いい奴”です。

文芸部員の垣内は高校3年生にして話し方、考え方が大人びていて落ち着いています。もしかすると清よりも大人なのかもしれません。そんな人たちに囲まれながら清は心癒やされていくのです。

そして、その垣内との部活動を通してさまざまな文学作品が取り上げられています。『夢十夜』、『さぶ』、『こころ』など。それらに関して、討論をかわす清と垣内の掛け合いが絶妙でホッとする部分があります。

垣内は文学の魅力として、文学を通せばさまざまな世界を見られると語っています。読書が好きな人にとってはわかるわかる、と手を打ちたくなるような場面がちりばめられているのではないでしょうか。

物語の随所に描かれる登場人物達のさりげない名言も心を打つものがあるでしょう。ぜひ、この作品を読んで癒やされてみてはいかがでしょうか。

4位:家族の絆を描く物語

主人公の少女の家族の日常を描くとともに、少女が中学生から高校生へと成長していく姿を描いた瀬尾まいこの長編小説です。吉川栄治文学新人賞に輝き、2006年にコミック化、2007年には北乃きい主演で映画化もされたヒット作になっています。
著者
瀬尾 まいこ
出版日
2007-06-15
中原家の習慣は、毎朝必ず家族が一緒の食卓につくということ。ある朝の食卓で、主人公・佐和子の父である弘が、“父さんは今日で父さんをやめようと思う”と言い出します。父は中学校の教師をしていましたが、それも退職するとのこと。佐和子の母は、あることがきっかけで家を出て1人暮らし中です。成績優秀でスポーツ万能な兄・直は、真剣であることを放棄し、大学へ行かず突然無農薬野菜を栽培し始めました。

そんな家族に囲まれる佐和子は、あるトラウマを抱えていて、梅雨時になると決まって体調を崩してしまうのですが、戸惑いながらも毎日を元気に一生懸命過ごしています。こんなにもいろいろと問題を抱えている家族なのにもかかわらず、この家族の毎日はとっても明るくコミカルなのです。

どんなにつらい出来事があっても、朝はまた必ずやってきて、そしてまた家族みんなで食卓につく。様々な出来事を通して、家族の絆や佐和子の成長が描かれていて、全編通して柔らかく温かい、瀬尾まいこらしい雰囲気が漂っています。
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3位:注目を浴びた瀬尾まいこデビュー作品

坊っちゃん文学賞大賞受賞作である『卵の緒』と、『7’s blood』の2作品が収録された一冊です。どちらの作品も家族関係をテーマに、様々な出来事が愛情深く描かれた瀬尾まいこの作品になっています。

『卵の緒』の主人公・鈴江育生は小学校5年生。育生の家には父親がおらず、母も掴み所がない性格のため、自分はきっと捨て子なのだと思っています。母との親子関係を確かめるべく、へその緒を見せてくれと母にお願いをしても“母さんは育生を卵で産んだの”と卵の殻が出てくるのです。そんな母には、近頃どうも気になる男性が現れたようで……。
著者
瀬尾 まいこ
出版日
2007-06-28
この少し変わった母親との日常が、とても淡々とですが面白く描かれていて、物語に引きつけられます。母親の恋人と交流を深めていくうち、育生の出生の秘密が明らかになりますが、そこには、母の育生に対する深い愛情が隠されていたのです。

『7’s blood』では、高校3年生の主人公・七子が、父と愛人との間に生まれた子供・七生と突然2人で暮らすことになります。

どちらのストーリーにも、複雑な事情を抱えた家族が登場しますが、重苦しくなるわけではなく、明るく優しい希望溢れる物語になっています。

2位:瀬尾まいこが描く爽やかな青春小説!

最後の駅伝大会にのぞむ、中学生たちの熱い日々を描く青春小説です。寄せ集めのメンバーたちと、スポーツにうとい頼りない顧問が、心を1つに県大会を目指します。

舞台となるのは、市野中学校陸上部。昨年までは熱心で厳しい顧問のもと、毎年のように県大会への出場を果たしていました。ところがそんな顧問が異動になってしまい、新しい顧問としてやってきたのは、運動が苦手で美術が専門の女教師・上原先生。しかも陸上部だけではメンバーが足りず、駅伝に参加できないという状況です。部長である桝井は、それでもあきらめることなく駅伝メンバーを募り、寄せ集めの駅伝メンバーが完成したのです。
著者
瀬尾 まいこ
出版日
2015-03-28
物語は駅伝大会当日、1区から6区までそれぞれの区間を走る選手たちが、駅伝大会までの自身の日々を回想する形で描かれています。襷とともに、それぞれが抱えていた問題や、駅伝への想いなど、メンバー1人1人のドラマが綴られ積み重なっていきます。そして最後の章、誰よりもこの駅伝に熱い思いで頑張ってきた最終ランナー・桝井に襷が繋がるのです。

中学生たちが、ただひたすらに努力し成長していく姿はとても眩しく輝いていて、大人が読めば目頭が熱くなる、瀬尾まいこの感動作品になっています。

1位:瀬尾まいこの傑作青春小説!

大阪の下町にある中華料理店“戸村飯店”の2人息子の姿を描いた青春小説です。まったくタイプの違う年子の兄弟の青春期を、ときに面白おかしく、ときに感動的に綴り、坪田譲次文学賞を受賞しました。瀬尾まいこの作品の中でも、1番におすすめしたい素敵な作品になっています。
著者
瀬尾 まいこ
出版日
2012-01-04
戸村飯店はラーメンやチャーハンが人気の、超庶民派な中華料理店です。兄のヘイスケは、大阪生まれの大阪育ちにもかかわらず、いまいち大阪という街に馴染めないでいました。いつしか店に顔を出すこともなくなり、高校卒業と同時に家を出て東京の専門学校に入学します。

一方の弟・コウスケは明るい性格で、店に来る客たちとも仲が良く、積極的に店を手伝っています。ヘイスケが店に寄り付かないこともあり、漠然と自分が店を継ぐのだろうと思っていました。

ヘイスケの東京での生活や、コウスケが進路について悩む姿が交互に描かれ、様々な経験を通して成長していく兄弟の姿が、明るくコミカルに綴られています。

大阪という街の特性を存分に描き、とっても笑えてホロリと泣ける、魅力的な青春ストーリーになっています。

瀬尾まいこのおすすめ文庫をご紹介しました。どの作品に登場する子供たちもとてもリアルに描かれていて、長い間教育現場で、子供たちと密に接してきた瀬尾だからこそ書ける温かい作品ばかりになっています。

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