苦悩しながらも必死に生きる人物を描くことの多い百田尚樹。読者のツボを的確につく巧みな作家です。「直木賞よりも本屋大賞ははるかに素晴らしい」と言い切った百田尚樹のおすすめ作品をご紹介します。

本当の祖父の名前は宮部久蔵と判明し、戦友会経由でラバウルで一緒だったという元海軍少尉と会うと、「海軍航空隊一の臆病者」「なによりも命を惜しむ男だった」と蔑みを口にしました。祖父の印象は語る人によって異なり、調べれば調べるほど分からなくなっていくのです。
- 著者
- 百田 尚樹
- 出版日
- 2009-07-15
年齢問わず女性にとって、容貌の美醜はとても気になるものです。ちょっと不細工なくらいなら化粧でなんとでもなるかもしれませんが、なんともならないレベルだった和子には自分を力ずくで変える方法しかありませんでした。繰り返された整形手術で中身はずたぼろになっているのに、見た目だけは美しい「未帆」として。
- 著者
- 百田 尚樹
- 出版日
- 2012-04-12
歴史経済小説というジャンルになるのでしょうか。主人公の田岡鐵造は出光興産の出光佐三がモデルです。田岡の生涯と彼が営む田岡商会が大企業に成長していく様子が描かれています。
- 著者
- 百田 尚樹
- 出版日
- 2014-07-15
百田尚樹初の時代小説です。確かな実力のある彦四郎が「卑怯傷」を負ったのはなぜなのか――その真相を追い駆ける物語で、構成的には『永遠の0』に近いかもしれません。簡潔明瞭にして的確な描写にぐいぐい惹きつけられ、自己犠牲をしてまでも相手を想う純粋な人間の生きざまに考えされられてしまう作品です。
- 著者
- 百田 尚樹
- 出版日
- 2012-06-15
短い話ばかりなので粗筋を説明するのは難しいのですが、2作だけ少しご紹介します。
- 著者
- 百田 尚樹
- 出版日
- 2013-12-12
自費出版業界の裏事情を暴いた本、と言ったら語弊があるでしょうか?
丸栄社という出版会社は、池袋に立派なビルを構え、内部には豪華なロビーや応接室もあります。
輝かしい自分史を残したい団塊世代のオジサン。スティーブ・ジョブズに憧れるフリーター。自慢の教育論を発表したい主婦。夢見る彼らに敏腕編集長「牛河原」は言います。
「現代では、夢を見るには金がいるんです!」。
牛河原の巧妙な口車に乗せられ、ご立派なこのビルを訪れた人達は、その格式高そうな雰囲気に酔い、自分の心に油断という風が吹き込んできた事に気付きません。
- 著者
- 百田 尚樹
- 出版日
- 2015-04-03
実はこの会社は、普通の出版社ではなかったのです。
少しばかり文章が書けて、そのうえ小金も溜めている、そんなお客を見つけたら、才能があろうが無かろうが、すっぽんみたいに食いついて離れない、自称「夢を売る男」牛河原を抱えているものだから、集客し集めたお金で、かくも立派なビルを建ててしまったのです。
法に引っかからないぎりぎりの手口で、売れない売らない本を量産し、もちろんアフターサービスもゼロ。甘い汁を吸って微笑むのは出版会社と敏腕編集者だけでした。
自費出版を計画している人には必見のバイブルとなるでしょう。
高校のボクシング部が舞台です。勉強は出来ないけれど、ボクシングは天才肌の鏑矢(カブ)と、運動が苦手な優等生の木樽(ユウちゃん)は幼馴染み。
ある事件をきっかけに、ユウちゃんはカブの所属するボクシング部に入部することになるのですが、コツコツ頑張るタイプの彼の入部により、ボクシング部の雰囲気も変わっていきます。
- 著者
- 百田 尚樹
- 出版日
- 2013-04-12
ユウちゃんに少なからず影響を受けたカブが、ライバル校の強敵稲村に勝つという目標に向かって漸く奮起する一方、ユウちゃんも「いつかカブと戦いたい」という一心でデビュー戦に向けた練習に励みます。
カブとライバル稲村との決戦。カブとユウちゃんの対決は胸を揺さぶられるシーンばかりです。ボクシングを知らない人でも、読後はきっとボクシング通になるでしょう。
挫折を繰り返しながら成長するカブとユウちゃん。年上の教師耀子を巡るユウちゃんとカブの関係、カブに思いを寄せるマネジャーの丸野の片思い、そんなスパイスも程良く効いた熱血青春物語です。
オオスズメバチの主人公「マリア」は「ワーカー」です。アリでいうと「働きアリ」にあたる彼女は、幼い妹たちと「偉大なる母」のため、毎日戦い続けます。そんなある日、偶然出会ったオスバチから、メスバチの一生がどんなものかを教えられることに。その後、オオスズメバチの帝国に異変が起きますが、彼女のとった行動とは……。
- 著者
- 百田 尚樹
- 出版日
- 2011-07-15
ストーリーとして、激しい起伏はありません。物語は淡々と進んでいきます。
描かれているのは昆虫の世界。弱肉強食の厳しく、壮絶な世界です。妹たちの為に「狩り」にいった姉妹が命を落とすということは日常茶飯事。また、どれだけ長く生きたとしても寿命は約30日。おまけにワーカーであるメスバチはオスバチと交配することもなく、卵を産むこともない。しかし子孫繁栄の為に命懸けで毎日狩りに出かける……。力強く、しかしそれでいて切ないマリアの生活が緻密に描かれています。
また、学術書としても興味深いものとなっています。オオスズメバチの生態学的要素が多分に含まれており、本書を読むことによってかなりの知識が手に入ります。生態学的要素といっても、生態や本能を主人公マリアの感情として表現しているので、とても分かりやすいです。読中は自分自身がオオスズメバチになっているかのような感覚が楽しめるでしょう。
オオスズメバチは人間にとって、とても恐ろしい昆虫であることには変わりありません。ですが、本書を読み終わった時、ハチを見る目が変わるかもしれない……そんな1冊となっています。昆虫好きな方はもちろん、嫌いな方。そして年齢問わず、現在懸命に生きている方におすすめです。
- 著者
- 百田尚樹
- 出版日
- 2016-02-26
百田尚樹は、番組構成やライターを務めていただけあって簡潔でわかりやすく、読者を惹きつけるコツをしっかりと知っている作家です。ジャンルも多岐に及びますので、ご自分の好きなジャンルから手に取ってみていただきたいと思います。