赤川次郎と言えば、ミステリーや推理小説を思い浮かべる方が多いかと思いますが、なんとファンタジーも書いているのです。

『ヴァージン・ロード』は、結婚を意識した29歳独身OLの物語。29歳独身女性といえば、周囲もどんどんと結婚し、いやでも結婚を意識せざるを得ない状況です。そんな女性事情を、女性目線の得意な赤川次郎が綴ります。
典子はある商事会社のOLでタイピストです。同僚の洋子とともに29歳で独身、長女として弟妹に頼られ、後輩の結婚話を洋子と毎日の食事ネタにして過ごしています。毒舌の洋子に比べ、典子には華やいだ話はありません。恋愛に限らず積極的に人の輪に入っていくことが性格的に苦手なのです。
そんな典子に近所のおばさんからお見合い話が持ち込まれます。しかも相手はバツイチ、子持ちです。初婚の典子に対し、親を含め周囲にはバツイチなんてとんでもないという人もいますし、ようやくその気になった典子を応援する人もいます。事情がありそのお見合いは「ご縁がなかった」ことになってしまうのですが、これをきっかけに、親戚の紹介や結婚紹介所からの紹介にチャレンジしていくのです。
前の奥さんと死別した男性や、母親の縛りつけが激しい男性、怪しげな上司など、おとなしかった典子の恋愛事情は目まぐるしく変化していきます。はたして典子は幸せな結婚に至ることができるのでしょうか。
- 著者
- 赤川 次郎
- 出版日
- 2008-01-25
結婚に至る恋愛事情は一通りではなく、人それぞれです。人間観察、とりわけ女性目線からの人間観察が得意な赤川次郎は、女性の気持ちの変化を丁寧に綴ります。
女性が活躍する作品が多い赤川ですが、『ヴァージン・ロード』は、控えめなヒロインが恋愛事情に翻弄されながらも、結婚に向かって進んでいく物語です。恋愛を仕切っていく女性も世の中にはいますが、典子のように積極的になれない女性も多いような気がします。ですが、『ヴァージン・ロード』の典子のように、自分の気持ちと周辺状況がリンクしたとき、行動にエンジンがかかる人もいると思うのです。
結婚そのものや結婚事情に悩んだりしたとき、本書を読めば新しい世界に踏み出すことができるかもしれません。ミステリーとは別の赤川次郎のもう一つの世界を楽しんでみてください。
主な登場人物は、結婚相談所を経営する42歳の深田栄一(37歳の妻と小学6年生と小学2年生の二人の息子の父親)と、結婚相談所の唯一の所員である小柄でかわいらしい23歳の寺沢紘子(独身で一人暮らし。相談者に少しだけ惹かれてしまうこともある、どこにでもいるような女性)です。この二人が経営している結婚相談所が舞台となっています。
結婚相談所にはなぜか変わった相談者が多く、鋭い推理を働かせる紘子と、ちょっと抜けている深田の名コンビが事件を解決していきます。事件といっても、殺人事件が起こるわけではありません。結婚しているにもかかわらず、妙な依頼をしてくる依頼者、財産問題、会ったこともない芸能人と結婚したい男、心の病などを持つ様々な依頼者が現れ、まさにタイトル通りのミステリー風になっています。
- 著者
- 赤川 次郎
- 出版日
- 1984-05-10
全6話の短編から構成されます。6話とも結婚相談所なのに結婚が成立しません。所長と同じようにさえない相談所ですが、各話それぞれの事件に紘子の鋭い洞察力による名探偵が光ります。
紘子のことを「こいつもなかなかいい娘だからな。まあ、話相手になら」と思う深田。一緒に飲んだ時には、あわよくばホテルにでも…とよこしまな妄想をしてしまいますが、現実にはそんなことにはまったくなりません。紘子のあっさりした対応に撃沈してしまいます。
一方で深田に対して「傷ついた乙女心をいやしてくれるには、ちょっとばかり魅力に乏しすぎるけど、単純なだけに人は好いから」と思う紘子。だからといっても二人には恋愛感情はないのですが、紘子の危機には深田は駆けつけてくれます。しかし、やはりそこは自分でも言っているほどのさえない中年。どこか抜けてしまっているので、そこを厳しく指摘してしまう紘子。雇い主と所員の立場が逆転してしまいますが、テンポの良い会話が心地よく感じられます。
本格的なミステリー小説とは違い、赤川次郎独特の少し軽くて難しくない短編小説です。赤川作品の入口にしてみても良いのではないでしょうか。
- 著者
- 赤川 次郎
- 出版日
- 著者
- 赤川 次郎
- 出版日
- 著者
- 赤川 次郎
- 出版日
- 1985-07-08
- 著者
- 赤川 次郎
- 出版日
- 著者
- 赤川 次郎
- 出版日
- 2006-09-15
- 著者
- 赤川 次郎
- 出版日
- 著者
- 赤川 次郎
- 出版日
- 1991-11-28
いかがでしたでしょうか?赤川次郎のおすすめ作品を8点、ご紹介致しました。有名なミステリー作品から、推理小説、それからファンタジーまで、実は幅広い作品が集まっているとお気付きかもしれません。
赤川次郎を読んでみたいけど、ジャンルに悩まれている方は、ぜひとも今回の8作品を読んで頂ければ幸いです。