ミュージシャンであり、俳優でもあり、詩人でもある町田康。多くの表現方法を模索してきた彼が行き着いたものは、小説でした。独特の文体と奇想天外の展開が一度読んだらクセになる作家、町田康のおすすめ文庫本をご紹介いたします。

- 著者
- 町田 康
- 出版日
- 2004-04-07
売れないパンクロッカーの岡倉は、バンド仲間と夜遅くまで酒を飲んで家に帰るのが面倒になったため、近くに住む浜崎という金持ちの友人の家を訪ねます。浜崎は知り合った時から繊細な男でしたが、その夜の彼は明らかに精神的に不安定でした。
浜崎は訳の分からない事を喋りまくった挙句に日本刀を振り回しはじめ、「跋丸をこのままのさばらしておくわけにはいかない」などと口走り、跋丸という人物を一緒に襲撃しに行こうと岡倉を誘います。岡倉は何とか浜崎をなだめて寝るのですが、眼を覚ました時には浜崎の姿はありませんでした。その代わりに帆一という若い男が現れ、岡倉に20万円の現金を渡します。それは浜崎から預かったもので、岡倉に跋丸を懲らしめて欲しいということでした。
岡倉は金を受け取ってしまったこともあり、浜崎と跋丸の間に何があったのかまったく知らないまま、帆一と共に跋丸に対する嫌がらせを実行していきます。最初は帆一に無言電話をかけさせたり、白紙のFAXを長々と送りつけたりするのですが、無言電話には無言で応対し、FAXは受信しないように設定するなど、一向にダメージを受ける様子のない跋丸に対し、2人は次第に嫌がらせの度合いを上げていくのでした。
- 著者
- 町田 康
- 出版日
本作と一緒に収録されている「けものがれ、俺らの猿と」という作品は、仕事のない脚本家が突然現れた映画監督と名乗る老人から脚本の依頼を受け、映画作りのためという名目で老人から指示される場所に行くと、必ず理不尽な暴力や不可解な出来事に遭うという話です。2作とも悲惨な現実とシュールな残酷とが交差する、奇妙な物語です。
主人公の男が住むビルには、いつの間にか管理人室に住み着いて管理人の如く振る舞う謎のおばさんがいます。ある日そのおばさんに「髭剃りの刃がない」と言うと、「権現市に行けば何でも売っている」と言うので、男は権現市に行ってみるのですが、市など出ておらず所々に乞食小屋があるばかりでした。
せめて権現に参拝して帰ろうと思い進んでいくと、中年の女がパンを手に持ち1人で喋っている姿を見かけます。芝居の稽古でもしているのだろうと思い通り過ぎるのですが、ふと振り返ると1人の男がいきなりその女の顔面を殴り、女が落としたパンを拾って食べている所を目撃するのでした。
さらに権現の森の方へと進んでいくと、楽隊が音楽の演奏をしていました。しかし男にはその楽隊の様子がまるで敗北者のように感じられ、不快な気分になるのでした。そこに先ほど女を殴っていた男が現れ、権現市は違う日に行われるので、その時に振る舞う料理の味見をして欲しいと頼まれます。自分のことを「権現市のために遠方から来てくれた裕福な青年」だと勝手に思い込み媚びるように話しかけてくる男に、主人公はますます不快感を募らせていくのでした。
- 著者
- 町田 康
- 出版日
- 2006-04-14
本作には表題作の他に、関わる人間のすべてが自分に含み笑いをしていると思う男を描いた「ふくみ笑い」や、基本や正しい方法を守らず、自分勝手な工夫ばかりしている男を描いた「工夫の源さん」など合計6作の短編が収録されています。それぞれの作品が内包する闇は読み進むほどに暗さを増し、気が付けば暗黒の異次元へと足を踏み入れてしまったかのような感覚にさせられる、怪談のような作品集です。
- 著者
- 町田 康
- 出版日
- 2001-04-25
- 著者
- 町田 康
- 出版日
- 著者
- 町田 康
- 出版日
- 2008-06-13
- 著者
- 町田 康
- 出版日
- 著者
- 町田 康
- 出版日
- 2010-04-15
- 著者
- 町田 康
- 出版日
以上、町田康のおすすめ文庫本ランキングでした。ここまで色々とご紹介しましたが、彼の魅力はなんといっても他に類を見ない独特のリズムをもった文体です。こればかりは読んでみないと実感できません。ぜひとも一目通してみて下さい。一文目から町田ワールドに引き込まれること間違いないでしょう。