2016年第155回直木賞受賞作家といえばそう、荻原浩です。受賞作の『海の見える理髪店』は熟練の技が光る短編集として評価されました。そんな直木賞作家の作品、読んでみたいとは思いませんか?今回は初めての方のための荻原浩おすすめ作品です。

主人公・伊達秀吉は「金なし・家なし・女なし」、しかし借金と前科だけはあるという、完全に名前負けしているいわゆるダメ男。
そんな伊達が、ある日一人の少年と出会います。少年の名は伝助。伝助が金持ちの家の子だと確信した伊達は、誘拐を企てます。身代金を要求する伊達。しかし伝助の親はなんとヤクザで……。
- 著者
- 荻原 浩
- 出版日
まずこのダメ男と少年という設定が面白く、伊達と伝助のやりとりが小気味良いです。伝助がちょっと生意気で無邪気で可愛くて、とても素直に健やかに育っており、その行動や発言は微笑ましく感じます。伊達はダメ男で臆病で、どうしようもない奴なのに憎めず、ついつい応援したくなってしまいます。
誘拐やヤクザ、さらに中国マフィアの登場など、コミカルな中にも手に汗握るスリリングな場面もあります。誘拐から始まった伊達と伝助の奇妙な旅路。いつの間にか二人の間に友情のようなものが芽生え、旅の終わりの別れの場面ではしんみりします。ユーモアたっぷりで笑えて、時にはハラハラし、でも最後はホロリと胸が熱くなるでしょう。
例えば伝助が青年になった時などに再会して、再び二人でまたドタバタ珍道中を繰り広げてほしいと、続編を期待したくなる作品です。
この小説のおもしろさは、新興宗教の勃興を、克明に書いたところでしょう。
- 著者
- 荻原 浩
- 出版日
- 2013-11-15
この作品の一番の魅力はやはり衝撃なラスト、ですがそれを紹介するわけにはいかないので、ここでは別の話をしましょう。ラストシーンまで導いてくれるのは、名倉、小暮の名刑事コンビ組です。中年刑事たちの掛け合いもなかなか楽しく、この作品の見どころのひとつと言えるでしょう。真相に近づく中で縮まっていく二人の姿にも注目できますよ。
- 著者
- 荻原 浩
- 出版日
- 2006-02-28
いつも頑張るサラリーマンの皆様に、ぜひ読んでもらいたい元気の出る作品です。日々を頑張る主人公の姿は働く人々に対して大きな共感を、そして彼の行動に爽快感を覚えることでしょう。仕事とは、人生とは、少し立ち止まりたくなった時に読んでみるのもいいかもしれません。
- 著者
- 荻原 浩
- 出版日
- 2005-03-10
はじめは元の時代に戻ることを考えていた二人が、少しずつその時代に順応する過程が丁寧に描かれた作品です。二人は戻れるのか、戻れないのか、最後はどうなってしまうのか、恋人であるみなみとの関係は……と気になってどんどん読む手が止まらなくなっていくことでしょう。自分が守ろうとしているものは何なのか、健太として生きる吾一の問いに胸が痛くなります。戦争もの特有のシリアス一辺倒というわけでもなく、ちょっと笑えるシーンもあるので気軽に読んでみることをおすすめします。
- 著者
- 荻原 浩
- 出版日
- 2016-08-04
この物語に出てくるのはちょっと問題を抱えたバラバラな家族たちです。主人公は左遷され、出世の見込みも家での居場所もない夫、日々に不満を持つその妻、友達ができない長女に、喘息持ちで過保護に育てられた長男、認知症の症状が出始めた祖母。見事にバラバラで、しかしどこにでもあるような問題点を抱えた一家の物語は、それゆえに読者の感情を揺さぶってきます。
- 著者
- 荻原 浩
- 出版日
- 2011-05-06
アルツハイマーという残酷な、そのまま書けば鬱々としてしまうような物語が荻原浩の独特なユーモア感によって暗くならないように描かれています。かといって明るい話ではもちろんなく、悲しく、優しく、恐怖を感じ、温かさを覚える、そんな作品に仕上がっています。
- 著者
- 荻原 浩
- 出版日
- 2007-11-08
いかがでしたでしょうか。荻原浩の魅力は読む側が身近に感じられる主人公と、彼らが取り巻く現実の壁、そしてそれを重く感じさせないユーモアにあるといってよいでしょう。映画化されている作品もいくつかあるので、そちらを見てみるのもいいかもしれませんね。