4位:人が生きる意味とは?人間であることを考えさせられる究極のミステリー
なんとも怖いタイトルですね。とある女性の死に関して、その女性の知り合いだという男が女性の関係者に話を聞いていくという本作。それぞれの話につながりはあり、466ページ(講談社文庫版)とそれなりにボリュームがありますが、登場人物ごとに短編を読むように楽しめる作品です。
- 著者
- 京極 夏彦
- 出版日
- 2012-11-15
彼女は何故死んだのか?関係者の話を通し、ページを進めると意外な事実が分かって来ます。彼女の話を聞いてまわる「健也」は言葉遣いも悪く、仕事も長続きしない態度の悪い男です。自分でもそれを認めていて、自分を馬鹿でクズと言って憚らないのですが、そんな彼が自分の不遇を嘆くばかりの関係者に対して発する言葉は「死ねばいいのに」。この言葉がキーワードとなり事件の真相が少しずつ分かっていきます。
正直者はいつもバカをみる。生きにくい世の中。現代において 善とは何か。悪とは何か。物語を通し作者自身が問いかけてくる本作、考えさせられます。
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3位:新しい視点で描かれたお馴染み怪談物語
古典の怪談を、登場人物などの要素や筋立てを利用し、全く別の作品としてアレンジしたシリーズです。
シリーズ第一作は『嗤う伊右衛門』(374ページ/角川文庫)。夏の怪談話の代名詞である四代目鶴屋南北の東海道四谷怪談をベースに哀しくも美しいな愛情物語として蘇らせています。
妻を裏切った悪人・伊右衛門が、実は非常な妻想いの人であり、か弱く恨みに凝り固まった妻の岩も、実は聡明で愛情深い人で……。
自分を殺した亭主を恨んだ妻が、復讐をするといった内容の有名な怪談話から、夫婦間の愛情溢れる物語へと変貌を遂げています。
- 著者
- 京極 夏彦
- 出版日
第二作目は山東京伝の復讐奇談安積沼をベースに描かれた作品『覘き小平次』(414ページ/角川文庫)です。
押入れ棚に引きこもり、わずかの隙間から世間を覗く、売れない幽霊のような役者、小平次と彼を取り巻く人々を描いています。
小平次を軸に繋がっていく彼らの憤りと虚無感を京極夏彦の独特の視点で描いた物語を読み進めると、いつの間にか自分がストーリーの中に入って、木陰や扉の隙間から、誰かを覘いているような、そんな感覚にさせられます。
亡霊であるお菊さんが井戸で皿を数える、あの怪談話を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?シリーズ第三作品目の『数えずの井戸』は731ページ(角川文庫版)にも及ぶ超大作です。岡本綺堂の番町皿屋敷を下敷きに、普段人が決して表に出さないけれど共通して抱えている心の闇を描いています。
このように誰もがなんとなく聞いたことのある怪談話が京極夏彦独自の視点でリメイクされており、どこでどんなアレンジがあるのかドキドキさせられる作品が揃っています。
2位:心の闇は妖怪のせい!?
時代は江戸末期、“あちらが立てばこちらが立たぬ”といった困難な問題を金で請負い、妖怪に見立て解決していく小悪党たちの活躍を描いたシリーズです。詐欺師「又市」をはじめ、個性豊かな小悪党が登場します。
角川文庫より出版されている第一弾の『巷説百物語』の収録作品は「小豆洗い」「白蔵主」「舞首」などの七作品からなり、ページ数は518ページと分厚めです。しかし短編一作あたりは70ページ前後と読みやすいため、京極作品は分厚くて読みにくいとお考えの方にもおすすめしたい一冊です。
- 著者
- 京極 夏彦
- 出版日
本文庫の収録作品の一つ、「小豆洗い」では、川の近くの小屋に閉じ込められた4人と、怪しげな商人や顔色の悪い僧が登場します。
雨の晩、百物語が語られ、その怪談を聞いた僧は小屋を飛び出し、足を滑らせ川に落ち命を落とします。この怪談に隠された意味とは……。
どの作品でも語られる妖怪話が人間の心から産まれることが巧みに表現されています。読者も登場人物に感情移入することで、現実との区別がつかなくなり、作品の世界へ引きずり込まれていくのです。
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