父と母、子どもに望むものとは?この状況に、あなたは耐えられるか?
建築デザインの仕事をしている石川と、在宅で校正をしている妻の貴代美には、高校1年の規士(ただし)と中学3年の雅という二人の子どもがいます。反抗期で口数の少なくなった規士と私立の名門高校を目指して受験勉強に集中している雅のことは貴代美に任せていましたが、ここぞという時には親としての考えも聞かせて、家庭はうまくいっていると思っていた石川でしたが……。
- 著者
- 雫井 脩介
- 出版日
- 2016-09-05
このところ外泊が増えていた規士が、2学期になったある週末、外泊したまま連絡も途絶えてしまいました。不安な思いで待っている家族に、高校生がリンチによって殺害されたとのニュースが飛び込んできます。雅の記憶によると殺されたのは息子の規士の友人らしく、石川の仕事のお得意先の孫でもあったのです。犯人と見られるのは3人の少年でしたが、途中から、逃走しているのは2人で、もう1人殺害されている可能性を示唆する内容の報道となっていきます。
事件前にナイフを持っていたこと、ケガで好きだったサッカーをやめてしまったことなど、息子が犯行に関わっていると思われる材料が出てくる中で加熱する報道や仕事関係の風当たりの厳しさに悩む石川でしたが、あくまでも息子の無実を信じ続けます。
妻が信じるのは、息子の生存、それだけです。母として、子どもがどんな罪を犯したとしても共に償いたい、生きてさえいてくれれば……という貴代美の気持ちが痛いほどよく伝わってきて、読んでいて思わず涙がこぼれましたが、社会の中で自分の培ってきた力だけで仕事をしている石川の思いも理解できます。
父の望み、母の望み、どちらが叶おうと、耐え難い苦しみがついてくるのです。
切羽詰まったふたりの心理が緻密に描かれています。ただ待つしかない家族にもたらされる結末は?
この作品で描かれている父親も母親も、何事もなければ、子ども思いのいいお父さんとお母さんです。それだけに、いつ自分がこんな立場になるかわからないという恐怖に包まれてしまいます。
優しさあふれるストーリーに、涙があふれる
まずは、なんともかわいい装丁に目を惹かれて本を手にして(え?これ、雫井脩介の本?)と思ってしまいました。
26歳のパティシエールである小麦は亡き父の夢でもあった自分の店を開くのを夢みて、東京で修行していましたが、体調を崩して故郷に帰ります。そこで兄夫婦の助けも借りて夢だったケーキ屋を開店しましたが、まもなく店は傾き始めます。
小麦の兄夫婦の子ども叶夢は、いっぷう変わった子で、店がうまくいかないことを予言して大人達をあわてさせますが、実際、叶夢の言った通りになったのです。叶夢には、他の人には見えない、天使と妖精のハーフであるレイが見えていました。
- 著者
- 雫井 脩介
- 出版日
- 2013-01-25
明るくひたむきに夢に向かって努力する小麦でしたが、実は家族に隠していることがありました。3年前から癌を患っていたのです。東京から帰ってきたのもそのせいでした。
小麦の夢は、どうなるのでしょうか?
登場人物がみな、それぞれにあたたかくて素敵なキャラクターで、読んでいて心が温かくなります。柔らかい陽射しのもとでもう1度読みたい、そんな作品です。
雫井脩介の作品をお得に読む
母子の成長物語。誰かのために必死になるって素晴らしい!
小織(さおり)の高校受験を前にして、父親の浮気が原因で両親は離婚し、小織は母と一緒にそれまで住んでいた横浜から名古屋に引っ越してきました。
子どもの頃から小織はフィギュアスケートを習ってきましたが、母の梨津子は、娘の習い事としてしかとらえていませんでした。ところが、名古屋での母子2人の生活が始まってスケートも新しく名古屋のリンクに通い始めたところ、先生から、国際試合も視野に入れて本格的に練習をするようにと言われます。その先生から紹介されたのは、厳しい美濤(みなみ)先生でした。
梨津子は、娘の意思を尊重し、美濤先生にコーチをお願いすることに決めました。ところが、美濤先生は、なんと、小織がこれから選手として伸びるか否かは、母親の梨津子次第だというのです。自分の娘の跳んだジャンプが3回転か4回転かも見分けられないような母親では子どもも伸びない、フィギュアは見られて伸びるスポーツだと。
ここから梨津子の奮闘が始まります。小織のスケート靴の取り替え時を把握しておくのも母の努めだと言われてしまう始末。まわりの選手のママ達は先生の話を聞く時は正座、先生のお弁当とお茶とコーヒーの当番までママ達の間で回していることに驚く梨津子でした。
- 著者
- 雫井 脩介
- 出版日
- 2014-11-10
読みながらも(すごい世界だなあ。あり得んわあ。)という思いを抱いてしまいました。ところが、娘のために一途に頑張り続ける梨津子の様子に、次第に、梨津子と小織を応援している自分に気づくのです。
スケートを中心に生活をしていた母子でしたが、父親の会社が倒産し、養育費も望めない状態に陥りました。
そこからまた梨津子はパートに出ながら経済的にも奮闘を続けます。
小織がフィギュアスケート選手としての華々しい栄光を手にしてもしなくても、母の頑張りを見せることができたこの母子の絆は確かに強くなっていくのです。
フィギュア選手ママ達のつきあいも、励まし合って共に前へ進もうという姿勢が気持ちよく描かれています。
最後の美濤先生の言葉に、涙が止まりませんでした。