4位:読み進めていくうちに感じる違和感『螢』
- 著者
- 麻耶 雄嵩
- 出版日
シチュエーションとしてはありきたりともいえる、嵐の中の山荘という状況を使ったクローズド・サークルものです。ラストに味わう衝撃は数多あるミステリー小説の中でもトップクラスで、どれだけ構えていたところでこの衝撃から逃れることは困難です。
オカルトスポットサークルに所属している六人の大学生は、合宿という名目で京都の山奥にある屋敷「ファイアフライ館」を訪れました。ここは十年前に惨殺事件が起きた場所で、半年前に同サークルのメンバーが殺害された場所でもあるのです。そして、嵐によって陸の孤島と化した屋敷でまたもメンバーのひとりが何者かに殺害されることにより、物語は誰もが予想だにしない結末へと向かいます。
読んでいる最中は、何ともいえない違和感でもやもやとしたままラストへと向かうことでしょう。しかし、ラストを迎え違和感の正体に気づいたとき、ミステリーの醍醐味と呼べる快感に浸れます。
緻密で幾重にも仕組まれたトリックは思わず再読してしまうこと間違いありません。
3位:麻耶雄嵩ワールドが炸裂する『鴉』
- 著者
- 麻耶 雄嵩
- 出版日
麻耶雄嵩の著書の中でも一際癖の感じられる作品がこの『鴉』です。登場人物の名前や舞台設定など、若干頭に入ってきにくい部分もありますが、そこを乗り越えて最後まで読み進めていただければ、傑作と呼ばれる理由がわかるはずです。
珂允(かいん)は弟・襾鈴(あべる)の死の謎を追って、地図にも載っていない山奥の村へとやってきました。大鏡と呼ばれる現人神を崇める鎖国的なその村に潜入した珂允を待っていたのは、足跡のない不可解な連続殺人事件だったのです。
トリックもさることながら、巧みに張り巡らされた伏線や読者をもてあそぶかのように構築されたプロットはお見事の一言です。
麻耶雄嵩の作品をお得に読む
2位:異端児らしい処女作『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』
- 著者
- 麻耶 雄嵩
- 出版日
- 1996-07-13
もちろん処女作なのでいきなり最後の事件と言われてもわかりません。メルカトル鮎という意味不明な言葉も知りません。このタイトルからも、麻耶雄嵩という作家のもつ異質さを僅かながらに感じ取れることでしょう。このメルカトル鮎というのはお察しの通り人物の名前で、後に登場する木更津と同じ探偵です。
京都近郊に建つ屋敷「蒼鴉城」。私立探偵である木更津は伊都という人物から依頼を受け、推理小説家の香月とともに伊都が住むその屋敷を訪れたのですが、二人を出迎えたのは数台のパトカーと、首と足首を切断され息絶えた伊都の姿でした。
前半までは淡々と事件が進んでいくのですが、木更津とメルカトル鮎の推理合戦が始まるところから事件が二転三転し、予想もつかないところへと着地します。