小説の中で、私は何度も生きなおす
主人公は後藤明という女性です。頼りになる夫きーちゃんとふたり暮らしをしています。文章を書くのが好きなあきらはライターの仕事をしていましたが、夫に後押しされて書いた小説が新人賞を受賞してしまいます。幸せ絶頂のあきら。
そんななか、ささいなきっかけで、あきらは浪人生市原裕司の逆恨みを買ってしまいます。「いい気になるなよ」。そんないたずら電話や手紙を受け取るようになり、精神的に弱いところのあるあきらは、追い詰められていきます。不運にも夫の事故死が重なり、とうとうあきらは壊れてしまうのです。
夫の死後、あきらは裕司への復讐を決意し、裕司に自分を殺させようとします。浪人生の裕司は、もうすぐ二十歳の誕生日を迎えることはわかっていました。二十歳になれば、殺人で逮捕できるのですから……。
- 著者
- 新井 素子
- 出版日
- 2002-09-26
あきらは、『ハッピー・バースデイ』と題された小説を幾通りも書いていました。夫が死んでいないバージョン、夫の事故が軽いけがで済んだバージョン、裕司を殺すバージョン。毎日毎日、あきらは小説の中で生きなおすのです。
人間の弱さや弱さを描く、サイコホラーです。精神が弱っているとき読むと、少し影響をうけてしまうかもしれません。どうぞ元気な時にお読みください。
新井素子が新ジャンルを生む!?ぬいぐるみサイコホラー!
ぬいぐるみ好きの新井素子が、ぬいぐるみホラーを目指して書いたとされる作品です。
事故で両親を亡くした成美は、ママの親友である裕子さんに引き取られることになります。ぬいぐるみの「くますけ」を片時も話すことができない成美は、くますけ以外を信じることができません。
それでも成美の心に近づこうと精一杯の裕子さんと、仲良くしようと頑張る晃一おじさんに、少しずつ心を開き、子供らしい感情を持てるようになっていきます。そんななか、ある事件が起こります。裕子さんの秘密は、一体何でしょうか。
- 著者
- 新井 素子
- 出版日
- 2012-08-23
ラストに関しては、ハッピーエンドととらえる方も、少し怖いと思う方もいるでしょう。ですが、親子のあり方を考えれば、血がつながっていてもいなくても、ちゃんとした親子になれるという結末は、間違いなく幸せなことではないでしょうか。
自分が子供のときに大切にしていたぬいぐるみのことを思い出しながら、読んでいただきたい作品です。
地球最後の日をどう過ごすか。新井素子の答えとは?
数日後に隕石が地球にぶつかり、人類は滅亡する。そんなニュースが世界中に流れます。癌にかかって余命いくばくもないからという理由で、恋人から突然別れを告げられた女子大生の圭子は、決意します。最後にもう一度、会いに行こう。交通機関が止まっている中、歩いて鎌倉を目指す道中で、4人の女性と出会います。
- 著者
- 新井 素子
- 出版日
- 2008-05-29
由利子は、不理想の家庭を作りたかっただけでした。滅亡のニュースを聞いて、不倫相手のところに行こうとする夫。「わたしの中にいれてあげる。お腹の中に帰してあげるわ」そう言って包丁を持ち出し……。
両親自慢の娘である真理子は、夏期講習がなくなったことが不満でした。誰もいない公園で、世界史の参考書を広げて……。
眠って夢を見ることが大好きな智子。ある日、おしゃれをしたママとパパが、夢を見ないほどぐっすり眠れる薬をくれたのです。夢を見られないのは嫌で、飲んだふりをした智子が翌朝みたものは……。
妊娠している恭子は、愛する夫と、核シェルターを持つ会社に勤めていた昔の恋人との間で、心が揺れ動きます。最後に出した答えは……。
正気と狂気のはざまをくぐり抜け、果たして圭子は恋人に会うことができるのでしょうか。どうぞ自分の大切な人を頭に描きながら、読んでみてください。