村上春樹、という作家をご存じない方はまずいないでしょう。『ノルウェイの森』『海辺のカフカ』『IQ84』……彼の代表作は多岐にわたります。では、彼の短編作品を読んだことはありますか?今回は、村上春樹短編集についてご紹介します。

手伝いたいと申し出る三人に、鉛筆を削ったりビールをとってこさせたり、別の仕事を言いつける「私」。暇になっては、歌を歌い出す「彼ら」。村上春樹の作品は、確かに大人の小説でありながら、同時に絵本のような絵画的で牧歌的なものを持ち合わせています。
- 著者
- 村上 春樹
- 出版日
- 1986-12-20
このTVピープルは「僕」の勤めている会社にも現われ、ここでもテレビを設置していきます。TVピープル達はいったいどういう存在なのか、そして目的は何なのでしょうか。
- 著者
- 村上 春樹
- 出版日
「能率のいい竹馬」では、竹馬が家に現われて小林ヒデオやモーツァルトについて意見を求めてきます。「日曜日のお昼前に、切干大根を煮ているときに、能率のいい竹馬が僕のところにやってきた。」という出だしは、非常にインパクトがあります。
- 著者
- 村上 春樹
- 出版日
- 1998-03-02
たまたま小人の夢をみた「僕」ですが、それは逃れられない恐怖の始まりでした。正体を知るにつれ、小人がただ踊りの上手い妖精ではなく、人を破滅させる悪魔のような存在であることがわかってきます。
- 著者
- 村上 春樹
- 出版日
- 1987-09-25
この本で注目したいのは「沈黙」と「七番目の男」です。「沈黙」ではとある事件をきっかけにクラスメイトから黙殺されてしまった少年の苦悩が、そして「七番目の男」では大波に浚われた友人を恐怖から助けることができなかった主人公の自責の念が、それぞれつらいまでに描かれています。特に「沈黙」は学校を舞台とした小説として非常に高いレベルでまとめられた短編です。もし、ある日誰も自分のことを信じてくれなくなったとしたら……? 人間に対する恐怖がそこには鮮明に描かれています。
- 著者
- 村上 春樹
- 出版日
たとえば、「鏡」という掲載作品は、夜警の仕事をしていた「僕」が懐中電灯の中に見た鏡の中に映った自分という状況を書いた作品です。「僕」は鏡の中のもう一人の自分が、自分のことをひどく憎んでいると思い、木刀を鏡に投げつけてしまいます。しかし、そこには鏡など最初からなかった……というホラーのような話です。文庫本10ページ程度の短い話ですが、そこに書かれた「自分を見つめるということ」をぜひ、村上春樹の文体で味わってみていただきたいです。
- 著者
- 村上 春樹
- 出版日
- 1986-10-15
表題作となる「パン屋再襲撃」のストーリーは、新婚夫婦がマクドナルドを襲撃してバーガーを強奪するという話です。もっと詳しく言うと、新婚夫婦はコーラの値段はしっかりと払い、パンだけを強奪しているのです。飲み物を買うお金はあるのになぜバーガーを強奪するのに至ったのか、それはこの作品を読んだ上で一人ひとりが考えることに意味がある、そういった短編なのです。
- 著者
- 村上 春樹
- 出版日
- 2011-03-10
一番目に収録されている「偶然の旅人」はゲイである主人公が、偶然カフェで知り合った女性と出会い交流していくストーリーです。彼女との出会いがきっかけで、主人公は長い間縁を絶っていた姉と和解することができるのですが、そこには驚くような偶然の一致があったのでした。本当は最初から、すべて用意されていたのかもしれない、そんな「奇妙さ」が味わえる一本です。
- 著者
- 村上 春樹
- 出版日
- 2007-11-28
「蜂蜜パイ」はこの中では唯一の書き下ろし作で、大筋としては主人公が大学時代からの友人である女性にプロポーズをする、という話です。大学時代からずっと片思いをしていた主人公、主人公が地元関西に帰っている間にその女性と結婚した友人、そして本当はずっと主人公を愛していた女性の三角関係が主軸となる短編になっています。その中にエッセンスとして加わるのが女性と友人の娘です。奇妙な生活をする4人の姿が表現され、最後にはしっかりと救いがある作品です。
- 著者
- 村上 春樹
- 出版日
- 2002-02-28
いかがでしょうか。長編作品では少し敷居が高いという方でも短編なら読みやすいのではないでしょうか。また、短編作品でも濃厚な村上春樹の世界を感じることができるはずです。村上春樹をよく読む人も、普段全く読まない人も、短編集を読んでみることをおすすめします。