いわゆる「サラリーマンもの」が得意な池井戸潤。企業で働く人たちの想いや状況を、実に繊細な描写でありありと表現する文章、お話が魅力的です。ドラマ化も多くされ、視聴率も高く、中には流行語を生み出すものもありました。 そんな時代の立役者、池井戸潤の作品からドラマ化された小説のおすすめを6点ご紹介いたします。

- 著者
- 池井戸 潤
- 出版日
- 2012-02-22
物語の舞台は、バブルが崩壊したあとの日本です。
零細工場の家に生まれた「山崎瑛(やまざきあきら)」と大手開運会社の御曹司として生まれた「階堂彬(かいどうあきら)」。
ふたりのアキラはそれぞれ生まれも育ちも違いながらも、企業のトップの後継者として決まった運命を義務付けられており、しかしそれに抗いながら生きてきました。本作はそんな似たような境遇のふたりが出会い、さまざまな試練を乗り越えていくという作品です。
青春群像劇でありながら、バブルが崩壊したあとの日本経済のリアルな現場も捉えており、とても読み応えのある作品といえるでしょう。
- 著者
- 池井戸潤
- 出版日
- 2017-05-17
池井戸潤の作品では比較的めずらしい「若者」が中心に活躍する『アキラとあきら』ですが、めずらしいのはそれだけではなく、作風が回想録のような追体験になっていたり、ハードカバーではなく文庫本としていきなり発売されたりするなど、作者の挑戦とも思える姿勢が伺いしれます。
池井戸潤の作品は毎回そうなのですが、やはりキャラクターに非常に魅力があります。
零細企業、いわゆる末端の存在である「瑛」と、御曹司の「彬」との対比がとても上手に描写されており、読む人の目を離してくれません。現実の世界でも思わず言ってみたくなるようなセリフがたくさんあり、遠まわしな皮肉から、これ以上ないほどの完璧な罵倒までさまざま言い回しがシビレますね。
ふたりのアキラは、最初は天と地のほどの差があり例えるならウサギとカメといったところでしょうか。
出会った当初はもちろんお互いにあまりいい印象ではなく対立することもあるのですが、次第にそれが協力関係になっていき、長所と短所をうまく補いあって状況を打破する姿は本当に痛快の一言です。そのうち、御曹司の彬が会社の経営難に差し掛かるのですが、それをバンカーである瑛が支える形になっていきます。
「バンカーは金に金を貸すのではなく、人に金を貸すのだ」
その言葉はとても重みがあり、本当に池井戸潤は名台詞を作らせたら右に出るものがいないなと思わせてくれますね。
ふたりのアキラの幼少期が前半で交互に語られるのですが、ふたりとも子供ながらに経営者としてのポテンシャルを感じさせる発言が多く見受けられ、青年期になったときの成長ぶりが見ていてこれだけでもひとつの物語になるんじゃないかと思ってしまいます。そのくらいおどろくほどの成長を遂げるところが前半の見所といえるでしょう。
ふたりは何度かすれ違うくらいの場面はあるのですが、決定的な出会いは青年になってからです。生まれも育ちも違うふたりなのですが、はじめて二人が相対する場面は「待ってました」と思わずニヤリしてしまうくらい、まさに運命というのはこういうものかと感じさせてくれる決定的なフックがあります。
ふたりは敵対する方向でストーリーは進んでいくのかと思いきや、意外や意外。憎み合っていた二人が協力して、ある「バブル期に暗躍していた人物」に立ち向かって出し抜いていくのです。この辺の過程で、人間がつまらないプライドや情によって落ちていく様を非常にリアルに書いており、これは自分の身にも起きることなんじゃないかと思わず怖くなってしまうほどです。
涙と痛快の、読み物としては最高のエンターテインメント作品といえるでしょう。こういった経済が絡んだ作品を普段読まない人にもぜひおすすめしたいですね。
銀行モノですがそこまで難しい単語も出てきませんし、解説もわかりやすくて、物語に関連したものなので非常に覚えやすいです。もちろん、池井戸潤の作品が好きで未読の人はぜったいに読むべきですし、期待はぜったい裏切らないと思います。
大いに期待して読んでみてください。その期待を軽く超えてきますよ。
- 著者
- 池井戸 潤
- 出版日
- 2011-11-15
- 著者
- 池井戸 潤
- 出版日
- 2007-12-06
- 著者
- 池井戸 潤
- 出版日
- 2009-09-15
- 著者
- 池井戸 潤
- 出版日
- 2013-12-21
以上、池井戸潤のドラマ化された作品をランキングで6作ご紹介しました。企業世界を描いた作品が多いですが、もともと作者自身が銀行で働いていたこともあって、その描写が実にリアルなんですね。働くすべての人に勇気を与えてくれる作品たちです。