海の見える町を舞台にしたハートフルストーリー『星やどりの声』
父親を亡くした6人の兄妹とその母親が、父親の遺した喫茶店「星やどり」を舞台に織りなすハートフルストーリーです。6人の兄妹がそれぞれ各章の主人公になっています。
鎌倉をモチーフにしていそうな、 東京ではない海見える町・連ヶ浜。ここで描かれる町並みや風景が美しく、引き込まれます。
- 著者
- 朝井 リョウ
- 出版日
- 2014-06-20
「雨から身を守ることを【雨宿り】っていうだろう。だから、今にも落ちてきそうな星の光を受け止めるための【星やどり】」
という亡き父親の素敵なセリフにより作られた星型の天窓やブランコ形の席などかわいらしいお店となっています。
家族の絆を感じさせられる作品。帯にある「ラスト10ページで溢れる涙」をぜひ体感していただきたいです。
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卒業式の一日、七つの別れ『少女は卒業しない』
高校生活の最後となる卒業式の1日を少女7人の目線から描いた作品。その舞台は廃校となる高校。7人それぞれの別れに焦点を当てた青春小説です。
好きな人への告白や、別々の地への進学による別れなどをテーマに女子高生の感情をリアルに描いています。
2編目の「屋上は青」ではこんなフレーズがあります。
「これから高校生とは呼ばれない時間を生きていくことになる私たちの道のりは、きっともう本当に、二度と交わることはない。」
別れというテーマでこのような表現をする朝井リョウに心奪われました。
- 著者
- 朝井 リョウ
- 出版日
- 2015-02-20
4編目の「寺田の足の甲はキャベツ」は女子バスケ部の後藤と男子バスケ部の寺田が話の中心になります。後藤が東京に進学をするのを理由に、地方に残る寺田は後藤に別れを切り出し……。
主に別れが描かれる作品ですが登場人物はみんなキラキラしていて、こんな青春過ごしたかったと思わされる作品です。
朝井リョウお得意の後味の悪い小説『ままならないから私とあなた』
中編の表題作と短編の「レンタル世界」が収録されています。
「レンタル世界」では主人公の雄太が出席した結婚式で、ある女性に出会います。その女性は“レンタル友達”としてその披露宴に出席していました。それまで、自分を偽ることなくすべてをさらけ出すことが人間関係を作る上で大切だと雄太は考えていました。そんな雄太の価値観に反することを行うこの女性に雄太は惹かれます。彼女を変えたいと考える雄太でしたが事態は思わぬ方向に進み……。
雄太は比較的純粋で、まっすぐな青年です。読んでいると痛快にすら思える性格ですが、そんな雄太の考えと正反対の考えをもつ女性と意見を言い合う場面はとても面白いです。誰もが抱いているような、自分のいやな部分をグサグサ突いてくるような感覚にさせられます。
- 著者
- 朝井 リョウ
- 出版日
- 2016-04-11
表題作「ままならないから私とあなた」は雪子と薫が大人になるまでの物語です。自分にしかできないことをしたい、意味のないことも大切だと考える雪子。無駄なものは必要ない、意味あることのみ重要と考える薫。親友ながらお互いに違和感を抱き成長していく2人がその違和感をぶつけ合うシーンは圧巻です。
薫と雪子がそれぞれ主張することは、どちらが正しいとも言えないし間違っているとも言えません。しいてゆうなら雪子は理想論、薫は現実をつきつけてきます。誰もが見て見ぬふりをしているいやな感情を丁寧に描いていて、“あるある”と思う一言に出会えるのではないでしょうか。
読んだ後はいい意味でモヤモヤします。日々進化する社会のあり方や、価値観など正解がない問題を提起してくれる作品です。ぜひ次の一冊にいかがでしょうか?
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