直木賞作家であり、芥川賞の選考委員も務める山田詠美は、女性たちからの支持の多い作家です。登場人物たちの心理を包み隠さず描き、その圧倒的な世界観に知らず知らずのうちに引き込まれてしまいます。

- 著者
- 山田 詠美
- 出版日
- 著者
- 山田 詠美
- 出版日
- 1994-10-28
- 著者
- 山田 詠美
- 出版日
- 1997-02-28
- 著者
- 山田 詠美
- 出版日
- 著者
- 山田 詠美
- 出版日
- 1995-03-01
主人公の少女はまだ男性と付き合ったことがなく、気になる男の子を目で追いかけている程度ですが、友達のカナは同じ17歳なのにすでに複数の男性との性体験があります。カナは決して目立つタイプの女の子ではなく、他の女の子たちが恋の話をしている時は静かに聞いているか、そっと席を立ってしまうのですが、少女には自分の経験を正直に打ち明けてくれます。周囲の女の子たちが男の子の気を引くために流行の服を着ている中、シンプルな黒いセーターを身にまとい彼からもらったアンクレットを靴下で隠して登校するカナに、少女は「大人の女」を感じていました。
今は年上の男性と恋をしているというカナは、ある日少女と過去の男性について話をしていると、突然しくしくと泣き出してしまいます。男のために泣いたことなど一度もない少女は、男の人と愛し合うということは時々その人のために泣かなくてはならないのだろうか、王子様のそばいるために声を失った人魚姫のように、恋をした女性は何かを失わなければならないのだろうかと思うのでした。
本作は8つの作品からなる短編集で、主人公の少女が関わった少女たちが描かれています。多くの同級生たちは性への好奇心や憧れを抱きつつ、羞恥心や罪悪感も抱いており、一歩先に性を知った者に対しては「いやらしい」と蔑んだり疎外したりするのです。主人公の少女はそんな同級生たちに馴染めず、性への興味と正直に向き合いながら自分の恋愛を模索していきます。そんな主人公の姿勢に、同級生たちから疎外された少女たちは信頼を寄せ、それぞれの経験や恋愛観を語ってくれるのでした。
男の子を好きになることの延長線上に性行為があることを知ってしまった年頃の少女たちのとまどいや葛藤、そして恋人を得ることの喜びが描かれたこの作品は、少女期の限られた瞬間を見事に捉えています。
- 著者
- 山田 詠美
- 出版日
- 1996-03-01
山田詠美おすすめ短編集をご紹介しました。どの物語も主人公が魅力的で、1度読み始めるとクセになる作品ばかりです。興味のある方は、山田詠美が創り出す独特の世界観へ足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。