[長野県] 恋に身を焦がしたむすめのあわれな顛末
いくつもの山を越えた先にある村に住む恋人のために、毎夜山を越えて会いに行くむすめ。出発時に両手に握りしめたひとにぎりの米は、恋人の元に着くときにはつきたての餅となり、来訪を喜ぶ恋人の口へと運ばれます。ある日友人からそのむすめの行動は化けものだ、と言われ、疑い始める恋人。以来むすめを恐れた恋人はあることを決意します。
このお話の元は、長野県に伝わる『つつじの乙女』という民話です。松谷さんご本人が長野へ行き、地元の人から直接話を聞くことで『つつじのむすめ』という絵本が誕生しました。
ただ聞いたことを書き起こすだけでなく、「松谷みよ子の視点と言葉」で描かれた『つつじのむすめ』。彼女の「語り」を感じることができる作品です。
- 著者
- 松谷 みよ子
- 出版日
[島根県] カニをつぶして後悔したサルがとった行動とは
ある日、山での暮らしに嫌気がさしたサルが海へ出たときのお話で、島根県に伝わる民話です。
初めて見る海に感嘆し、ひとりで「海はええなぁ」と呟いていると、「うん」と答えるカニに出会います。ひとりを満喫していたサルは、返事をしたカニを「ぴしゃん」とつぶし、一安心。そしてまた「海はええなぁ」とつぶやきますが、誰の返事も聞こえません。急に寂しさを覚えたサルは、泣きながらつぶしたカニを拾い上げ、団子にします。そしてまたサルが語りかけると……
人間、誰しも取り返しのつかないことをやってしまうもの。このお話は読む人によって様々な感情を与えてくれるような意外な結末を迎えます。
懲罰のわかりやすい絵本よりも、さり気なく寂しさや後悔を子どもに伝えたいとき、一緒に読んでみてはいかがでしょうか。
- 著者
- 松谷 みよ子
- 出版日
[東北] 強い男とやさしい男のあいだで揺れる女神の心
津軽海峡にまつわる民話です。民話と言うより、東北の神話といった方が正しいかもしれません。
舞台は、十和田湖。竜飛岬に住む男神と男鹿半島に住む男神が、十和田湖に住む女神をかけて大勝負に挑むお話です。黒神は竜を飛ばし、赤神は大勢の鹿で加勢します。見物に来た神様たちは岩木山に集まり、やんややんやと大騒ぎ。勝負の結果が出たとき、ついに女神の思いが明かされます。
女神が選んだ男神については、女性として考えさせられます。岩木山の地形の由来にも触れているこのお話は、津軽海峡ができた由縁を語る神話として、東北の方々に知られているお話です。
日本神話と言えば『古事記』や『日本書紀』など難しい名前の神様が多く登場しますが、こちらは赤神と黒神と呼びやすい名前なので、親子で気軽に読める神話絵本となっています。
- 著者
- 松谷 みよ子
- 出版日