「内向の世代」の代表作家として名をはせる黒井千次。彼の作品は家族、恋愛、老いなど、どのテーマをとっても私たちに身近なものでありながら、類まれなる表現力でふだんは隠れている感情を引き出します。彼の魅力を感じられる5冊をご紹介します。

サラリーマン生活と大学時代を対比することによって、失われた時間を表現する表題作「時間」のほか、企業で働いている人間たちと時間の関係を描く短編が6つ収められています。
- 著者
- 黒井 千次
- 出版日
『春の道標』は繊細な思春期の恋愛を緻密に描いた青春恋愛小説です。棗という天使を相手に盲目になり、一喜一憂する明史の一図な姿には、胸が締めつけられます。あまりに強い想いから、彼女に対して愚かな行動をとってしまうところも、現実味があり共感できます。
- 著者
- 黒井 千次
- 出版日
4つの家庭と、その土地で起こることがそれぞれ描かれた12の連作短編集である『群棲』は、家族や家といった概念を根底から問い直す黒井の代表作です。
- 著者
- 黒井 千次
- 出版日
- 1988-01-27
本作は表題作「たまらん坂」のほか、「けやき通り」や「たかはた不動」など都内に実在する場所を、定年間近の男の目線で描いた7つの短編から構成されています。それぞれ現実にある場所と、想像、妄想、幻想が絡みあい、少し謎めいた展開です。
- 著者
- 黒井 千次
- 出版日
- 2008-07-10
『老いの味わい』は老年となった黒井自身の目線をそのまま描き出したエッセイ集です。黒井の「老い」に対する向きあい方は、落ち着きと余裕があるにも関わらず、新しいものに向き合っていく若い目線を感じます。
- 著者
- 黒井 千次
- 出版日
- 2014-10-24
黒井千次は常に人の心の中に渦巻くものに対して真摯でありながら、年齢や環境によって変化する相対的な人間という存在について描き続けています。老若男女問わず、共感できる作品がきっとひとつ見つかるのではないでしょうか。幅広い5冊を紹介しましたので、ぜひ気になる作品から手に取ってみてください。