かっぱに襲われた親子の意外な結末!?
昔あるところに薬草採取を生業とする父親と娘がいました。二人はいつものように森へ出掛けて薬草採りをします。ひと仕事終えた父親は、娘を先に家に帰して、自分は夕飯のために魚釣りをするのでした。
父親の大好物を作って帰りを待つ娘。ところが帰って来た父親はびしょ濡れで、なんだか様子がおかしいのです。そして、なぜか家の外から戸を開けてくれという父親の声が!娘は父親の大好物は何かと尋ねるのですが……。
- 著者
- 杉山 亮
- 出版日
- 2011-10-14
仲の良い父親と娘が、毎日一緒に薬草採りをして働くというところから話が始まります。いつものように森でひと仕事終えると、父親は娘に先に帰るように声をかけますが、家には誰も入れないようにと言うのです。
これに対して娘は、父親の大好物を作って待っているねと帰るのですが、こうしたやり取りからも、とても仲の良い親子だということが伝わります。貧しいながらも肩を寄せ合って暮らす2人を、温かく見守りたくなるような話です。
ところが、ちょっとした父親の行動から、平和な日常は恐怖の色へと塗り替えられていきます。重厚でリアルなトーンで描かれた絵が、美しく、かつ、不気味なインパクトへと引き込んでいく迫力に、ドキドキ感が高まるでしょう。
後半では、父親の大好物を作って待っていた、まだ幼くて可愛い娘が、怖ろしい目にあうのですが、ことの真相は、カッパが人を闇雲に傷つけるような妖怪ではなかったということでした。
この物語の全体を貫いているのは親子の愛です。子を思う親心と、親を思う子供の心がとても自然に描かれています。
そして、大したことではないと本人が思っていることでも、むやみやたらと乱暴な感情を垂れ流しにすることは、時として思いもよらぬ人を傷つけているかもしれない、という教訓もにじませた物語です。
街のケーキ屋さんには、もう一つの顔が!杉山亮らしさが光るキャラクター
街で美味しいと評判のケーキ屋さんで働くショコラとセーヌ、ナポレオンには別の顔がありました。それは、お金を積まれても、気に入った仕事しか引き受けないという、とびきりビューティフルな泥棒チーム。
ある日、腹黒いハラグーロにだまされた宝石商のおじさんが、盗まれた宝石を取り返してほしいとお店にやって来ます。正義感の強い泥棒トリオは知恵をしぼって、作戦開始!見事、難題に挑み、鮮やかな手口で取り返します。
- 著者
- 杉山 亮
- 出版日
主人公の3人は、気に入った仕事しか受けず、頼まれた物以外、どんな高価な物も決して盗まないという泥棒チーム。ただの泥棒ではない、自分たちなりの美学を持っているのです。
そんなショコラたちが営むケーキ屋さんにあるお客さんが訪れます。そして、泥棒依頼の暗号である「アップルパイをアップルぬきで」と言うのでした。
さあ、泥棒チームへの仕事依頼です!依頼人の宝石商のおじさんが、腹黒いハラグーロに騙されてしまった話を聞いて3人の正義感が燃えます。もうお分かりかと思いますが、この主人公たちは善悪の区別なく泥棒を働く悪人ではなく、ねずみ小僧のような正義のヒーローなのです。
ところが、宝石商のおじさんを騙した、やたらとずるくて、警戒心が強いハラグーロの家を調べてみると、とても守りが堅く……。しかし、難題であればあるほど燃えるタイプのショコラは、逆に喜々として頭をひねり、グッドアイデアにひらめくのです。
この推理小説は、子供向けではありますが、物事を攻略するためには、どう下調べをして、どう計画を立てていけばいいのかが書かれています。
さらに、すべての状況や条件を洗い出してから、こう攻めるとどうなるかと、いくつかシミュレーションをしながら、攻略法を絞り込んでいくあたりは、子供にとって考えることの参考になりそうです。
児童書ならではの、奇想天外で自由な発想と、ちょっとリアルな要素が混在したストーリーは、とてもテンポよく進んでいきます。
ハラグーロの家に忍び込んだショコラが、見つかりそうになるピンチに陥っても、慌てず心を落ち着けて、最後の最後まで粘り強く盗まれた物を探す姿は、なかなかのものです。
なんとか危機を乗り越えて、ショコラはハラグーロの家から逃げ出しますが、最後の逃走は乗りたくなかったセーヌの車で……。知恵と度胸のあるスーパーカッコいいショコラなのですが、実は車酔いという弱点があったのです。
杉山亮が描く主人公らしく、どこか抜けていたり、弱さが垣間見えたりする、愛すべき人間……。こうした主人公の魅力ある人となりで、読者がより一層、親しみ深く、楽しく読むことができるのでしょう。
とんちが得意な一休さん。杉山亮の絵本で読んでみては?
実在した禅僧の一休宗純がモデルとなった昔話を、杉山亮が書き起こした絵本。大人の勝手で理不尽な行動を、こぞうの一休さんが、とんちでやり返します。やり込められた大人の中には、仕返しを企てる者もありますが、それもとんちでクリア!
賢くて、弱い者を守る一休さんのとんちは、いつしか殿様の耳にまで届くのでした。そして、今度はお殿様から難題を突き付けられますが、見事に切り抜け、たくさんの褒美を授かるのです。
- 著者
- 杉山 亮
- 出版日
- 2011-01-27
『一休さん』は、誰もが知っていると言ってもいいほど、よく知られた昔話です。長く愛される人気の秘密は、世の中にある理不尽な出来事を、まだ幼いこぞうさんがとんちを使って、バッサバッサと切るように、解決していくところにあるのでしょう。
普通なら弱者ゆえに泣き寝入りするしかないようなことを、小さな子供が知恵のあるとんちで切り抜けるのですから、胸がすくような思いがするのではないでしょうか。
この絵本には、代表的なとんち話が3話入っています。可愛らしいこぞうさんたちの絵を見ながら読み聞かせすれば、きっと子供たちは、こぞうさんたちの気持ちになって楽しめそうです。
一休さんの楽しいとんち話は、子供たちに一度は触れてほしい作品の1つではないでしょうか。