長きに渡り小説家としてのキャリアを積んできた名小説家・津村節子。旦那であり作家の吉村昭の影響を色濃く受けた作品や、彼女ならではの女性的な視点が活きているおすすめの作品をご紹介します。

『紅梅』は吉村昭を喪うまでの記録を小説として残した作品です。育子という名で登場する津村節子本人は、長い時間を共に過ごしてきた吉村の死を小説として書き記すことを数年せず、小説家としての活動そのものも辞めようとしていました。
- 著者
- 津村 節子
- 出版日
- 2013-07-10
高村智恵子は才能があるにも関わらず病に侵された悲劇の芸術家として知られています。津村節子にとって智恵子は、同じ表現の世界に生きる旦那に嫁いだ女性として何かシンパシーを感じていたのではないでしょうか。
- 著者
- 津村 節子
- 出版日
津村の夫への死後の想いが綴られた作品のひとつ。この作品のきっかけとなる吉村昭の『三陸海岸大津波』は、東日本大震災以降増刷となりました。津波というワードに対する警句を発していた重要な資料と言えるでしょう。それを描いた夫と三陸にまつわる人間らしいエピソードや、夫婦で旅行した時のこと。それらが交わり、津村の中に生きる吉村像が浮かび上がるしっとりとした作品です。
- 著者
- 津村 節子
- 出版日
- 2015-10-15
夫である吉村昭が死んだ3年後に筆をとった短編集。愛する者が先立つということの悲しみ、女性としての心理の揺れが静かに描かれています。胸が締め付けられるような気持ちで満たされつつも、激情には襲われない、まるで梅雨の静かな音を思い出すような作品です。
- 著者
- 津村 節子
- 出版日
- 2013-01-16
一人の遊女を主軸として描かれた昭和初期の陰惨な日常風景を見事に描いた津村の傑作です。一切オブラートに包むことなく、その当時の理不尽な女性への扱いと、それによって崩壊していくアイデンティティが表現されています。
- 著者
- 津村 節子
- 出版日
- 1980-01-01
津村節子は自身の体験した出来事や出会った人々のことを女性的な視点で描く、極めて優れた小説家です。その静かながら胸を打つ文章をぜひ多くの方に読んでいただけたらと思います。今回おすすめの作品から、ぜひお気に入りの一冊を見つけてみてくださいね。