人間くささをまとった、コミック版『ムーミン』
絵本のキャラクターと聞いて、きっと上位に上がるであろうムーミン。実は、コミック作品がたくさん残されています。ロンドンの夕刊紙『イヴニング・ニューズ』で連載が始まったのは1954年。途中からトーベの弟ラルスが引きついで、連載は1975年まで続いたそうです。
コミックならではの魅力といえば、キャラクターのしぐさや表情ではないかなと思います。絵本や童話の挿絵では、どちらかと言えば「おすまし」しているキャラクターたちが、コミックでは、1コマごとにコロコロと表情やポーズが変わり、キャラクターどうしの距離感も近い。そのやりとりには、(新聞連載という媒体の影響もあるかもしれませんが)より大衆化されたような、人間くささのようなものを感じて親しみを覚えます。セレクトで構成されたベスト版がありますので、まずはこちらでお楽しみになってみてはいかがでしょうか。
- 著者
- ["トーベ・ヤンソン", "ラルス・ヤンソン"]
- 出版日
- 2015-12-09
長谷川町子が描く、可愛らしい動物キャラ。
『サザエさんえほん』。昨年、約40年ぶりに復刊されました。当時は累計77万部も発行されたとか。シリーズとしていくつか発行されたうち、私のお気に入りは『どうぶつむらの きしゃ』です。
ここでは唐突に動物キャラばかりでお話が進んで、サザエさん一家が登場するのは最終場面のみという構成ですが、長谷川町子さんが描く動物キャラと、お花畑の可愛らしさといったら。このあたり、絵本ならではの魅力ではないかなと思います。混み合った車内で席を譲ろうとしない、大きくて頑丈そうなクマ。見かねたネズミの車掌さんがクマに注意するんですが、実は、クマは見えないところ(足の裏)に怪我を負っていた、というのが後に判明します。
「見た目で決めつけちゃダメだよ」というメッセージを込めつつも、お話自体はクマとネズミ、どちらも「偉かったね」と肯定して終わらせるだなんて。さすが長谷川町子さん! な作品です。
- 著者
- 長谷川町子
- 出版日
- 2015-02-20
「菌」の知識を子どもたちにも
『もやしもん』は、菌やウイルスが見える能力を持つ農大生、沢木の日常を軸にしつつ、菌にかかわる食品と生産者の活動が紹介されている漫画です。個人的には8巻のビール編が一番好きなエピソードです。
2009年~2010年にかけて、『もやしもん』のキャラクターが登場する絵本がいくつか発行されました。『てをあらおう』は第1弾。その広告で、「おしゃれなアレだったり、アートなソレだったり」せず「お子様向き」だと公言している通り、まめに手を洗う大切さと正しい洗い方を、しつけ絵本の要領でシンプルに伝えています。手を洗うポイントは全部で6つもあるんですよ。
巻きカバーの折り返しには、絵本を模したような「オリゼーのおしごと」というキャラ紹介が添えられているんですが、絵本屋店主的には、これにもう少し肉付けした感じの絵本も読んでみたかったなあ!などと思ってみたり。オリゼー、やっぱりかわいいです。
- 著者
- いしかわ まさゆき
- 出版日
- 2009-08-27