小栗虫太郎とは
小栗虫太郎(本名:小栗栄次郎)は、1901年3月14日、東京千代田区外神田にて酒問屋の分家の子供として生まれました。
父親は虫太郎が10歳の時に亡くなりましたが、本家からの仕送りや賃貸収入があったため生活に困った事はなく、1918年に京華中学校を卒業後、樋口電気商会に入社し、小説とはかかわりのない生活を送ります。
1920年の結婚後に立ち上げた四海道印刷所が閉鎖されるまでの4年の間に執筆に目覚め、発表の予定もないままに短編集「或る検事の遺言」「源内焼六術和尚」と長編『紅殻駱駝の秘密』『魔童子』を完成させました。印刷所が閉鎖されてからも6年間はデビューする事無く、下積み時代を続けます。
1933年の春、1つの作品を編集長に持ち込んだ所、たまたまその時期に執筆していた横溝正史が結核悪化の為続きが書けず、掲載本に穴が空くためピンチヒッターとして小栗虫太郎の小説が掲載される事になりました。それこそが小栗のデビュー作となる『完全犯罪』だったのです。
こうして没後も注目され続ける作家、小栗虫太郎が誕生する事になりました。
日本3大奇書の1つ 読んでおきたいミステリー
神奈川県にある黒死館と呼ばれる降矢木家には、幼少期に降矢木算哲によって家に連れてこられた、4人の弦楽演奏者がいました。館の創設者である算哲には息子がいましたが、彼は自殺の間際に4人の弦楽演奏者を養子にし、相続権を与えていたことがわかります。
不穏な空気の中、門外不出の弦楽四重奏の1人であるダンネベルク夫人が毒殺された事から、連続殺人が幕を開けるのでした。
次々と起こる連続殺人を、主人公の探偵法水麟太郎が解決していく、小栗虫太郎を象徴する作品です。
- 著者
- 小栗 虫太郎
- 出版日
- 2008-05-02
日本で唯一のゴシック・ロマンとも言われている今作は、小栗虫太郎を語る上で外すことの出来ない長編探偵小説です。
小栗を象徴するような、特殊な専門用語の多用や神秘的思想、占星術、心理学、犯罪学や暗号学などの知識をこれでもかと言わんばかりに詰め込んだ、推理小説の1大神殿と称される内容になっています。
また日本の3大奇書の1つと言われ、読むと精神に異常をきたすと言われるほどの魅力を持っている所も、長く愛され読み続けられる理由の1つでしょう。
ミステリーマニア垂涎の『黒死館殺人事件』は、ミステリーとしてだけではなく、様々な分野と多岐にわたる知識欲をも満たしてくれる......。そんな1冊になっています。
様々な秘境へと足を踏み入れる期待と恐怖を描く「人外魔境」シリーズ
世界中にある人類未踏の魔境に挑み続ける日本人探検家、折竹孫七は、各地で今まで聞いたことも見た事もないような生き物に出会う事になります。
人間とチンパンジーの雑交種かと思われるようなシッポのある「有尾人」、肩甲骨が大きく翼が生えているように見える「有翼人」、水の中に住んでいる「水棲人」などの存在と出会い交流していく中で、その土地や民族独特のちょっと変わった問題にぶつかるのでした。
様々な出会いと危機を経験しながら、その土地の謎を紐解いていく冒険ストーリーです。
- 著者
- 小栗 虫太郎
- 出版日
1939年から2年間、博文館発行の雑誌や新青年にに掲載されたシリーズです。
最初は単発作品であったものの、第2話の「大暗黒」から「人外魔境小説」という角書き付きで掲載される事になります。その後1940年から、主人公を折竹孫七を主人公とする「人外魔境シリーズ」として連載されることとなりました。
また「大暗黒」は第2回新青年賞を受賞しており、数年後には当時人気週刊誌にも紹介され、何度も日の目を見る事になります。1969年には手塚治虫、水木しげる、松本零士などの著名な漫画家が作画を担当したこともあり、小説を読んでいない人も、漫画の方で名前を聞いた事があるかもしれません。
人類未踏の秘境で謎の珍獣とに会うというロマンと、冒険へのワクワク感を詰め込んだ1冊を、是非1度読んでみて下さい。