ロック好き必見の青春物語!
『ロッキン・ホース・バレリーナ』は、パンクバンドを結成する少年たちと、ゴスロリ衣装に身を包む謎の少女との出会いを描いた、大槻ケンヂの長編小説です。
18歳の耕助、ザジ、バンの3人は、パンクバンド「野原」を結成。インディーズとして活躍し、バンドはなかなかの人気ぶりを見せています。そんな野原は、この夏マネージャー得山のハイエースに乗り込み、博多を最終目的地とする初の全国ツアーへと出かけました。
ところがツアーの道中、彼らは「ロッキン・ホース・バレリーナ」を履いた謎のゴスロリ少女、七曲町子と出会うことになります。半ば無理やり彼らに同行してきた彼女。聞けばビジュアル系ロックバンドのボーカルに抱かれるため、博多を目指していると言うのです。こうして3人の少年とマネージャーに、風変わりな少女を加えた、ひと夏の奇妙な旅が幕を開けたのでした。
- 著者
- 大槻 ケンヂ
- 出版日
- 2007-09-25
「ロッキン・ホース・バレリーナ」とは、厚い底の素材に木を使用した、ロリータファッションに合わせられることの多いブランドシューズです。本作を読んで、そのファッションに憧れを抱いた女の子も多いのではないでしょうか。ツアー中の少年たちの姿も非常にリアルに描かれており、バンド経験のある方には共感必至の1冊です。
それぞれにトラウマや挫折の経験を抱える登場人物たちが、ドタバタと旅を続ける様子には、青春の熱をひしひしと感じてしまいます。かつてバンドマンだったマネージャーの想いにぐっとくる場面もあり、音楽が好きな老若男女すべての方に、ぜひおすすめしたい作品です。
「18歳で夏でバカ」なこの輝きを、登場人物たちと一緒に追体験してみてはいかがでしょうか。
ダークな世界観に惹きつけられる、高い評価を受けた傑作短編集
狂気と残酷さを漂わせる、5つの作品からなる大槻ケンヂの短編集『くるぐる使い』。本作に収録された、表題作と「のの子の復讐ジグジグ」は星雲賞を受賞し、たいへん高い評価を受けました。
「くるぐる使い」は、サーカス団に入った「くるぐる」と「くるぐる使い」に起きた悲劇を描いた物語です。「くるぐる」とは精神が壊れてしまった娘のことをさします。稀に、未来や過去が見えるといった特別な能力を持つものがおり、主人公はそんな「くるぐる」の娘を操って芸をさせる「くるぐる使い」だったのです。
その娘の能力は神がかっていました。芸をしながら各地をまわり、たちまち脚光を浴びてサーカス団からの誘いを受けます。サーカスに入っても活躍を続ける娘と主人公でしたが、娘の能力が徐々に弱まっていることに気づき……。
- 著者
- 大槻 ケンヂ
- 出版日
5つの物語では、どれも超常現象と呼べるような不思議な出来事が起こります。もちろんSFなのですが、物語には妙なリアリティがあり、虚構とも現実とも言えないような空間に吸い込まれるような感覚を、読者は味わうでしょう。そんな世界に迷い込んだ思春期の少年少女たち。狂気の中に切なさと悲しみがあり、忘れられなくなる作品ばかりです。
悪霊に取り憑かれた少女を救おうとする「憑かれたな」や、夢に囚われた少年の末路を描く「春陽綺談」など、ダークな世界観の物語が続き、「のの子の復讐ジグジグ」では、いじめに遭っていた少女が最後にある復讐を試みます。
決して後味の良い物語とは言えませんが、どれも魅力的な文体で綴られた素晴らしい作品です。興味のある方はぜひ1度読んでみてください。
バンドブームに翻弄された青春時代を描く、大槻ケンヂの自伝的小説
『リンダリンダラバーソール』は、1990年代初頭のバンドブームを、著者の経験も交えて描いた自伝エッセイ風の長編小説です。
主人公は大槻賢二、20歳。女の子と会話することすらほとんどなかった高校生活を送り、紆余曲折を経て大学生となりました。ロックバンド「筋肉少女帯」として活動する賢二は、ある日ライブハウスの前で「ブルーハーツって知ってる?」と声をかけてきた、ラバーソールを履く少女、コマコと出会います。
そうこうしている間に、世間ではバンドブームが到来。「筋肉少女帯」はメジャーデビューを飾ることとなり、その喧騒の渦へと巻き込まれていくことになるのです。
- 著者
- 大槻 ケンヂ
- 出版日
- 2006-08-29
作品内には、ブルーハーツをはじめ、BUCK-TICKやX-JAPAN、電気グルーヴやユニコーンなど、当時一世を風靡した様々なバンドや人物たちが実名で登場します。ダイエーで買ったヘアスプレーで髪を逆立て、元に戻す時はママレモンがおすすめ、といったロックバンドの裏話が多数綴られ、興味深く読み進めることができます。
バンドブームの到来によって多くの無名の若者がスターとなり、終焉と同時に消えていく。その中での著者の体験が、面白おかしく丁寧に描かれています。
作品をグッと引き締めているのは、「コマコ」の存在ではないでしょうか。一見するとエッセイのような内容ですが、彼女の魅力溢れるエピソードの数々によって、とても感動的な物語として読むことができる1冊になっています。