各方面の変態を揃えました
表題作「生成不純文学」のほか、「人間性の宝石 茂林健二郎」「泡沫の遺伝子」「生成不純文学」のあわせて4作が収録されています。
作品ごとに取り上げられるテーマはまさに変態で、目を覆いたくなるものもあります。ふざけるな、と思う方もいるかもしれませんが、これが木下なりの文学なのです。
- 著者
- 木下 古栗
- 出版日
- 2017-02-24
表題作は、「不純文学」に与えられる名誉な「殺人芥川賞」を受賞する悪夢を描く作品となっています。
官能小説というものに抵抗がある方もいらっしゃるかと思いますが、一般的な文学作品にも官能的な表現が含まれるものはあります。この作品も、そのうちの1つなのかと思いきや……。
官能とは何か、不道徳とは何か、という「不純」というテーマに徹底的に向き合った作品となっているのではないでしょうか。
「虹色ノート」では、OLが登場します。ロシア人の宇宙飛行士は日本のOLに興味を抱いていました。宇宙飛行士なのに、宇宙のことは頭から抜けてただ日本のOLのことを考える変態っぷりに苦笑してしまいます。
そこから視点が変わり、日本のとあるOLが公園で見つけたのは、野糞を採取して記録する「虹色ノート」というものでした。様々な色をしたお弁当をサラリーマンに食べさせて、野糞をしてもらうのです。内容から、題名のネーミングが「虹色」という意味に気付くことでしょう。宇宙飛行士の視点からOLの視点へ移り変わるさまは見事です。
シュールな木下古栗作品が詰まった一作
一言で言うと「下ネタばかり」の作品です。短い物語が約30篇収録されています。
手法を変えていろいろな木下古栗ワールドを楽しめるようになっています。それは例えば下品なもの、暴力が伴っているものなど様々ありますが、総じて言えるのは意味が分からないということです。今回は厳選していくつかの短編をご紹介しましょう。
- 著者
- 木下 古栗
- 出版日
「ラビアコントロール」の主人公の名前は純一郎です。ある日の朝、彼の手足は陰毛によって覆いつくされてしまいました。
なぜこんな状況に陥ったのか、純一郎が悪いことをしたのか、という疑問がわきますが、それはあまり意味がありません。純一郎がおかれた状況自体を楽しむために、この物語はあるのではないでしょうか。
「この冬…ひとりじゃない」は、腹痛を起こすジャクソンの話です。ジャクソンの痛がっている様子がリアルに描かれているため、こちらまで痛くなってくるような表現をされています。思わず目をそらしたくなるような作品です。
本書は多岐にわたる木下古栗の作風を1冊にまとめたものとなっています。作者のいい意味での変態度が分かることでしょう。
電車の中で読むのは危険!
本書は12篇からなる短編集です。いかにもぶっとんでいて、わかる人にしかわからない、独特な世界観を持つ作品となっています。
一言で言えば意味不明、でもなぜか癖になる、そんな感想を持つことでしょう。
- 著者
- 木下 古栗
- 出版日
- 2016-03-26
本書の読んだ方の感想を見ると、意味が分からなくて挫折したという方が多くいることが分かります。物語性があるようでないため、理解が非常に難しいのです。
おすすめは「道」という作品。途中からなんと漢字の羅列で表現されているのです。中国語かと思いきや、よくよく見てみるとなんと、日本人でも読めてしまうような、偽中国語でした。そのことに気付いたとたん、え、これ読めるじゃないか、と、読むのすらバカバカしく感じます。しかし、その突拍子もない表現を物語に盛り込むセンスを感じるのです。
その漢文の内容は、実際読んでみて下さい。思わず吹き出してしまうこと間違いなしです。