友達以上になれないジレンマ、椹野道流の青春ストーリー
K医科大学の入学式で出席番号がたまたま隣だった、ということをきっかけに知り合った篤臣と江南は、なんとなく気も合って授業や実習もいつでも一緒にいるようになりました。
年月をかけ、頼りになる江南と友達としての距離を縮めじゃれつく篤臣に対し、江南は篤臣への友達では留められない心に秘めた思いが育っていきます。しかし当の篤臣本人は全然それに気が付くことが出来ず、それが後の大変な事態へとつながっていってしまうのでした。
- 著者
- 椹野 道流
- 出版日
- 2000-10-01
男女ともに認める男前できっぱりした態度の江南と、細身で大人しいイメージの篤臣の2人の、目的は違えど医者になるという同じ夢に向かって、共に頑張り夢をかなえて就職していくまでの約9年間が描かれています。
篤臣視点で淡々と進む物語がベースですが、その節々に友達以上の思いで篤臣を見ている江南の視線や気持ちがわかってしまい、読んでいてとても切なくなることでしょう。
まっすぐな気持ちが溢れて篤臣を傷つけてしまう江南、それに対して悩みながらも、自分の気持ちにまっすぐに向き合い、許し認めていく篤臣。2人が時間をかけて本当の意味で結ばれるまでの9年間が、甘酸っぱく描かれたところが見どころの青春ボーイズラブストーリーです。
他の椹野道流作品と違い攻めのキャラクターが関西弁なのも新鮮で、特に2人が結ばれた後のラブラブムードで繰り出される江南の関西弁は必見!是非読んでみてください。
年下包容力攻めが思う存分甘やかす
主人公で整形外科医師の甫は、期限付きという条件でリハビリテーション科へ出向しました。自分にも他人にも厳しい甫は、出向先でも手加減せずに古い体制を改革し、リハビリテーション科をより充実させようと奮闘します。
甫が周りにかまわず体制改革に邁進すればするほど、スタッフへの負担も大きく、不満が膨らんでいきました。同じころ、溺愛していた弟が医大を中退しパン屋になってしまい、しかも自分の部下と付き合っているという事実を知ってしまう甫。
公私ともにうまくいかずさすがに落ち込む甫に対し、病院に出入りする花屋の夕焼が甫を甘やかす権利をくれないかと申し入れてきますが……。
- 著者
- 椹野 道流
- 出版日
- 2010-01-08
真面目で厳格すぎるあまり敵を多く作ってしまう超不器用な医師の甫が、仕事も最愛の弟ともうまくいかず、まさに四面楚歌になってしまうシーンは、読者の心に痛みを広げるでしょう。
不器用ながらも懸命に頑張る甫に一目ぼれし、弱っている甫に漬け込むことで甘やかす権利を手に入れる夕焼は、包容力抜群で余裕があって8歳も年下とは思えないほどの大人の魅力が溢れています。
小さい頃から大人であることを求められ続け、素直な気持ちや思いやりの表し方を知らずに育ってきた甫が、意地を張りながらも少しずつ夕焼によって、人の温かさに気づいていく過程が丁寧に暖かく描かれており、読後はとってもほっこりした気持ちになれますよ。
椹野道流が描く、ちょっと不思議な村での暮らし
東京で料理人として忙しく働くゴータがある日、20年前に会ったきりだった祖母の訃報を知らせる手紙と祖母の家の鍵を受け取るところから話が始まります。長年会っていなかった罪悪感もあり、せめて49日の法要には出席しようと手紙と家の鍵を持って祖母の住んでいた村、銀杏村へと向かうゴータ。
そこにあったのはどこか懐かしく、ちょっと不思議で、豊かな日々でした。そんな村に移住したゴータが「にゃんこ亭」をオープンし、村の人と触れ合いながら成長していく温かい物語です。
- 著者
- 椹野 道流
- 出版日
- 2004-09-02
今作は先述のBL3作品とは一味違い、妖しや人魂の登場する和風ファンタジー作品です。
東京で淡々と料理人として働いていたゴータですが、祖母の住んでいた銀杏村を訪れ、どこかなつかしいその村の雰囲気と丁寧な暮らしぶりを目の当たりにし、「呼ばれている」と確信し銀杏村への移住を決意します。
おきつねさま、管狐など妖しがいたるところにいる少し不思議で温かいまなざし溢れる村での暮らしの中で、信頼できる食材を自力で手に入れながら真面目に毎日を生きるゴータと、そんな彼に惹かれてやってくるパティシエのサトルの食べることにまっすぐ向き合う姿に心温まりました。
さらに、作中に出てくる料理はどれも丁寧に作られている感じがしておいしそうで、読んだ後大切な誰かにご飯を作ってあげたくなるようなお話です。