佐藤正午をご存知でしょうか?リアリティ溢れる登場人物たちと、計算し尽くされた精緻で予想外なストーリー。一度読むとクセになってしまう、そんな作品を生み出し続けている作家です。今回は、特に魅力の詰まった6つの作品をご紹介します。

まず何から読もうか悩む方、または、小説もエッセイも読んでみたいという方におすすめです。幅広い内容なので、読んでいて飽きることがありません。
- 著者
- 佐藤 正午
- 出版日
- 2009-11-25
長く続くはずもなかった逃避行は、宝くじの当選金により、形を変えて続くことになります。
- 著者
- 佐藤 正午
- 出版日
- 2011-11-10
初めは、少女達の正体を巡る、どこか不気味なミステリーです。
- 著者
- 佐藤 正午
- 出版日
- 2017-04-06
こんなインタビューは見たことがない!まさしくそんな内容です。
- 著者
- ["佐藤 正午", "伊藤 ことこ", "東根 ユミ"]
- 出版日
- 2015-06-05
ありのすさび(在りの遊び)とは「あるにまかせて特に気にせずにいること、生きているのに慣れて、なおざりにすること」なのだそうです。いつもそばにいる人、もしくは毎日のように接する物、通る道の風景など、あることが当たり前のように思っていたものが失われたとき初めて愛おしいものだったと気づかされた経験は多くの人が持っているのではないでしょうか。本作は日常にありがちで気にも留めないような物事を、佐藤正午が独自の目線で綴ったエッセイです。
- 著者
- 佐藤 正午
- 出版日
- 2007-03-01
最初の「小説家の四季」では、佐藤正午が長崎県佐世保市のビルの7階にある住居兼仕事場で小説を作り上げる間の試行錯誤の過程や、その間に佐藤の身に起こった出来事などが年代順に書かれています。女運が良いという友達から聞いた「女心を絶対に掴むスパゲティ」の作り方を習得する話、万年筆からワープロに移行してインターネットを使えるようになるまでの話、厄年を迎えた話などが面白おかしく描かれています。特にスパゲティの話はレシピまで書かれており、思わぬ結末に笑える秀逸な1作です。
2部の「ありのすさび」では佐藤正午が日々の中で興味を持った言葉にまつわる話が描かれています。毎日辞書を枕元に置き、部屋の様々なところにも辞書を置き、気になる言葉があればすぐに調べなければ気が済まない佐藤の言葉へのこだわり、言葉への想いがあふれた小品集です。
3部の「猫と小説と小説家」では佐藤正午が猫を飼いはじめてから他人に譲るまでの顛末、譲った猫への未練が描かれた後、小説家になる前の自分を回想して終わります。その間に興味は猫から派生して夏目漱石の『吾輩は猫である』と『坊ちゃん』、谷崎潤一郎の『猫と庄造と二人のをんな』についての分析や感想などが描かれているのですが、これらは同作品を読んだことがない人に是非おすすめしたい見事な読書案内です。
本作を読む限り、佐藤正午は佐世保からほとんど動かず交流する人間も多くないのですが、そんな狭い空間で起こるささやかな出来事を思わぬ角度からとらえて表現する巧みな文章は、狭さや小ささなど全く感じさせず、万華鏡のような広がりを見せて読む者を魅了します。何気ない日常が視点の持ち方次第で大きく豊かになることを教えられ、自分が無意識に受け流している物事の多さに気づかされるでしょう。
物語は、主人公の男が15年前に起きた殺人事件の犯人だと思われる女に会いに行くところから始まります。事件は既に時効を過ぎ今更どうなるものではないのですが、そこで男は自分の推理が正しいか否かを問い、女は男に事実を知る覚悟の有無を問うのです。
- 著者
- 佐藤 正午
- 出版日
- 2015-09-08
主人公の古堀徹は検察事務官として働いていますが、給料の大半は離婚した妻子への慰謝料に消え、古い借家で犬と共に単調な生活を送る日々でした。しかしある夜、村里ちあきという女子大生が古堀の家を訪ねてきます。彼女は15年前に古堀が住んでいたアパートの隣の部屋の夫婦の娘ですが、引っ越してからは全く音信不通の間柄でした。ちあきは幼い頃の記憶を母が歪めようとしており、当時ちあきの母と仲が良かった古堀が何かを知っているのではないかと思って来たのですが、それは古堀の全く知らない話でした。
ちあきが帰った後、古堀は昔の日記を取り出し過去を振り返ります。15年前、ちあきの父親はアパートの駐車場で何者かに撲殺されており、事件は未解決のまま時効を迎えていました。最も犯行動機があったのは、ちあきの母親の悦子です。悦子は夫からたび重なる暴力を受けていたのですが、犯行当時は友人と会っていたというアリバイがありました。
事件当日、古堀は同じ検察事務官で恋人の千野美由起とデートする約束だったのですが、悦子に頼まれてちあきを預かり3人でレストランに行き食事をして帰ったところ、遺体の第一発見者となるのです。警察に電話をするためアパートの階段を上がった古堀は、そこに悦子の香りがすることに気が付いたのですが、なぜかそれを口外することはありませんでした。古堀は過去を探るうち、悦子と同じ香りを持つ人間が身近に1人いたことに気が付き、事件について、ある確信にたどり着きます。
同時に古堀は、悦子の夫の暴力を知りながらあえて何もせず、美由起が示す悦子とちあきに対する不快感に対しても何もしなかった自分を思い出します。美由起の叔母の真理子から「血のめぐりが悪い男」と評された時も深く考えず、結局は美由起に振られ、美由起はその後努力して検察官へと出世したのに古堀は相変わらず事務官のまま目的のない日々を重ねるだけの存在でした。そんな彼が15年前の事件の真相を突き止め犯人に会いに行く、ここまでが「アンダーリポート」に描かれていることです。「ブルー」はその後日談ですが、意外な結末に戦慄を覚えることでしょう。佐藤正午が「アンダーリポート」の中に幾重にも引いていた伏線がこつぜんと姿を現し、読む人を圧倒します。単なる推理小説の枠にとどまらない奥深い作品です。
佐藤正午の作品を6つ紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?どれも個性的ですが、一度読み始めれば、夢中になってしまう作品ばかりです。この機会に、是非お手に取ってみて下さい。