「泣ける小説」で話題の新人作家・沖田円
『ぼくは何度でも、きみに初めての恋をする』という作品が爆発的なヒットとなりました。記憶が1日しか続かない登場人物が、何度も同じ人に恋をする話です。累計20万部を果たし、コミカライズも決定しました。
しかし、作者についてはあまり詳しく明かされていません。デビューのきっかけは「Berry’s cafe」という小説投稿サイトです。インターネット上で連載されていたものが有名になり、文庫化されました。
作品の多くは青春小説で、心温まる物から泣けるものまで、心を揺さぶる作品が多いです。可愛らしい装丁と共に書店の押しとして売り出されている姿も多く見られます。泣ける小説、というキャッチフレーズが、若者に受けているのでしょう。
作品数自体は少ないですが、これからますます若者向けの話題作を生み出す作家となること間違いなしです。
第4位:記憶が1日しかもたない青年の物語
高校生のセイは、家庭の問題で悩んでいました。そんな時に出会った、カメラを持つ男の子・ハナは、とても独特な雰囲気を持っていたのです。
セイは、最初は怪しみながらも徐々にハナのことが気になっていきました。
しかし、ハナは1日しか記憶がもたないという病を抱えていたのです。2人は過酷な現実を乗り越えることができるのでしょうか。
- 著者
- 沖田 円
- 出版日
- 2015-12-28
2人は惹かれ合うものの、ハナの病気、セイの家庭環境によって悩み苦しみます。しかし、2人はお互いを支え合い、生きていくことを決めたのです。
同じシーンが何度も繰り返される印象ですが、ハナが記憶をなくしているという設定の上では、当然のことでしょう。それでもセイは根気強くハナと向き合い、ハナもそれに応えていきます。
毎日記憶をなくしても、お互いを想う気持ちは変わりません。毎日毎日、出会うたびに何かが変化しています。2人はそのたびに新鮮な気持ちを思い出していくのです。なんとも心温まるシーンではないでしょうか。
このような若い2人の純愛物語に、大人の方々もピュアな心を思い出すことができるでしょう。障害があったとしても、人を想いやる真っ直ぐな気持ちというのは、中高生の時に1番持っているのかもしれません。大人になると、その心を忘れてしまっているような気がします。
印象的なのは、章ごとのタイトルが花の名前で統一されていることです。種類によってイメージも異なりますし、どこか幻想的な世界観も伝わってきます。
果たして2人は幸せな結末を迎えることができるのでしょうか。
第3位:海を見に行こう――沖田円の「泣ける小説」
主人公、夏海は、高校生です。悩みに耐え切れず自殺しようとして高校の屋上へ行った時、知らない男の子に声をかけられます。
「少しの間だけ、俺にお前の命くれない?」
という言葉とともに現れたのは、朗と名乗る少年でした。
- 著者
- 沖田 円
- 出版日
- 2016-07-28
朗は、海が見たい、といって夏海を連れ出しました。海は遠く、子どもの2人だけでは到底着きそうにもありません。夏海は諦め半分ながらも、朗に付き合って海へと旅立ちます。
自殺の理由はたくさんあるでしょう。夏海が自殺したかった理由も、そのうちの1つでした。しかし、夏海にとってはとても大きなことで、それこそ命を絶ってしまいたいくらい辛く苦しい経験だったのでしょう。
夏海は朗と一緒に海を目指すことで、自分のことを見つめなおすことができ、悩みを一瞬でも忘れることが出来ました。読者は、こんな些細な、突拍子もないことで、自分の人生を変えることができるようになるのだ、と気づかされることでしょう。
また、人生の中で誰と出会い、隣に誰がいるか、ということが非常に重要なのだと感じられます。
「泣ける作品」ということで話題になった本作は、まさに評判を裏切らない作品です。夏海の気持ち、近づいていく距離は、まさに青春で、懐かしく感じる方もいるのではないでしょうか。