母を待つむく鳥の子の心情を描く『むく鳥のゆめ』
とあるむく鳥親子の秋から冬にかけてを描いた童話です。
栗の木のほらに住むむく鳥の父と子。ある日、むく鳥の子は自分に母さん鳥がいないということに気が付きます。遠いところに出かけたと教えられていたのですが、実は母さん鳥はすでにこの世にいなかったのです。
来る日も来る日も母さん鳥を待ち続けるむく鳥の子。冬の朝、むく鳥の子はたった1枚きりの薄い葉を見つけます。その薄い葉が気になってたまらないむく鳥の子は……。
- 著者
- 浜田 広介
- 出版日
むく鳥の子がもっと小さなころ、父さん鳥は母さん鳥に関して嘘をついてしまったようです。亡くなってしまったと言えず、遠くに言っていることにした父さん鳥の気持ちを思うといたたまれなくなるでしょう。
一方、そんな父さん鳥のおかげですくすくと成長したむく鳥の子は、父さん鳥の嘘に関して疑問を抱き始めます。立派な成長の証ですから喜ばしいことではありますが、母さん鳥とはもう会えないことにいつ気づくのだろうかと読んでいて胸が痛くなることでしょう。
そんな時、むく鳥の子は木に残った最後の一枚の葉に何か特別なものを感じ始めます。一枚の葉を通して母さん鳥を感じたむく鳥の子は、きっと立派なむく鳥として旅立って行くことでしょう。
短い物語の中で父と子の絆、子どもの成長、そしてファンタジーが存分に味わえる1冊です。
星になりたい街灯の物語『ひとつのねがい』
町はずれの人の来ない場所に設置された古い街灯。街灯の願いは星のようになること。
「一生に、たった一どだけでいい、星のようなあかりくらいになってみたい」(『ひとつのねがい』本文から引用)
「星みたい」と言われることを願って、コガネムシや蛾にも自分がどんな様子か尋ねますがバカにされ、恥ずかしい思いをしてばかり。
さて、古くやせ細った街灯は倒れるまでに願いを叶えることが出来るのでしょうか。
- 著者
- はまだ ひろすけ
- 出版日
- 2013-11-20
街灯の明るさを気にしたことがありますか?この物語の主人公はさびれた街灯です。街灯は星のようになりたい、明るいと言われたいという願いを持っています。
空に光る星を羨ましがり、近寄ってくる虫に自分の明るさを尋ねる街灯の姿は少し滑稽にも思えます。なぜなら、星ほどの明るさはありませんが街灯は自分の任務をしっかり遂行し、長年立派に人々を明るく照らしてきたのですから。全くの"ないものねだり"です。
一方で、古く弱っている街灯の願いは実はとても切ないものでもあります。「明るくなりたい」という願いの根底にあるのは「人々の役に立ちたい」という願いなのでした。
街灯の願いは叶ったのか……ぜひ、読んで確かめてみてくださいね。
内面の光輝く美しさを描く『光の星』
天の川のほとり近くに産まれた三つ子の星のファンタジー童話です。
同じ月、同じ日、同じ時分に産まれた3つの星。1つ目は赤、2つ目は青、3つ目は色もないような小さくて弱い星でした。
3つの星は毎日、夕方になると天の川の水を汲みに出かけます。ある日、いつものように水を汲みに行くと泥にまみれたかささぎが倒れていました。自分の汲んだ水を犠牲にしてかささぎを助ける3つ目の星。その時、3つ目の星に奇跡が起こります。
- 著者
- 浜田 広介
- 出版日
三つ子の星のうち2つの星は美しい見た目を持っています。一方、3つ目の星は小さく弱い光しか持っていません。しかし3つ目の星には他の2つの星にない優しい心を持っています。
可哀想だけど仕方がないから、と明日のための大切な天の川の水を使うことなく立ち去る2つの美しい星の選択は決して間違ってはいません。しかし自分の大切な水を差しだしてでも相手を助ける、という3つ目の星の内面の美しさは、助けたかささぎの力で外見の美しさとして滲み出て来ることとなります。
重要なことは外見でなく内面であるということを、ファンタジーの世界にどっぷりと浸かりながら学べる1冊です。
夜空に天の川を見つけたらぜひ、本作に登場する3つ目のような星を探してみてくださいね。