時代小説作家の集大成
宮本武蔵、佐々木小次郎などの剣豪たちは、命を争いながらも技を磨いていきました。本作は、そんな剣豪たちの精神を小説にした短編集です。アンソロジーであり、直木三十五をはじめとする時代小説家が小説を寄せています。
直木は、この小説の中の「宮本武蔵」を執筆しています。
- 著者
- ["池波 正太郎", "直木 三十五", "綱淵 謙錠", "津本 陽", "五味 康祐"]
- 出版日
- 2006-09-28
宮本武蔵という人物は、無敵の名人という伝説を持っていました。それに異を唱えたのは、直木三十五だったのです。それに反論したのは、同じく歴史小説家であった吉川英治でした。また、直木賞を設定した菊池寛とも、宮本武蔵の伝説について争ったことがあるそうです。
直木の「宮本武蔵」は、吉川英治が、代表作「宮本武蔵」を描いたきっかけともなりました。
直木は、時代考証を綿密に行い、より真実に近い歴史小説を描くことでも定評があります。今回もまた、直木が史実を分析し、考察しながら「武蔵の実像」に迫りました。宮本武蔵がしてきたことや、周りに影響を与えたことを語りながら、実際の武蔵はどんな剣豪だったのか、という部分を追跡していきます。
戦国時代末期となると、剣は人を殺すためのものではなくなりました。より平和な世の中になるために、人間の精神の修行や教養に使われたそうです。それに伴い、考え方の違いから流派が発生していきました。
この作品では、前回紹介した『日本剣豪列伝』とは異なり、他の作者も剣豪についての伝記を記したものも収録されています。流派や技術が異なる武士たちを、様々な観点から分析し、物語としてまとめたものです。
直木の視点と共に、様々な作者から見た剣豪たちの姿を知ることが出来るでしょう。
直木三十五とは?素顔を垣間見れる1冊。
直木賞の名前の由来となった人物とは、いったいどのような人柄だったのでしょうか。この作品では、あまり知られることのない作家である直木三十五を徹底的に解明していきます。
作品では感じることのできない姿を垣間見ることができるかもしれません。
- 著者
- 山崎 國紀
- 出版日
- 2014-07-10
有名で名誉な文学賞と言ったら、芥川賞と直木賞はセットで思い浮かびます。しかし芥川龍之介のほうは分かるけれども、直木って誰?という方は多いのではないでしょうか。この作品では、まさに「知られざる」文豪である直木三十五について詳しく評したものです。
まずは直木の出生についてから、昔どんな子供であったかという部分を説明していきます。小さいころから本が好きで、近所の図書館で本を読み漁っていたそうです。
名前について、なぜ三十五、という名前にしたのか、という疑問が浮かびます。そして、作品の中で年を取るごとに増えていったというエピソードを詳しく知ることが出来るのです。なんだかおもしろい人物なのではないか、と思える要素なのではないでしょうか。
また、直木は妻の他に妾がおりましたが、その他にも女の影が見え隠れするほどの女好きとしても有名でした。編集者の仕事を終えた後に、ふらふらと夜の街に出かけていっていたそうです。
それ以外にも身の丈に合わない浪費家としても有名でした。
浪費家で女好き、とい要素だけでも、なんともあきれた性格であります。意外と思われた方もいらっしゃるでしょうか。小説のイメージから受けない印象を持つことでしょう。
直木は小説だけではなく脚本や映画も手掛けています。様々な日本のエンターテイメントを確立したことは、直木賞の名称に使われた理由でもあるのではないでしょうか。
まさに日本の芸術を前進させた人物であることを感じられる作品です。
甥が描く叔父直木三十五の姿
直木三十五の実の甥が描いた物語です。直木三十五の性格や行動を、身内の視点で解説していきます。
700篇以上の作品を執筆したのにもかかわらず、借金をずっと背負っていたという直木とは、どういう人物だったのでしょうか。その素顔に迫ります。
- 著者
- 植村 鞆音
- 出版日
- 2008-06-10
この作品を執筆したのは、直木三十五の甥であり、テレビ関連の仕事に携わっていた植木鞆音です。直木は、多くの作品を執筆しましたが、その多くは入手困難な作品となっています。したがって、直木の作品を読んだことがある人は少ないです。
直木賞、という名前の大きさの割に知名度の無い直木ですが、人間らしい魅力が沢山溢れています。『直木三十五伝』では、直木の知られざる人柄が紹介されているのです。
直木は、大衆小説の執筆の他にも編集者や、映画の監督も仕事としていました。甥である鞆音は、直木の仕事ぶりを「プランメイカー」と評します。しかし、仕事の傍ら、直木は女遊びに時間とお金を投じ、作品数とは裏腹に借金を負う人生を過ごしました。
天才肌なのに呆れるような一面もあるのが、この直木三十五なのです。
芸能にも携わっていたという直木ですが、甥の植木もテレビ関係の仕事をしていました。長年の夢であったのは、この『直木三十五伝』を執筆することで、定年したのちにこの作品を執筆し、まとめたそうです。
直木が生きてきた人生こそが、彼が執筆したどの物語よりもドラマチックだったと感じている、と、植木は語ります。作品中に現れる直木のエピソードは、すべて身内である直木ならではの、当事者から聞いた話です。
直木について描かれているどの小説よりも濃く、信ぴょう性が高いものとなっているでしょう。