アイドルと作家の顔を持つ小説家・加藤シゲアキ
加藤シゲアキは1989年、広島に生まれ、幼い頃は大阪、10歳からは神奈川で育ちました。本名は加藤成亮と書きます。1999年からジャニーズ事務所に入所し、2003年にNEWSというグループのメンバーとしてデビューしました。
そして、アイドル活動と並行して大学を卒業。2011年に『ピンクとグレー』で小説家デビューを果たします。今から紹介する作品は、ドラマや映画化されているものもあり、若者の中から支持を得ているといえるでしょう。
今回は、NEWS加藤シゲアキではなく、作家としての彼の作風の魅力について、ランキング形式で紹介していきたいと思います。どの作品も彼の性格が垣間見えることでしょう。
「魂燃やして生きる」事の大切さを想う
主人公は、世間から昔天才子役ともてはやされていたレイジという男です。レイジが渋谷の宮下公園で出会ったのは、ホームレスとドラッグクイーンでした。
自分の目標に向かって明るく生きている2人によって、レイジは次第に人間としての心を取り戻していきます。
しかし、彼らは宮下公園から追い出されてしまうのです。
- 著者
- 加藤 シゲアキ
- 出版日
- 2014-03-21
この物語は、レイジの子供の頃と大人になった現在を交互に描いていきます。
子役だったレイジは、大人に言われるがままに演技をして生き抜いていました。それはまるで機械のようで、毎日感情を殺して生活していたことが読み取れます。
そんな中、ホームレスの徳さんとドラッグクイーンのローズの2人と出会いました。彼らの明るい性格から、レイジは次第に自分を見つめなおしていきます。
大人になったレイジは、脚本家になっていますが、子供の頃の記憶がありません。徐々に明らかになっていく過去に、思わず胸が詰まります。なんといっても、徳さんとローズとの突然の別れはとても切ないものに思われるでしょう。
徳さんが言った、「魂燃やせ」という言葉が印象に残るはずです。
昔、機械のようだったレイジを支え、導いてくれた徳さんとローズのおかげで、レイジは大人になった今、このような生活を送っているのだということが、嬉しく感じられます。
一期一会とはよく言いますが、子供の頃に支えてくれる大人たちのおかげで、子どもは変わっていくのだと感じる物語です。レイジはきっと、2人のおかげで、良い父親になることでしょう。
明るい印象の芸能界に自分を殺され、社会的に排除されてしまうような大人たちに救われる、そんな希望を持った作品となっています。加藤シゲアキの温かい心を感じることもできる、おすすめの作品です。
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2人の出会いが生み出すもの
主人公は、5人組のアイドルグループに所属している亜希子です。亜希子は、俳優の尾久田と不倫関係にありました。
その関係を狙っていたのは、パパラッチの巧という男です。2人の出会いは運命的なものでした。
- 著者
- 加藤 シゲアキ
- 出版日
- 2015-11-25
作者自身もアイドル活動を行っていることから、亜希子のアイドルとしての姿勢にもしかしたら自分の影を重ねていたのかもしれません。
アイドルというのは、寿命が長いとはいいがたいです。女性は特に、若いアイドルに次々と押され、芸能界から消えていく者も少なくないと感じます。
この物語は、そんな、自分に自信がなくなってきているアイドル亜希子と、パパラッチである巧の出会いから始まりました。職業上、2人の出会いは最悪なものだったのです。
巧には、抱えている苦悩があります。彼は妻を事故で亡くしており、それからというもの、ゴシップを追うという、芸能人から嫌がられるようなイメージの悪い仕事に身を落としていました。つまり、妻の死は巧の心を傷つけ、立ち直れないものとなっていたのです。
さらにその事故が原因で、巧は色が見えなくなっていました。
『閃光スクランブル』という題名は、この作品にピッタリでしょう。この作品の舞台は渋谷で、メイン通りにスクランブル交差点があります。
その、交差するものと、一瞬の強い光である「閃光」という言葉を融合させていることから、『閃光スクランブル』という題名は、この作品にぴったり当てはまる言葉となっているのかもしれません。
そして、その交差する光は、亜希子と巧でしょう。
2人は、職も年齢も異なりますが、唯一、心に悩みを抱えていることが共通しています。題名は、その二人が出会うことによって、閃光が生み出されるという意味ではないでしょうか。是非読んで、題名の意味も考えてみてはいかがでしょうか。