気軽にバッグに入れて持ち運びできる「ながぐつをはいたねこ」絵本
ご覧の通り、絵本というよりTVアニメを一冊の本にしたかのような、そしてキャラクターが今にもしゃべりだしそうな感じを受ける絵で描かれた作品。
描いたのは、元タツノコプロで数多くのアニメを世に送り出して現在はフリーランス、絵本作家としても活躍している柳川茂と、名探偵コナンなど劇場版アニメを多く手掛けている清水義治。アニメのプロの手にかかると、ヨーロッパの民話も本作のような親しみやすい絵本になるのです。
- 著者
- ["シャルル ペロー", "柳川 茂", "Charles Perrault"]
- 出版日
本そのものが小さく、そして薄いので、おでかけするときにバッグに気軽に入れて持ち運ぶことができます。子どもが自分でページをめくって読むにも、ちょうどいい大きさと軽さです。
それと、絵本としては破格のお値段であるということも、親にとっては重要ポイントのひとつ。絵本は好きだけど紙を上手にめくれる力加減がまだ分からない子どもは、読もうとしているだけなのにページを破いてしまうことがしばしばあります。(もちろん、本は大切に扱うようにと言い聞かせることは大切なのですが)子どもがページをめくる練習用の本として、経済的なリスクが少ないこの作品はぴったりでしょう。
子どもが本を好きになるきっかけになるのなら、本作のようなアニメ絵本を選んでもいいかもしれませんね。
話は痛快劇だけど、どこかほのぼのとしている「ながぐつをはいたねこ」
フランス文学者で、随筆家・翻訳家としても活躍する奥本大三郎と、「11ぴきのねこ」シリーズで有名な馬場のぼるの合作です。
漫画家でもあった馬場のぼるの、どこかほのぼのとした親しみを感じるイラストで描かれています。ねずみを捕らえるシーンを写実的な絵で描かれたらちょっと怖いくらいですが、この作品だとまるでギャグ漫画。王さまに獲物としてうさぎを献上するシーンでは、脚がだらーんとしたうさぎはぬいぐるみさながら。本物っぽくないから、小さい子どもが狩りのシーンを見ても怖さをまったく感じないでしょう。
読み終わると心温まる、原作よりも癒し系と呼べそうなほんわかした作品です。
- 著者
- 奥本 大三郎
- 出版日
馬場のぼるが描いたねこといえば「11ぴきのねこ」シリーズが有名ですが、こちらのねこは自分よりも主人を大切にするような、知恵を働かせて奮闘する賢い子。『11ぴきのねこ』を連想しながらこちらを読むのも面白いです。
主人公だけではなく、王さまや農夫たちなど登場人物がみんなニコニコ笑っているかのような表情で、読んでいると絵につられて自分も笑顔になってしまうのが、この作品の大きな魅力かもしれません。
アニメっぽい絵本は子どもに読ませたくないけど、でもリアルな絵の本は読みたがらないお子さまがいるご家庭に最適な作品。もちろん、馬場のぼるが描くほのぼのとした絵を楽しみたい大人にもおすすめです。
ラフに描いた線だけど、表情もしぐさも愛らしいねこ
これは下書きか何かのデザインかと誤解しそうな、パステルのようなものでぐるぐると線を描いた主人公が印象的な作品です。この作品中で使われている色の数は少なくて、色が多いページでも4色ほど。
シャルル・ペローの原作に注釈を付けて物語にしたのは、スイス出身の絵本作家ハンス・フィッシャー。翻訳は、多くの作品の翻訳を手掛けて随筆なども書いていた矢川澄子です。
- 著者
- シャルル ペロー
- 出版日
- 1980-05-20
ハンス・フィッシャーが原作に付けた注釈・ねこの陰の努力(成功の裏話のようなもの)が面白いです。鏡を見ながら練習をしているシーンは、ねこ自身は真面目に頑張っているのでしょうけれど、どこか演劇の練習風で滑稽にさえ見えます。
ねこの大活躍で、主人である粉屋の三男はカラバ侯爵という貴族となって、王女さまと結婚しました……というのがこのお話でよくある結末。でもこの作品は、このねこは実は早く靴を脱ぎたかったんだと、読んだらクスッと笑える一文で終わっています。
モノクロではないけどカラフルでもない、全体的に黄土色をベースとした落ち着いた色合いで描かれています。最後のページだけは黒い絵ですが、それは夜景かのように幻想的。絵の美しさと面白い結末の作品なので、大人も楽しめます。