ずっと一緒にいられることを願う、健気なうさぎの絵本
『しろいうさぎとくろいうさぎ』は、白いうさぎと黒いうさぎの淡い恋物語です。
森のなかに白いうさぎと黒いうさぎが住んでいました。2匹はいつも一緒。毎日お日様が登ると寝床から飛び出して一日中仲良く遊びます。
- 著者
- ガース・ウイリアムズ
- 出版日
- 1965-06-01
ところが、ある時から黒いうさぎは突然悲しそうな顔をしてじっと動かなくなることが多くなります。ふわふわの背中を使っての馬跳びの最中、ヒナギクの野原でのかくれんぼの途中、泉に冷たい水を飲みに行く時など……。
「どうしたの?」と白いうさぎが聞いても「うん、ぼく、ちょっと考えていたんだ」と黒いうさぎは答え続けるだけ。
このような同じやりとりが何回も続き、読んでいる方もなんだか切なくなります。そして、その切なさのピークが来たところで、ついにその謎がわかるのです。
「どうしたの?」しろいうさぎが ききました。
「うん、ぼく、ちょっと かんがえていたんだ。」と、くろいうさぎは こたえました。
「さっきから、なにを そんなに かんがえているの?」
しろいうさぎは ききました。
「ぼく、ねがいごとを しているんだよ。」
黒いうさぎが いいました。
「いつも いつも、いつまでも、きみといっしょに いられますようにってさ」(『しろいうさぎとくろいうさぎ』より)
なんて素敵なプロボーズ!さて、白いうさぎは何て答えたでしょうか?お互いにびっくりして耳をピンと立てて目を丸くして固まっている姿のイラストがなんとも臨場感たっぷりです。
誰かのことを好きになった時のとまどった気持ち、どう伝えてよいかもどかしい気持ち、勇気をだして伝え受け入れられた時の複雑な思い……をやわらかく可愛らしいタッチのうさぎたちを通して教えてくれるお話になっているのです。
いつか淡い初恋を体験するだろうお子さんに2匹の優しいやり取りをぜひとも読み聞かせしてあげて欲しい、オススメのうさぎ絵本です。
うさぎの絵本と言えば、やっぱりこの作品
『ピーターラビットのおはなし』 は、4匹の兄弟うさぎの中で一番のいたずらっ子ピーターが命からがらの大ピンチに見舞われるお話。
ある日、お母さんうさぎは子どもたちにある忠告をします。それは、人間の畑には近寄ってはいけない、ということ。なぜならその昔、彼らのお父さんは、畑の所有者であるマクレガーさんに捕まって肉のパイにされてしまったからなのでした。
- 著者
- ビアトリクス・ポター
- 出版日
- 2002-10-01
しかしやんちゃなピーターは、お母さんの忠告を無視して、マクレガーさんの畑へ入ってしまうのです。そして、そこに実っていたレタス、さやいんげん、二十日大根を食べるのです。さすがに食べ過ぎで胸がムカムカしてしまい、清涼剤のパセリを探しに出たところで、なんとマクレガーさんと鉢合わせに。
散々追いかけられ、木に掛けてあった網にひっかかり、絶対絶命。もうだめだ、と大粒の涙を流してしまうのです。マクレガーさんがピーターにふるいを被せようとしたその時、必死に服を脱ぎ捨て逃げ切り、じょうろに飛び込みます。
じょうろの中には水がたっぷり入っていて、ピーターはびしょ濡れに。なんとか逃げ出したものの、畑からの出口はわからないし、危険な猫もいました。さてどうする、ピーター!胸が痛くなるピンチの数々。
お母さんのいいつけを守っていたお利口な兄弟3匹は美味しい夕飯にありつきましたが、命からがらやっと自宅に戻れても、ピーターはお腹の調子がよくなくてお薬だけ……。
人間のような風体をしながら、毛並みや目は動物そのものの愛らしいビアトリクス・ポターのうさぎたち。そんなメルヘンなイラストとは裏腹に、自然界で生きる厳しさや教訓をも教えてくれます。
ピーターが次々と大変な目に合う様を読み聞かせることで、約束を守ることの大切さを伝えることができる一冊。
世代を通して蔵書として受け継がれているご家庭も多い永遠の名作、ぜひ手にとってみてくださいね。
うさこちゃんシリーズは赤ちゃんから読める定番の絵本
『ちいさなうさこちゃん』は、うさぎの夫婦に待望の赤ちゃんが生まれるお話です。
大きなお庭の真ん中に可愛い家があり、うさぎの夫婦が住んでいました。旦那さんは庭仕事、奥さんは家事に洗濯にお買い物。
- 著者
- ディック ブルーナ
- 出版日
- 2000-12-01
そんなある夜、奥さんに天使がやってきてもうすぐあかちゃんが生まれますよ、と告げます。そしてかわいい赤ちゃんが生まれ、牛や鶏やひよこたちがお祝いに訪れるのですが、うさこちゃんの目は眠気でふさがり……お客の動物たちは、静かにさよならです。
うさこちゃん誕生秘話というべき記念すべき第1作目。ディック・ブルーナのシンプルでポップな挿絵が目を引きます。表情がない描き方に見えますが、お話を読みながら眺めていると、とても豊かな感情が感じられる素敵なイラストです。特に誕生を伝える天使の愛らしさは、新生児の無垢な姿そのもののよう。
望まれて生まれてきて、みんなに誕生を祝ってもらって、パパとママに愛されている、ということを追体験できる絵本。生まれる時ってどんな感じなの、と疑問が生まれる時期のお子さんにはもちろん、まだ言葉がわからないお子さんにも読み聞かせられるほのぼのとやさしいお話です。
ちなみに英語版では、動物たちはお祝いにではなく遊び来て、赤ちゃんはまだ小さすぎてみんなとは遊べないのよ、と言われ帰って行きます。赤ちゃんの眠そうな様子に気を遣って自ら帰っていく日本語の世界と、赤ちゃんの状態をお母さんが伝えてお暇してもらう英語の世界。文化の違いが垣間見られます。オランダ語が原文ですが、世界各国の言葉に訳されているので、翻訳の比較も楽しい名作です。