大分県で生まれた純文学作家、小野正嗣。芥川賞を受賞した『九年前の祈り』のほか、故郷をモデルに執筆された彼の作品は文学界で高い評価を得ています。代表作を含むおすすめの5作品をご紹介します。

表題作「九年前の祈り」の主人公は外国人の夫と離婚した、35歳になる女性のさなえ。彼女の美しい容姿を引き継いだ息子を連れて、故郷の集落に戻ってきました。さなえの息子・希敏には精神的に不安定なところがあり、感情的になると「引きちぎられたミミズのように」のたうち、大声で泣き叫んで周囲を驚かせてしまいます。さなえとその両親はその度に困り果て、できるだけ希敏を泣かせないようにと気を使って暮らしていました。
- 著者
- 小野 正嗣
- 出版日
- 2014-12-16
「『浦』の駐在だったとき、お父さんは頭を悩ますことばかりだった。湾の上には誰のものでもない船が浮かんだままだったし、ミツグアザムイが浜にあるという屍体はどこにあるのかわからないままだった。男の子たちは相変わらずトシコ婆の家にロケット花火を打ち込んでいたし、わたしはわたしで中学で社会科を教えていた吉田先生と恋に落ちていた。」(『にぎやかな湾に背負われた船』より引用)
- 著者
- 小野 正嗣
- 出版日
- 2015-02-02
「一、文学はどのようにして生まれたのか」 「二、文学を学ぶことに意味はあるのか」「三、文学は社会の役に立つのか」「四、文学の未来はどうなるのか」「五、何を読むべきか」。本書は前述した全5章から構成されており、200ページに及ぶ考察が記されたボリュームのある1冊です。
- 著者
- 小野 正嗣
- 出版日
- 2012-04-27
説明が極端に少なく、あらゆる謎に包まれた、まったく明瞭でない、しかし読み進めれば酩酊したように物語の世界から抜け出すことが許されなくなってゆく。そんな、小野正嗣の文学にまんまと酔わされてしまうような、不思議な魅力を持った作品です。
- 著者
- 小野 正嗣
- 出版日
- 2010-09-29
「このエッセイのタイトルにある、美しい花を咲かせるマグノリアの木が植えられた大きな庭は、フランスのオルレアンに住む、詩人で批評家のクロード・ムシャールさんとその妻のエレーヌさんの家の中庭である。僕は二人のところにほぼ五年間住ませてもらい、このマグノリアの木の下で、自分の故郷である大分県南部の海辺の集落についての小説を書いた。」(『浦からマグノリアの庭へ』より引用)
- 著者
- 小野 正嗣
- 出版日
- 2010-08-25
いかがでしたでしょうか。芥川賞作家、小野正嗣の豊かな表現力で描かれる美しい故郷の物語と、興味をそそられる優れた文学論の数々。ぜひ触れてみてくださいね。