この絵本に登場する2羽のパパペンギンを通して、社会問題を考える機会に
『タンタンタンゴはパパふたり』は、ニューヨークのセントラル・パーク動物園を舞台にした実話です。最初の、外国の動物園を思わせる園内、日本では聞き慣れない名前の動物とその絵が、子どもの興味を掻きたてます。
そしてページをめくっていくと、ペンギンがカップルになるまでの様子が分かるように、ロイとシロの2羽のペンギンの仲良しな様子が描かれてありますが、実は、2羽は他と違って両方男の子なのです。子どもたちが「え?」と衝撃を感じる場面となっています。
さてこの2羽、これからどうなっていくのでしょうか。
- 著者
- ["ジャスティン リチャードソン", "ピーター パーネル"]
- 出版日
- 2008-04-16
このお話は、最初はアメリカの子どもたちに、トランスジェンダーに対する偏見をなくすために、実話を利用して書かれたものです。
ロイとシロの2羽のペンギンは、まわりのカップルをみながら、悩みつつもまわりと同じように挑戦していきます。でも最後には、飼育員さんの配慮があり、とうとう自分たちの子どもをもつことができるのです。
この絵本は今は翻訳され、日本の子どもたちも手にとることができます。これを読み聞かせてあげるには、私たちがまず、トランスジェンダーについての理解がなければなりません。
戦争などの絵本も同じですが、作者が子どもたちに絵本を通して世界の問題を考えてほしい、というメッセージを送ることはよくあります。
この絵本を読みながら、お子さんにどのような話をしていくべきか、大人として改めて考えるのもいいかもしれません。
釣りより世の中の素晴らしさが主題の傑作絵本
『父さんと釣りにいった日』はシャロン・クリーチの絵本。著者は1995年にはニューベリー賞を受賞しています。
著者は、作中で以下のように述べています。
「父と何時間も釣りをした。といっても、それほどたくさん魚をつかまえたわけではない。ただ、すばらしい一日と、世界を見る方法を捕まえることができたと思う」(『父さんと釣りにいった日』より引用)
とても奥の深い言葉に考えさせられるでしょう。
お父さんと子どもの絆が感情豊かに、そして場面が大変叙情的に書かれてあり、大人が読んでも心惹かれる絵本です。
- 著者
- シャロン クリーチ
- 出版日
この絵本は、半分までは釣りに行くまでの行程のみが書かれているところが特徴で、またそれがこの絵本の大きな魅力となっています。
川に行くまでのまだ暗い街の景色や、森の中の木々の様子、そのうちに明るくなってきた野原の自然の様子。ここまでの文をゆっくり読んで、言葉で表現させる世界のすばらしさを、ぜひお子さんに感じさせてほしいと思います。
そして、釣りを始めてからのお父さんと子どもの会話。著者の実体験が元になっているのでしょう。風景描写と同じく、お父さんのお話の、素敵な情景が想像できる叙情的な文は、まるで詩のようです。
この絵本は最後まで、釣った魚のことが書かれてありません。それでも、別の喜びがあることを感じさせるようじっくり読み聞かせてあげてほしいです。
お父さんって私が生まれた時、どんな気持ちだったの?
『おとうさんがおとうさんになった日』は、『おかあさんがおかあさんになった日』のお父さん版です。
お母さんは、子どもを産んで初めてお母さんになるのですが、子どもを産んでないお父さんもまた、赤ちゃんが生まれて初めてお父さんになるものですよね。
お仕事で忙しいお父さんの気持ちをお子さんが感じることは、お母さんほどないでしょう。だからこそ、お父さんの気持ちをお子さんが知ることができる、とてもよい絵本なのです。
お父さんが読み聞かせをした後はきっと、お父さん自身の気持ちもお子さんに伝えてくれることでしょう。
- 著者
- 長野 ヒデ子
- 出版日
- 2002-05-10
お父さんが、お父さんになった日の感想をそれぞれのページで1つずつ、赤ちゃんの様子も交えながら表現していきます。自分が赤ちゃんの時の様子、自分が生まれた時の周りの人たちの様子を、絵本を通して知ることができます。
いろいろな感想が書かれていますが、でもやっぱり、「うれしい日」が一番ですよね。そんなラストに、お子さんはお父さんをにっこり見つめることでしょう。
お家のお父さんの感想は、それぞれ違うと思います。読み終わって、きっと子どもはお父さんに「生まれた時どう思った?」と聞いてくるはずです。
ぜひこの絵本を通じて、本当のお父さんの感想をお子さんの胸に刻ませてあげてくださいね。