空飛ぶロマンはここから始まる!?飛行機好きな中学年男子、必読
- 著者
- トーベン クールマン
- 出版日
- 2015-04-15
とても精巧に描かれた飛行機の機首でスポットライトを浴びるネズミのイラストが印象的な表紙。物語はもちろん、イラストでも魅せてくれる作品なので読みやすさもずば抜けています。
図書館の片隅で暮らす小ネズミたちは新しいネズミ捕りに恐れをなして、新しい住処へと大移動をします。そんな中、一匹だけ置いていかれてしまった小ネズミは仲間を追うため試行錯誤するのです。そしてたどり着いた答えは“自分で飛行機を作って、空を飛んでいこう!”というものでした。
『リンドバーグ』というタイトルですが、実在のアメリカ人飛行士のチャールズ・リンドバーグから得たものです。彼は1927年に世界初の単独・無着陸での大西洋横断飛行に成功した飛行士でした。表紙の機首も彼の愛機のものを描いたとされています。
図書館で暮らしていただけあって、小ネズミは人間の本を読むことが大好きでした。膨大な情報と知識から必要なものだけを抽出し、自分だけの飛行機を作り上げていく様子はものづくりのロマンを感じさせます。そして訪れる数々のピンチに、ハラハラドキドキさせられっぱなしです。
表紙からも分かるように、精巧なイラストが物語の挿絵としてふんだんに盛り込まれています。飛行機作りから、天敵たちに襲われているなど様々なシーンが描かれており、まるでアニメーションを見ているかのような臨場感があります。読後感は壮大なアニメーション映画を見終えたかのような爽快感もあるでしょう。物語もイラストも大満足の絵本です。
“本当の自由”を感じられるのは子どもだけなのかもしれない
- 著者
- ポール・フライシュマン
- 出版日
『ウエズレーの国』の物語は、大人の男性もかつての少年時代を思い出してしまうような懐かしさがあります。風を切って走り回った思い出や、身近なものを使った大発見・発明……少年が持つ純粋さを大切にした作品です。
主人公のウエズレーはみんなが同じ格好をして、同じ食べ物が好きという事実を嫌っています。そのため周囲になじめず、いつもいじめられていました。しかしそれでめげることはなく、いじめっこたちから上手に逃げられることと発明を得意としていました。ある夏休み、彼は決意します。“自由研究で、自分だけの文明を作ろう!”作物の作り方、文字や言葉・歴史まで作り上げていくのです。
自宅の庭という小さなエリアの中を目一杯使って、自分の文明を作り上げていくウエズレーには羨望のまなざしを向けてしまうでしょう。また発明の過程には常に驚かされます。誰ももっていない服、自分だけが知る星座、ハンモックに揺られる心地よさ……夏休みという開放感も手伝って、爽やかに読み進められるはずです。
ケビン・ホークスが描くイラストはページをめくる楽しさだけでなく、作品の爽快感も味わうことができます。陰影の使い方が巧みで、立体感を持たせたイラストはありもしない文明の物もとてもリアリティあるものに仕上げられています。風を感じるような爽やかな作品です。夏休みに向けて、お父さんを一緒に読んでほしい作品といえるでしょう。
種族も因縁も何もかもを超えた友情が素晴らしい!
- 著者
- ラッセル・エリクソン
- 出版日
ラッセル・E・エリクソンの大人気シリーズ「ひきがえるとんだ大冒険」の第1作がこの『火曜日のごちそうはヒキガエル』です。種族を超えた友情に、少年たちは胸に熱いものを感じるでしょう。
主人公のヒキガエル、ウォートンは届け物を届けるためにスキーを滑りながら出かけました。その途中ケガをしてしまい、運悪く天敵ともいえるミミズクのジョージに捕まってしまうのです。ジョージは「6日後に私の誕生日がある。その時のごちそうとしてお前を食ってやる。それまではお前には何もしない」と話し、ウォートンの自由を約束します。
突然の共同生活でも彼らは自分たちの生活や文化、価値観を認め合いながら生活するのです。たった6日間なのに、それはとても仲の良い友人同士のやり取りのようでした。もちろん“ウォートンが食べられてしまうのでは”という緊迫感も感じるのですが、それとは別に互いを認め合い歩み寄っていることを窺えもするのです。
物語の緩急が何度もあり、最後まで飽きずに読むことができます。また、物語を手伝うイラストははっきりした輪郭を描く濃いタッチ、その中で細い線で描かれる影は安心感を与えてくれます。作中も物語を邪魔せずそれぞれのワンシーンを描いており想像力を手助けしてくれる素敵な作品です。