源氏物語を何度も読破し、川端康成、谷崎潤一郎、三島由紀夫らに影響を受けたという純文学作家、田中慎弥。2012年に芥川龍之介賞を受賞した彼のおすすめ5作品をご紹介します。

- 著者
- 田中 慎弥
- 出版日
- 2013-01-18
迫力のあるストーリーと激しい筆致に、田中慎弥の実力を思い知らされる傑作です。
主人公の遠馬とその恋人である千種。父の円と愛人の琴子。危ういバランスながらも良好な人間関係を保っていた彼らには琴子の妊娠発覚を機に不穏な空気が立ち込め始めます。愛と性の狭間で揺れる17歳の遠馬。その心情描写の巧みさに、読者はまず息を飲まされることでしょう。
物語は夏祭りの日、神社で起こった事件をきっかけに転がるような急展開を見せます。それは遂に千種に手を出してしまった遠馬がようやく彼女に許され、待ち合わせをしていた夜を裏切るかのように起こりました。ここでは暴力的な父と、自身に流れる父の血に翻弄される遠馬の様子が生々しく描かれており、自宅から川を挟んだところで魚屋を営む遠馬の生みの親、仁子の登場によって物語は壮絶な結末へと向かいます。
田中慎弥による、目も当てられないストーリー。しかしそこは激しい愛のかたちが切実に描き表されています。
また併録の短編「第三紀層の魚」は曽祖父との関係を通して成長していく思春期の少年の姿が描かれた素晴らしい作品となっています。田中慎弥の凄さがわかる1冊。是非読んでみてください。
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「あのう、すみません。すみませんていうのは働かないとかやりたいことがないとかっていうことについてじゃなくて、いま私がこうやって喋らせてもらってることに関してで。そうなるともう一度謝っておかないといけません、まだ喋らせてもらうつもりなんで。ええとつまり、働く気はないけど喋る気はあるっていうことです。」(『図書準備室』より引用)
- 著者
- 田中 慎弥
- 出版日
- 2012-04-27
父は作中で、野球を諦めた自分に「野球をやっているか」と問いかける葉書が届いたことを語ります。その差出人は香折の父の父、つまり香折の祖父ですが、彼は野球賭博絡みのトラブルで失踪しており、少年だった父の心は揺れ動きます。会うことのできない父の願いを汲むべきか、野球を嫌悪する母に従い、野球への思いを断ち切るべきなのか。それと同時期、彼は文化祭で片思いの相手とある劇を上演することになります。
- 著者
- 田中 慎弥
- 出版日
- 2012-04-10
3人が暮らす古い屋敷の裏には在日朝鮮人の教会が建っており、梅代はその教会を「いんちき教会」と呼んで憎んでいます。それはかつて梅代の夫だった男が教会の女に熱を上げた挙句に自分を捨て、行方知らずとなってしまったからでした。一方娘の美佐子には子供の頃から男遊びの癖があり、実家に戻ってからも日常的に美佐絵を梅代に預けては複数の男と逢引する日々を過ごしています。
- 著者
- 田中 慎弥
- 出版日
- 2010-08-28
また芥川賞受賞に際して感じたことをまとめた「組織と個人」という記事では、面識のない地方政治家や経済人からお祝いの花や電報が届いたことに関して、彼らは自分の立場と権威のために作家を利用していると述べた後、こうも言っています。
- 著者
- 田中 慎弥
- 出版日
いかがでしたでしょうか。優れた作品を多数発表し、現代日本を代表する純文学作家となった田中慎弥。是非読んでみてくださいね。